<< 東京市場の動き >>
週明け29日の東京市場は、111円台前半で一進一退。一時は111円半ば近くまでドルが買い進められるも、上値は重く上げ渋り。結局、目立った方向性は出なかった。
週明け相場の波乱要因として注目されていた、先週末まで実施されていたG7首脳会議は、米国が妥協した格好で「保護主義と闘う」と明記した宣言を発表するも、一方で「パリ協定」では結束できずに、結束の乱れが露呈された格好に。また、為替市場のオープンを前後して、「北朝鮮がミサイルを発射し、排他的経済水域に落下」と伝えられ、寄り付きから大荒れの展開が予想されたが、フタを空けると予想外とも言える小動きに。
111.15-20円と、先週末のNYクローズよりやや円高レベルで寄り付くも、大きく円買いが進むことはなし。早朝の111.08円レベルを本日安値に反発するも、上値は111円半ばに届かず、ドルの上昇も限られた。16時時点では、111.20-25円という早朝寄り付きレベルに近い水準で推移し、欧米時間を迎えている。
材料的には、前述した要因のほか、米紙ワシントンポストが「露疑惑、上院委はトランプ氏選挙団体に文書提出要請」と報道が見られたうえ、米サンフランシスコ連銀総裁から「過熱を防ぐため徐々に金利を引き上げる」との発言も観測されていたが、ともに具体的な影響となると限定的だった。
<< 欧米市場の見通し >>
前述したように、先週末から本日東京時間にかけて、かなり多くの材料があった気がするものの、結局動意には結び付かず、ドル/円は膠着の様相が続いている。本日は英国がバンクホリデーで休場、米国市場は辛うじてオープンするが、株式と債券市場が休場となることを考えると、ますます動きの鈍い一日となっても不思議はない。
もっとも、ここまで動きが鈍いと、いったい何を材料にして市場が動くのか、という疑問もあり、そうした意味では本日のような薄商いの「間隙を突いた投機筋の仕掛け」−−などが、意外にも次の方向性を決定づける一撃になる可能性もありそうだ。
テクニカルに見た場合、引き続き一目均衡表においては先行帯の雲の中(109.90-111.80円)の値動きであり、目先については雲の上限がドルの抵抗となっている感を否めない。また、「週報」でレポートしたように、ドル/円は先週来、110.86-112.13円という極めて狭いボックスを形成していることも確認されている。
いずれにしても、111円台を中心とした足もとのレンジを、どちらに、そしてしっかりと放れることが出来るのか、その方向性をまずは注視したい。
一方、材料的に見た場合、今週は週末の5月雇用統計をはじめ、重要な米経済指標が数多く発表されるうえ、米地区連銀総裁などの講演も少なくないが、本日は「これ」といったものが見当たらない。敢えて言えば、ドラギECB総裁が欧州議会で行う講演内容に要注意か。
ただ、週末に米紙ワシントンポストが「米大統領娘婿、露大使に秘密通信ルート提案か」と報じ、トランプ氏への疑惑の広がりが懸念されているほか、そのトランプ氏はG7終了後、ツイッターに「6月以降、不公正貿易相手国へ対抗措置」を示唆する書き込みを行うなど、米国を中心とした通商問題への警戒感もジワリと高まりつつあることは気掛かりだ。続報などに注意を払いたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、110.80-111.80円。ドル高・円安方向は、一目均衡表の基準線や先行帯の雲の上限などが位置する111.60-80円が最初の抵抗で、抜けた場合には112.13円の直近高値がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値111.08円レベルの攻防がまずは注視され、割り込んだ場合には先週安値の110.83円などを目指す展開か。(了)
オーダー/ポジション状況
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