ユーロ下値上値とも切り上げ。長い上昇への幕開けか?
ユーロドルは実質的には昨年夏の水準回復、昨年高値1.1616も視野に
先週のユーロドルは週初はECBドラギ総裁のあいかわらずのハト派発言に、ユーロは素直に反応して弱含み一時対ドル1.1110まで下押ししました。
しかし、今週のECB理事会での声明で景気の下向きリスクへの言及を改める見込みとのロイターの報道に反発、以後は米国の政治不安、経済指標の不ざえ等ドル売り材料も重なり、更に週末の雇用統計の悪化でドル売りが加速、ユーロドルは目先のターゲットであった5/23高値1.1268を超え昨年11月の米選挙直後のスパイク値1.1300を目前とした動きとなっています。
ただし、ユーロドル1.1300はあくまで瞬間値であり、その後はトランプユーフォリアの中で年初までユーロ売りとなったことを考えれば、既に現在の水準は昨年8月から9月の水準にあり、実際のターゲットは1.1327(16/09/8高値)、1.1354(16/08/18高値)そしてブレグジット前高値1.1428(16/06/24)あたりと見ることができます。
中長期的にはユーロドルは未だボックス圏内での動き
もう少し引いてみてみるとユーロドルは、2000年の底値0.8230からリーマンショック前の高値1.6038に至る長いユーロ買いからの61.8%戻し1.1213近辺での長いもみ合いが2015年以降続いている状況で、長く続いていると感じられる今回のユーロ買いも以前のボラティリティを考えればまだまだ端緒にもついていないとも言えます
年初からのユーロ高が本物であるためには、長期的にユーロ圏経済回復のスピードが米経済の加速を追い越す必要があり、その意味では未だ相対的に力不足のユーロ経済。今回のユーロ高も偶々トランプ政権の景気刺激策への過剰な期待剥げ落ちのタイミングと、欧州経済復調のタイミングが重なった現象にすぎないと見ることもできます。
米国の政治的不安定感は中長期の経済に悪影響をもたらすのか?
一方でトランプ政権を誕生させてしまった米国と、オランダ、フランスとポピュリズムの台頭をことごとく抑え込むことに成功してきているユーロ圏の政治的な安心感(安定感とは必ずしも言えないまでも)の違いは決定的な構造上の変化と捉える事が出来ます。
そして今後の中長期的なユーロドルの方向性を占ううえで、ドルにはトランプ政権の政治的な不安定と保護主義的な動きが中長期的に米経済にもたらすマイナスという大きなリスクがあり、その顕現化の可能性は低くないと考えます。
もちろんトランプ大統領もますますそこから国民の目をそらそうと、大風呂敷の経済と対外政策を打ち出してくることが予想され、短期的には逆の反応となる場合もあることから、なかなか一筋縄ではいかないでしょう。しかし、中長期の悪影響を見越しての市場の織り込みは既に始まっているのかもしれません。
ユーロの勢いには脱中長期ボックスの可能性も
テクニカル的には今回のユーロ高が本当に中期的な資金の流れの変化である場合にはまず、15年以降のボックスである1.0350-1.1685のレンジを明確に上抜ける必要があり、そのターゲットは2015年の高値1.1714。
今週その水準に達する可能性はもちろん低いのですが、5月を終了してユーロドルは三カ月続けての月足での陽線を達成しており、ユーロ買いに久々の勢いがついてきたこの局面ではユーロが中長期のボックスを抜け出る可能性が出てきたことは念頭に置いておいてよいのではないかと思います。
オーダー/ポジション状況
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