リスクはドル高だが、上値重く上げ渋りか(5月11日)

11日の東京市場は、揉み合い。114円台、値幅30ポイントほどのレンジ内での一進一退をたどっており、方向性は乏しかった。

リスクはドル高だが、上値重く上げ渋りか(5月11日)

<<東京市場の動き>>

東京ドル円方向乏しく

11日の東京市場は、揉み合い。114円台、値幅30ポイントほどのレンジ内での一進一退をたどっており、方向性は乏しかった。

114.35-40円レベルで寄り付いたものの動意乏しく、とくに仲値決定(10時)前後までは値動き10ポイントほどのベタ凪相場。その後は、多少の動意をみせ、ドル売りが若干売られるも底堅く、下値は114.05円レベルまで。114円台を一度も割り込むことはなく、結局16時時点は114.10-15円で推移し、欧米時間を迎えている。
材料的には、日経平均株価がザラ場ベースで一時2万円台を回復(大引けは19,961円で大台に届かず)したこと、萩生田官房副長官から「日韓首脳が電話会談を行った。北朝鮮問題で緊密な連携を確認した」などとの発言が聞かれたものの、ともに影響は限られた。

ニュージーランド、カナダドルでは波乱

しかし、その一方、動かないドル/円を尻目に、東京時間はNZドルやカナダドルがなかなか激しい動きをみせている。
前者については、早朝に同国中銀が「政策は相当な期間緩和的だろう」と発表したことが嫌気されNZドル売りが進行したほか、後者は、大手格付け会社のムーディーズが「カナダの銀行を格下げ」したことが材料視され、やはりカナダドル売りに繋がっていたという。

<<欧米市場の見通し >>

115円を前に足踏み 114.35-40が抵抗線

依然としてドル高方向のリスクはくすぶるものの、ポイントである115円レベルを前にやや上げ渋りの感もみられるようになってきた。予断は禁物だが、これまでのような一本調子のドル高進行も一服、上値トライは一旦仕切り直しになる可能性もある。

テクニカルに見た場合、フィボナッチや、重要な下降トレンドラインを上抜けたことが確認されており、トレンドそのものもドル高・円安方向にバイアスか。ただ、時間足など短期のチャートを見ると、一昨日そして昨日と2日続けて114.35-40円で上値をキャップされ、ドルの上値がジワリと重くなってきた感を否めない。そのため、114.35-40円が目先の抵抗として意識され、まずはそのレベルの攻防に注視。抜ければ次の抵抗は115円、そして3月31日高値の115.51円などとなるだろう。

地区連銀総裁発言、13日までのG7に要注意

一方、材料的に見た場合、本日も発表される米経済指標ならびに、米地区連銀総裁による講演には要注意。また、13日まで実施されるG7財務相・中銀総裁会議の行方にも注意を払いたい。
ちなみに、G7については、10日に米財務省高官から「通商問題は議題にならない」などとする発言が改めて聞かれており、大きな円買い材料にはならないとの安心感が聞かれる反面、時事通信社は同じく10日に「米政府高官はトランプ政権が目指す貿易赤字削減に向け、輸出が不利になるドル高を改めてけん制する考えを明らかにした」−−と報じており、後者に重きを置けば一気に流れが変わる危険性を秘めているのかも知れない。

欧米時間の予想レンジは113.60-114-80 下方向は底がたく

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、113.60-114.80円。ドル高・円安方向は、前述したように、2日続けてドルの上値をキャップした114.35-40円が最初の抵抗だが、超えればフシ目の115円が現実的なターゲットとなる。
対するドル安・円高方向は、本日東京時間で一度も割り込めなかった114円レベルの攻防にまずは注目。ただ、割り込んでも113.60円レベルなど、下方向のサポートは多く、かなり底堅いイメージだ。(了)

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