レンジかドル安再燃か見極め重要に
先週のドル/円相場は、ドル安・円高。週足は5週間ぶりの陰線引けとなっている。ただ、心理サポートである110円はザラ場ベースでも割り込めず、ドルはやや底堅いイメージも残しての越週となった。
ここのところ週明け月曜日の早朝はギャップを空けて寄り付くなど、荒っぽい変動が目に付いたが、先週は113.10円前後と前週NYクローズと大差ないレベルでオープン。そのあとしばらくは113円レベルを下値に底堅く推移するも、週の半ば17日に割り込むと、そのまま週安値の110.24円まで、一気にドル安・円高が進展した。
ただ、そのレベルではさすがに下げ止まると、週末にかけては反発に転じ1円以上の戻りをたどり一時111.74円。そのあと、やや軟化すると111.25-30円で推移し、1週間の取引を終了している。
なお、ドルは対円以外でも冴えない値動き。なかでも、対ユーロでの弱さが目に付く値動きで、ユーロ/ドルやポンド/ドルは週末にかけて年初来高値(ドルの年間最安値)を更新する展開だった。
一方、1週間を通してのニュースや材料だが、先週を総じていえば「トランプ・リスク」に振り回された週だったと言えるだろう。
週の初めは、「米FBI長官解任事件」や、トランプ政権とロシアの不適切な関係をめぐる疑惑である「ロシアゲート」などが拡大の様相を見せ、一部からは米大統領の弾劾に関する発言も聞かれたことなどが嫌気され、ドルの弱材料に。その後は、実際の弾劾に至るには法律的なハードルが高く実現は難しいとの見方などが浮上したことで、週央以降、週末にかけてのドル巻き戻しに繋がっていた感を否めない。
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「115円台乗せを目指す」−−といったドルの上値トライが仕切り直しになったことは間違いないが、再び揉み合い圏入りするのか、それともドルは下値を探る展開をたどるのか、依然としてハッキリしない。テクニカルには、週のザラ場ベースで重要なポイントを幾つか下回ったことで下落リスクが高まった感もあるが、週末のNYクローズでは維持しており、判断が難しい状況だ。
ただ、G7サミットをはじめとする国際的な政治イベントや北朝鮮による弾道ミサイル発射を受けた地政学リスクの再燃懸念、様々な問題が飛び交う「トランプ・リスク」などを鑑みると、ドルが下値トライとなっても不思議はないだろう。
テクニカルには、週足が5週間ぶりの陰線引け。フィボナッチでも、安値108.13円を起点とした上げ幅の61.8%押し110.50円を一時下回っている。リスクという点では下方向にバイアスがかかりそうだが、週末のNYクローズは週足・一目均衡表の先行帯の雲の上限(111.15-20円)をかろうじて維持した。下方向にも、それほど強い勢いは感じられない状況だ。
そんなドルの下値メドは、先週安値も程近い110円レベルで、割り込むようだと今年4月に空けたまま埋めきれてない109.10-60円レベルのギャップがターゲットに。
一方、材料的には、今週も発表される米経済指標は要注意であり、また週の半ばにかけて行われる米地区連銀総裁の講演や、24日のFOMC議事録要旨(5月2-3日分)公開なども波乱要因として注意しておきたい。
しかし、それらとともに気になるものが3つある。ひとつは、G7サミットをはじめとする国際的な政治イベントで、出席者など要人の発言には警戒が必要だろう。ふたつめは、昨20日の夕方に北朝鮮が弾道ミサイル発射を行ったことに対する地政学リスクの高まりへの懸念だ。だいぶ耐久性がついてきた感もあるが、それでも今後の状況如何では、円買い要因となる可能性もある。
さらに、3つめの要因として、くすぶる「ロシアゲート」問題なども留意しておきたい。ちなみに、これらについて、週末にはNYタイムズが「トランプ氏がコミー元FBI長官解任後にロシア高官に、コミー氏は正気ではなかった。強いプレッシャーにさらされていたが、解任したことで取り除かれた、などと述べた」と報じているほか、ワシントン・ポストは、関係者の話として「トランプ氏に近いホワイトハウス高官が捜査線上に上がっている」としているなど、火種はまだまだくすぶったままの状況だ。
そんな今週のドル/円予想レンジは、109.50-112.50円。ドル高・円安については、まずは先週高値の111.74円が最初のドルの抵抗。抜ければ、112円や112円半ばなどがターゲットとなるだろう。
対するドル安・円高方向は、先週安値にも近い心理抵抗110円の攻防が最大のポイントか。割り込むようだと4月24日に空けたままである109.10-60円レベルのギャップが意識されそうだ。(了)
オーダー/ポジション状況
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