ドル下値余地拡大、112円の攻防注視
円高進行112円台前半へ
17日の東京市場は、2日続けてのドル安・円高。それも「早朝高・大引け安」の展開で、夕方にかけては5月5日以来の112.20円台まで一時値を下げる局面が観測されていた。
113.10-15円でオープンしたものの、同レベルを本日の高値に緩やかな右肩下がり。前日のNY市場で「しっかり」とは割り込めなかった113円レベルを下回ると、そのまま戻りらしい戻りもなく112円前半までドル安・円高が進行した。
なお、終日を通した値幅は90ポイントほどで、久しぶりになかなか大きな値動き。16時時点では112.30-35円と、一日を通したドル安値圏で推移し、欧米時間を迎えている。
トランプ政権への不信感からリスク回避
材料的には、大雑把にいってトランプ米政権に対する不信感が高まり、リスク回避の動きから円が志向されていた面が強い。
前日消化不良の感が強かった「トランプ氏、ロシア外相に機密情報漏えいか」とのニュースについて、米大統領自身はツィッターで「情報提供の正当性」を主張し、火消しに動いたものの、もうひとつの問題である「FBI長官解任」に関係するものとして、米紙NYタイムズが「米大統領、側近の捜査中止要請か」と報じ、これが嫌気されていたという。
一方、それとは別に、昼過ぎに「日銀総裁が首相官邸に入る、安倍首相と会談へ」と報じられたため、一部で思惑が広がったが、当の日銀総裁は「金融政策について総理から、とくに要請はない」と発言していた。
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下値112円の攻防か
目先のドル下値メドだった113円レベルを下回ってきており、ドルの下値リスクがいささか高まった感があるものの、攻防の「本丸」は112円レベルか。ザラ場ベースの動きもさることながら、112円レベルをNYクローズで維持できるかどうかで、次の方向性が示されることになりかねない。維持されるようなら、ドル弱気への基調転換は見送られた格好で、しばらくのあいだ「112.00-114.50円」といったようなボックス圏を今後形成する可能性も否定できなくなる。
サポート 112.20-25、112.00、111.60
テクニカルに見た場合、おおむね過去3日ほど推移していた113円台を下方向にブレークしており、ドルの下値余地が広がった感を否めない。足もとは、一目均衡表の先行帯の雲の上限が位置する112.20-25円レベルをうかがう展開で、割り込むようだと安値108.13円を起点としたフィボナッチ38.2%戻しの112円レベル、そして一目の雲の下限も近い111.60円レベルなどがサポートとなりそうだ。
材料難の中ドルは買いにくく
一方、材料的に見た場合、先週末の4月小売売上高から、昨16日に発表された4月住宅着工件数まで、3営業日連続で発表される米経済指標は事前予想を下回る内容。そうした意味では、本日も発表される米経済指標があれば非常に興味深かったが、残念ながらこれといった指標発表は予定されていない。
ただ、指標とは別に、トランプ政権を取り巻く政治リスクや、週末に予定されている米大統領の初外遊や「対日強硬派」がUSTR(米通商代表部)代表に就任し、出席が見込まれる20-21日のアジア太平洋経済協力会議(APEC)などに対する警戒感が強く、積極的にドルを買いにくい状況にあると言えるかもしれない。
欧米時間のドル/円予想レンジ111.60-113.00円
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、111.60-113.00円。ドル高・円安方向は、本日早朝までドルのサポートとして寄与してきた113円レベルが最初の抵抗か。抜けた場合には、113円台後半から114円レベルを目指す展開となりそうだ。
対するドル安・円高方向は、112円の攻防が最大のポイントに。同レベルはザラ場だけでなく、前述したようにNYクローズベースにおいても維持できるかどうか非常に重要だ。112円をしっかり割り込むようだと111.60円レベルなどを目指す展開が予想されている。(了)
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