114円到達からの調整感、3月高値期待続く(5/10)

5月10日未明に114.33円まで上昇、4月17日安値108.13円以降の上昇における戻り高値を更新した。

114円到達からの調整感、3月高値期待続く(5/10)

<概況>

5月10日未明に114.33円まで上昇、4月17日安値108.13円以降の上昇における戻り高値を更新した。
4月17日への下落は仏大統領選挙への警戒感、朝鮮半島有事情勢、米長期金利の低下傾向による米日10年債利回り格差の縮小が背景であった。4月17日に108円を試したが割り込まずに突っ込み警戒となり、その後は直前の下落要因が徐々に解消、ドル円は揺れ返しの上昇へと進んだ。
仏大統領選挙で中道派のマクロン氏が勝利してEU混乱リスクは解消、楽観的な市場心理により欧州株が急騰した。北朝鮮は4月25日の建軍記念日に核実験強行せず一触即発的な危機感が後退、その後は米朝対話の可能性も浮上する等、一時の緊張感は見られなくなった。米連銀は5月4日未明のFOMCでは現状維持としたが、年内あと2回の追加利上げ及び年後半におけるバランスシート圧縮開始というスタンスを維持、市場は6月FOMCにおける利上げ確率を8割と見込み、米長期金利が上昇基調に入っている。

【米長期債利回り上昇とドル円の正相関】

米日の10年債利回りスプレッドの拡大がドル高円安の正当な口実となっている。本邦の10年債利回りはゼロ近辺での推移のため、米日の利回りスプレッドの拡大縮小は米10年債利回りが上昇するか下降するのかによって決まる。3月以降のドル円はほぼ米10年債利回り、米30年債利回りの推移と正相関となっている。
米連銀の追加利上げ姿勢、先行きの長期金利上昇見通しを踏まえ、現行の水準における社債発行を急ぐ動きもみられることが米長期債市場における売り圧力につながっている。また米トランプ政権が超長期債の発行へ前向きと報じられてから長期債利回り上昇がより目立ってきている印象もある。この傾向が継続する内はファンダメンタルズ的なドル高円安を継続しやすい。

【朝鮮半島情勢】

英スカイ・ニュースが北朝鮮の駐英大使の話として報じたところによると、同大使は北朝鮮が米国の戦略資産を「灰にする用意がある」と述べ、6回目の核実験を断行する準備をしていると語ったという。従来の挑発的姿勢を継続しているだけなのか、具体的な核実験強行が迫っているのかは定かではないが、大きく後退していた半島有事リスクを再び意識させ、114円に到達したことに対する高値警戒感とも重なって10日未明からのドル円反落要因となっている印象だ。米朝対話の可能性すら報じられて緊張感が薄れてきた中での報道のため、リスク問題を再認識させるものとなりかねないため今後の北朝鮮動向を注視する必要がありそうだ。
ただし、韓国大統領選では南北対話の可能性を示唆する文氏が圧勝したことにより、北朝鮮に対する韓国側からの拙速な挑発、緊張を煽る動きは出てこないと思われるため、英スカイ・ニュース報道以外に、更に危機感を助長するような追加報道が出てこなければ市場の反応も限定的なものに留まると思われる。

【60分足一目均衡表分析】

【60分足一目均衡表分析】

5月4日夜高値で113円に到達、5月8日朝高値では新たな高値更新に至らずにダブルトップ型を形成しかけた。しかし8日夜の上昇で4日夜高値を突破、ダブルトップ破りによる一段高へ走った。ダブルトップ間の値幅が凡そ1円であり、4日夜高値に1円加算した114円到達が目先の上値目処であったが、10日未明への上昇で114円台に乗せてひとまず上値目標に到達した。
先行スパン及び遅行スパンとのかい離も大きくなり、60分足の14本相対力指数(RSI)は80を超え、9日夜時点と10日未明の高値更新時点では指数がほぼフラットとなって小規模の弱気逆行(ダイバージェンス)を見せているため、目先的な買われ過ぎ警戒感による調整安に入っている印象だ。
概ね3日から5日周期の短期的な安値・高値形成のサイクルで見れば、4日夜高値から3日を経過した10日未明高値でサイクルトップをつけて下落に入っている印象。26本基準線(現在113.72円近辺)を割り込んだ状況が続く場合は遅行スパンが実線と交錯する113.10円台、さらに先行スパンのある113.00円から112.70円台にかけての下落へ進む可能性がある。

ただし、前回のサイクルボトムである5月5日午後安値から3日目に入っているので、10日未明高値越えからは新たな強気サイクル入りとして次のトップ形成期となる12日深夜から17日未明にかけての上昇で115円を目指す可能性が考えられる。
5月24日早朝に仏大統領選挙第1回投票の開票速報で急騰した後の調整は凡そ1円安、27日未明高値から28日に三角持合い型で調整した時の下落幅は凡そ70銭であり、今回も高値から70銭から1円規模の調整安が入っても不思議はないが、高値更新ならそうした調整安懸念も杞憂に終わって一段高入り、115円を目指すと積極的に考えたいところだ。(了)<9:30執筆>

【5月10日から11日の予定】

5月10日
10:30 中 4月消費者物価指数 前年比 (3月 1.0%)
10:30 中 4月生産者物価指数 前年比(3月 8.0%)
20:00 欧 ドラギECB総裁、講演

5月11日
 G7財務相・中央銀行総裁会議(13日まで)
01:00 米 ローゼングレン米ボストン連銀総裁講演
03:00 米 4月財政収支 
06:00 NZ RBNZ政策金利発表 (1.75%に据え置き予想)
08:50 日 3月国際収支-経常収支、貿易収支
19:25 米 ダドリーNY連銀総裁講演
20:00 英 BOE政策金利発表 (0.25%に据え置き予想)
21:30 米 4月生産者物価指数
21:30 米 新規失業保険申請件数

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