前週の主要レート(週間レンジ)
始値 高値 安値 終値
ドル円 113.26 113.85 110.24 111.27
ユーロ円 123.78 125.82 122.56 124.71
ユーロドル 1.0929 1.1212 1.0923 1.1208
日経平均 19753.46 19998.49 19449.73 19590.76
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。
前週の概況
5月15日(月)
週明けはユーロ高が目立つ一日となりました。フランス大統領選を境に一気に欧州の政治不安が払しょくされたことからユーロの買い戻しが続きましたが、ブレグジットもECBの金融政策もいったん置いておいて、ユーロ買いに走る動きが続きやすい流れとなりました。いっぽうドル円は株高、原油高とリスクオンの動きから円安に動いて、こちらも北朝鮮リスクや日米間の通商問題には目をつぶっている感じが強まりました。
5月16日(火)
ユーロが大幅に続伸しました。東京市場こそ動きが鈍かったものの欧州市場序盤には再び大台1.10台に乗せ、先週初高値を超えたあたりからは積極的なストップ買いが目立ちました。海外市場ではユーロは対ドル、対円で買い続けられる動きとなり、ユーロドルは高値1.1097レベルと昨年11月以来、ユーロ円も125.82レベルと昨年4月以来の高値をつけました。NY市場では弱い経済指標やトランプ大統領とロシアとの問題がドル売り材料となりましたが、勢いのあるユーロドルでのドル売りが中心となってきました。ドル円もNY市場ではユーロドルでのドル売りから上値の重たい地合いとなり112円台に入り込んだ後、若干戻して引けました。
5月17日(水)
大きく円高が進む一日となりました。一昨日以降ロシアゲート問題が急速に最大懸念として浮上し、東京市場から株安、円高とこれまでの典型的なリスクオフ相場となりました。週初は対ユーロでのドル売り、そして現状はスピードが速かったクロス円の利食いも手伝って流れが変わり、NY市場ではトランプ大統領の弾劾リスクがあるとのことで、ダウが大幅安、米金利も下がり円買いの動きとなりました。
5月18日(木)
前日同様ロシアゲート問題を材料としたリスクオフ相場となり早朝から、ドル円、ユーロ円とも売られてスタートを切りました。その後、欧州市場までは短期筋の利食いも出て買い戻しの後の膠着相場となりましたが、欧州市場に入り改めてリスクオフの動きが強まり、株安、円高が強まりました。一時ドル円は110.24レベルの安値をつけ110円の大台を視野に入れる展開となりましたが、その後は株価とともに急速に買い戻され、NY市場では強い経済指標も手伝って一日の高値を更新、111.74レベルの高値を付けた後にやや押しての引けとなりました。
5月19日(金)
ドル円は111円台前半を中心として押し目買いと戻り売りを繰り返し、終日方向感の無い展開を続けました。いっぽう、ユーロドルは欧州市場入りとともに買いが強まり、前日高値を上回ると一段高の動きを見せました。材料的には、株価が堅調な動きとなったこともあり、リスクオフの円買いからこれまでの対ユーロでのドル売りの動きに戻ったことが大きいのですが、シカゴのユーロポジションは引き続き買いが増えており、一時的なユーロ買いではなく大きな流れが変わってきていると考える参加者が増えてきている様子でした。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2017年FOMCメンバー(ニューヨーク、フィラデルフィア、シカゴ、ミネアポリス、ダラス)ではない地区連銀はカッコ付で示しました。わかりやすさ優先で、あえて正式呼称で表記していない場合もあります。
5月22日(月)
08:50 本邦4月貿易収支
21:30 米国4月シカゴ連銀全米活動指数
23:00 フィラデルフィア連銀総裁講演
23:30 ミネアポリス連銀総裁講演
**:** ユーロ圏財務相会議(〜23日)
5月23日(火)
08:30 ブレイナードFRB理事講演
10:10 シカゴ連銀総裁講演
15:00 ドイツ1〜3月期GDP確報値
16:00 フランス5月製造業・サービス業PMI速報値
16:30 ドイツ5月製造業・サービス業PMI速報値
17:00 ユーロ圏5月製造業・サービス業PMI速報値
17:00 ドイツ5月ifo景況感指数
22:00 ミネアポリス連銀総裁講演(28:15にも)
22:45 米国5月MarkIt製造業・サービス業PMI速報値
23:00 米国4月新築住宅販売件数
23:00 米国5月リッチモンド連銀製造業指数
**:** 米国予算教書
5月24日(水)
06:00 フィラデルフィア連銀総裁講演
07:45 NZ4月貿易収支
09:00 黒田日銀総裁挨拶
09:25 バーナンキ前FRB議長講演
15:00 ドイツ6月GFK消費者信頼感
17:00 南ア4月CPI
17:30 プラートECB理事講演
21:45 ドラギECB総裁講演
22:00 米国3月住宅価格指数
23:00 カナダ中銀政策金利発表
23:30 米国週間原油在庫
**:** コミー前FBI長官広聴会
27:00 FOMC(2・3日)議事録公表
5月25日(木)
**:** チューリッヒ市場休場
07:00 ダラス連銀総裁講演
