円安進行後の調整の週(週報2017年5月第二週)

フランス大統領選決選投票は事前予想通りマクロン前経済相の勝利が早々に決まり、早朝の為替市場では、ユーロドルが1.10の大台乗せ、

円安進行後の調整の週(週報2017年5月第二週)

前週の主要レート(週間レンジ)

     始値 高値 安値 終値
ドル円 111.31 113.04 111.30 112.68
ユーロ円 121.43 124.05 121.38 123.91
ユーロドル 1.0906 1.0999 1.0875 1.0999
日経平均 19154.03 19464.30 19144.62 19445.70

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

前週の概況

5月1日(月)

1日は東京とNYを除いた主要市場がメーデーで休場となることもあり、基本的に動きが鈍い一日となりましたが、東京市場では米国の歳出に関して暫定合意との話を材料にドルが底堅い動きとなりました。また日経平均が強い動きとなっていたことからクロス円の買いも見られましたが、東京もGWの狭間ということもあって全般に取引は低調な印象でした。NY市場では弱い経済指標からいったん押し目を作ったものの、ムニューシン財務長官が共和党の8割が税制改革に賛成と述べたことから、再びドル買いが出てドル円は111.93レベルまで上昇、ユーロドルが動かない中ユーロ円も122.09レベルまで買われた後、それぞれ若干押しての引けとなりました。

5月2日(火)

東京市場では前日に続き株高も支えとなって円安が進行、またギリシャ債務問題に関して改革案に合意したとのニュースからユーロも底堅い動きとなり、欧州市場の前場にはドル円が112.31レベル、ユーロ円は122.60レベルの高値を付けました。NY市場では翌日にFOMCを控えていることもあって利食いの調整が入りやや押しての引けとなりました。

5月3日(水)

3日以降週後半は東京市場が休場となることもあり、GW後半初日のアジア市場はほとんど動意は無かったもののドルは引き続き底堅い展開となりました。NY市場では強い経済指標に支えられドルが一段高、ドル円はFOMCを前に前日高値を上抜け、FOMCでは第1四半期の減速は一時的と強気の見通しを示し米金利が上昇、ドルは一段高となりドル円は112.78レベルをつけ高値圏での引けとなりました。

5月4日(木)

FOMC後の流れを受けドル円は堅調さを保ちましたが、動きが目立ったのはユーロドル。アジア市場ではドル買いの動きから一時1.0875レベルの安値をつけましたが、その後は週末のフランス大統領選決選投票で順当にマクロン前経済相が勝利するとの見通しから急速にユーロ買いに切り返し、ストップオーダーも巻き込みながらNY市場の引け間際には1.0987レベルの高値をつけ、そのまま高値圏での引けとなりました。ドル円は、ユーロドルのドル売りに引っ張られて下押しの動きとなり、雇用統計を前にいったん調整が入っての引けとなりました。

5月5日(金)

アジア市場では、前日47ドル台半ばから45ドル台前半へと急落した原油相場に更なる売りが入り、東京正午過ぎの夜間取引で一時43.76ドルの安値をつけました。前日こそ為替市場の反応は鈍かったものの、この原油の動きからリスクオフで主要3通貨ペアともに雇用統計を前に売られ、ドル円は112.09レベル、ユーロドルも1.09台半ばへと下押ししての米国雇用統計待ち。雇用統計は失業率が4.4%、NFPが+21.1万と強い数字が出て、初動こそ動きは鈍かったものの、引けにかけて3主要通貨ペアともにアジア市場でのリスクオフの巻き返しが強まり、ドル円は112.80と前日高値は超えられなかったものの、ユーロドルは1.0999レベル、ユーロ円も124.05レベルの高値をつけ、それぞれ高値圏での週末クローズとなりました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2017年FOMCメンバー(ニューヨーク、フィラデルフィア、シカゴ、ミネアポリス、ダラス)ではない地区連銀はカッコ付で示しました。わかりやすさ優先で、あえて正式呼称で表記していない場合もあります。

5月8日(月)
**:** 中国4月貿易収支
10:30 豪州4月NAB企業景況感
15:00 ドイツ3月製造業受注
21:35 (セントルイス連銀総裁講演)
21:45 (クリーブランド連銀総裁講演)
23:00 米国4月労働市場情勢指数

5月9日(火)
15:00 ドイツ3月鉱工業生産
22:00 ミネアポリス連銀総裁講演
23:00 米国3月卸売在庫・卸売売上高
26:00 (ボストン連銀総裁講演)
29:15 ダラス連銀総裁講演

