<<東京市場の動き>>
10日の東京市場は、ドルの高値圏で揉み合い。約2ヵ月ぶりとなる113円後半を中心としたドル高値圏での推移となったが、ここまでの上昇スピードが速かったこともあり、一段の上値追いは見送られている。
113.95円レベルで寄り付いたものの、明確な方向性はなし。値動きも113円後半を中心とした40ポイント強というレンジ内での上下動に終始している。
オープン直後は久しぶりのドル高値ということで、実需筋の積極的な動意が観測され、やや値を崩したが113.60円台では底堅く下げ切れず。逆に、日経平均株価がしっかりした値動きをたどるなか、ゴトー日(5・10日)仲値不足が喧伝されたことを受けて流れが反転するも114円前後では上値が重かった。結局、16時時点は114.05-10円と、ドル高値圏で推移したまま欧米時間を迎えている。
材料的には、出席した衆院財務金融委において黒田日銀総裁が、「為替変動がもたらす影響をきめ細かく注視」と口先介入と捉えられる発言を行ったものの、円安方向の動きに大きな不満はないとの見方が多く、反応は限られた。また、ブルームバーグは、渡辺元財務官の発言として「貿易黒字は為替相場にそれほど影響与えない」と報じているが、こちらも影響は限定的なものに留まっている。
<<欧米市場の見通し >>
リスクという点ではドル高・円安方向にバイアスを掛けざるを得ない。昨日の欧米時間に114.32円まで一時値を上げており、「中期的なフシ目」だった115円が現実のものとして目前に迫ってきた感がある。一本調子に115円に到達する公算は低いのではないか、と個人的には予想しているが、ここまでの上昇スピードを考えると予断は許さないかも知れない。足もとは一服しているが、ドル高再燃には一応注意しておきたい。
テクニカルに見た場合、昨日レポートしたようにフィボナッチや、重要な下降トレンドラインを上抜けたことにより、ドルに一段の上値余地が広がった感がある。昨日高値である114.32円を超えれば次の抵抗は115円、そして3月31日高値の115.51円など。それらも上回ると、116.15-20円がターゲットとなりそうだ。
一方、材料的に見た場合、連日強気の発言が相次いでいる米地区連銀総裁による講演に要注意。参考までに、本日はローゼングレン・ボストン連銀総裁裁が講演を実施する予定とされている。
また、それ以外となると一時に比べてだいぶ耐久性がついてきたものの、再び不穏な動きも指摘され始めた北朝鮮情勢や、G7財務相会議など政治イベントを控えた貿易や為替に関する要人発言にも警戒を要しておきたい。ちなみに、後者に関して言えば、昨日はロス米商務長官から「ドルが強すぎるわけではない、他通貨が弱すぎる」との発言が聞かれていた。
さらには、NYダウや原油価格、米金利など他市場の動静にも目を配る必要がありそうで、動き如何では為替市場の波乱要因となりかねないかもしれない。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、113.50-114.70円。ドル高・円安方向は、昨日高値114.32円が最初の抵抗だが、超えればフシ目の115円が現実的なターゲットに。
対するドル安・円高方向は、本日東京時間で底堅めした感のある113.60円レベルがサポートとして意識されそう。割り込んでも、113円台前半では下げ止まりそうで、大崩れするイメージには乏しい。(了)
オーダー/ポジション状況
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