07:30 ミネアポリス連銀総裁講演
16:00 スペイン1〜3月期GDP確報値
17:30 英国1〜3月期GDP改定値
**:** 米仏首脳会談
18:30 南ア4月PPI
**:** 南ア中銀政策金利発表
**:** OPEC総会
21:30 米国新規失業保険申請件数
21:30 米国4月卸売在庫
23:00 ブレイナードFRB理事講演
26:00 コンスタンシオECB副総裁講演
5月26日(金)
08:30 本邦4月CPI、5月東京区部CPI
11:00 (セントルイス連銀総裁講演)
21:30 米国1〜3月期GDP改定値
21:30 米国4月耐久財受注
23:00 米国5月ミシガン大消費者信頼感指数確報値
**:** G7サミット(〜27日)
5月27日(土)
15:50 黒田日銀総裁講演
今週の週間見通し
先週のドル円は、それまでのユーロ高・ドル安に加え、ロシアゲート問題の拡大を懸念したリスクオフの動きから円高が進行、一時110.24レベルの安値を付けた後に111円台前半で一週間を終える展開となりました。
今週も各国での各種経済指標が多く、またFOMCで投票権のある地区連銀総裁の講演が目立ちますが、そうしたイベントよりも気になるイベントがいくつかあります。まず、ロシアゲート問題に何らかの進展を見せる可能性があるコミー前FBI長官の公聴会が24日水曜日に開かれますが、解任前後にトランプ大統領からの圧力があったとの話もあり、内容によっては一段の懸念拡大、そして政治の空転が予想されます。前日23日火曜には予算教書の発表もありますが、今後の展開次第では絵に描いた餅状態が続く可能性があり、トランプ大統領の政策に対する期待の後退による株価動向には注意が必要で、これは引き続きドル売り材料となります。
もうひとつは、週末に北朝鮮がミサイル試射を行いましたが、今週末にはG7サミットもあり、テーマの一つとなることは間違いありません。現状では他国の領域には入り込んでいないため、米国も中国も静観している段階ですが、そうしている内に同国のミサイル技術は着実に進歩していくことも間違いありません。今後のテーマとして、どのような方法で北朝鮮に核を廃棄させるのか難しい問題ですが、放置できない段階に来ているため、これはリスクオフの円買い材料となります。
そして、G7サミットで話される可能性があるのは、米国と他国との通商問題です。北朝鮮の懸念が拡大する中、米国としては中国の協力は必須で、米国の最大の貿易赤字国である中国はいったん棚上げされている様子です。そうなると、2番目は日本ということで、ロス長官の発言や、対日強硬派のライトハイザーUSTR代表就任と、日本に対する黒字減らしの圧力は水面下でかかっていることは間違いありません。いきなり為替調整の話になる可能性は低いものの、これも円買い材料となります。
今週は材料的には上記の通りでドル売り・円買い材料が多いのですが、テクニカルにはどうでしょうか。日足チャートをご覧ください。
これまでの動きは比較的きれいでフィボナッチの値幅観測にほぼ沿った動きを繰り返しています。
まず、5月高値の114.37は、昨年12月高値118.66と年初来安値108.14との61.8%戻しである114.64(緑色)と、3月高値115.50と年初来安値108.14との78.6%(61.8%の平方根)戻しである114.51(水色)に近い水準でした。次に、先週安値の110.24は、年初来安値108.14と5月高値114.37の61.8%押しである110.52(青色)に近い水準でした。すると、次のターゲットは5月高値114.37を起点に、先週安値110.24への半値戻し112.30(赤色)を求めることが妥当であると言えます。
つまり、上限としては112.30、下限は先週安値の110.24がテクニカルから求められ、材料的に上値の重たい展開と考え合わせると妥当なレンジであると言えそうです。今週のドル円は110.25レベルをサポートに、112.30レベルをレジスタンスとする一週間を見ておきます。
今週もユーロドルについて一言。
先週の段階ではシカゴIMMの通貨先物のユーロポジションが2014年5月以来3年ぶりにロングに転じ、これは行き過ぎと考えましたが、その後もユーロ買いは止まらず再び1.10の大台をあっさりと超えてしまいました。この動きは、長期的に流れが変わったと考えた方が良さそうで、今後もユーロは底堅い展開が続くと宗旨替えを表明しておきます。
ドル円(日足)チャート
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみ平均足と同様とすることで、短期的な方向性(緑=上昇、赤=下降)を見やすく加工した当週報独自のチャートとなっています。また、国内外で人気の高い一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。トレンドラインは週初の段階で過去一定期間から自動的に表示される自動トレンドライン(無い場合もあります)となっています。
ディスクレーマー
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オーダー/ポジション状況
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