5月10日(水)
08:50 日銀金融政策決定会合(4月26・27日)主な意見公表
10:30 中国4月CPI・PPI
20:00 ドラギECB総裁講演
21:30 米国4月輸入物価指数
23:30 米国週間原油在庫
25:00 (ボストン連銀総裁講演)
27:00 米国4月財政収支

5月11日(木)
06:00 NZ中銀政策金利発表
07:00 NZ中銀総裁会見
08:50 本邦3月貿易収支
17:30 英国3月鉱工業生産、3月貿易収支
20:00 英中銀政策金利発表、四半期インフレ報告
20:00 南ア3月製造業生産
21:30 米国4月PPI
**:** G7(〜13日)

5月12日(金)
07:30 NZ4月企業景況感
15:00 ドイツ1〜3月期GDP速報値
15:00 ドイツ4月CPI確報値
18:00 ユーロ圏3月鉱工業生産
21:30 米国4月CPI、4月小売売上高
22:00 シカゴ連銀総裁講演
23:00 米国5月ミシガン大消費者信頼感指数速報値
23:00 米国3月企業在庫
25:30 フィラデルフィア連銀総裁講演

今週の週間見通し

フランス大統領選決選投票は事前予想通りマクロン前経済相の勝利が早々に決まり、早朝の為替市場では、ユーロドルが1.10の大台乗せ、ドル円も113円台に乗せ先週高値を超えてのスタートとなりました。その後、市場が落ち着いてくるとユーロドルもドル円も先週末の水準へと戻し、さすがに今回は荒れ相場とはなりませんでした。

この1週間はGWの最中ということもあり、ドル円は過熱感の無いままに113円台乗せを見ることとなりましたが、予想した高値こそ1円ずれてしまったものの米国雇用統計前後でドル円は高値をつけやすいという動きが今のところ再現されています。先週はFOMCで先行きの米国経済に強気の見通しが出た後に、米国雇用統計も強い数字となったことから6月利上げがほぼコンセンサスとなり、米金利の動きもドル円の下支えとなりました。また、連休中の海外日経平均先物の動きからこれまでなかなか抜けられなかった19700円を抜けて来ると、ようやく日本株にも買いが出て来る期待感もあり、どちらかというとリスクオンで反応しやすい材料が目立ちます。

しかし、気になることもあります。米国貿易収支で対日赤字が増加したことからロス商務長官が異例の対日赤字は耐えられず削減が使命とのコメントを出しました。日米経済対話以降は日米間の貿易摩擦に関する話題はいったん引いていましたが、ロス長官の話からは矛先を中国から日本に向けてきたという印象で、7月のサミットに向け対日赤字削減の具体案を求めて来る可能性が高まっています。いきなり為替調整というところまでは進まないとは思うものの、潜在的な円高要因として中期的に気をつけなくてはならない要因です。短期的にはドル高・円安の動きに大きな変化は無いものの、今後どこかで梯子を外される懸念があるとなると、ここからの一段のドル買い特に115円を超えるような動きが出る場合には要注意と考えます。

テクニカルにはどうでしょうか。日足チャートをご覧ください。今回は今後のターゲットを探るために、昨年12月高値が入るようにしてあります。

まずサポート側ですが、大きくは2週間前のフランス大統領選開票後のランニング・ギャップ(勢いがあり埋めないギャップ)の上限となる109.60、そして先週思いのほかあっさりと上抜けてしまった3月末の戻り高値112.20、さらにあまり強さは感じられないものの4月高値の111.78、これら3つがテクニカルには重要なポイントとなりますが、心理的な要素と年金の買いが出た110円の大台も考慮されるべき水準です。

次にレジスタンス側ですが、昨年12月高値118.66と今年4月安値108.14の半値戻しにあたる113.40、これはもっとも近い水準ですがテクニカルには重要なポイントとなります。また、3月高値115.50と4月安値108.14の78.6%(61.8%の平方根)戻しが113.93にあり、次のレジスタンスとなりますが、113.40に比べると強さはいまひとつです。

テクニカルには、112.20〜113.40がもっともありそうなレンジということになりますが、4月安値以降、特にこの2週間での上昇幅とスピードを考えると、いったん減速し調整を挟むと考えた方が自然です。GWも明け東京勢が戻ってくると売買ともにオーダーに厚みが出て来るでしょうから、上記テクニカルなレンジをコアレンジと考え、調整が進む場合には、4月高値圏に重なる111.70レベルまでの下げを考えておくとよいでしょう。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみ平均足と同様とすることで、短期的な方向性(緑=上昇、赤=下降)を見やすく加工した当週報独自のチャートとなっています。また、国内外で人気の高い一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。トレンドラインは週初の段階で過去一定期間から自動的に表示される自動トレンドライン(無い場合もあります)となっています。

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