ドル高継続の様相だが、不安要因も多い
先週のドル/円相場は、ドル高・円安。週足は3週続けての陽線引けとなり、一時3月17日以来となる113円台を記録する局面も観測されていた。
前週末のNY市場を111円台半ばで大引けるなか、週明けは111.20円レベルで寄り付いた。週末に北朝鮮が弾道ミサイルを発射したとの報道があり、地政学リスク再燃観測なども聞かれ、薄商いのなかリスク回避の動きが活発だったようだ。
しかし、インパクトは限定的で、週初に記録した111.15円を週間のドル安値にその後は右肩上がり。「米共和党と民主党は議会で9月30日までの総額1兆1000億ドルの包括的歳出法案で暫定的合意に達した」と報じられたうえ、週の半ばまでに発表された米経済指標が総じて良好な内容になったことや、FOMCにおいて6月の米利上げ観測が改めて示されたことなどが好感されていたという。
ただ、4日の欧米時間に113.05円までドル高が進行したのちは、若干上げ渋る展開で、週末にかけては112.10円と1円程度値を下げ、そののち112.70円程度まで値を戻して1週間の取引を終了している。
なお、1週間を通してのニュースや材料、前述したもの以外では、週末5日にロス米商務長官から「対日赤字、これ以上耐えられない」との発言が聞かれ、これが113円台記録後の調整的なドル売りを誘発していた感を否めない。
また、同じ週末5日には注目の米雇用統計発表が発表され、もっとも関心が高かった非農業部門雇用者数は事前予想値プラス19万人に対し、同21.1万人の好数字だったが、平均時給の伸び悩みや前月下方修正などが嫌気され、ドルの買い要因としてはやや力不足だった。
<< 今週の見通し >>
前述したように、先週のFOMCを受けた6月の米利上げ期待感が高まるなか、週末に発表された米雇用統計も好数字となり、日米金利差などに着目したドル買いが出やすい環境だ。また、NYダウも3月初めにつけた最高値まであと100ドル強と、最高値更新を視野に入れた展開となっている。今後の動静次第とは言え、こちらも基本的にはドルの支援要因か。
ただ、米商務長官発言に端を発した日米貿易摩擦再燃懸念や、くすぶる地政学リスク、週央に予定されている韓国大統領選への警戒感なども指摘され、それらは逆に円買い要因となる可能性もある。115円に向けた一本調子のドル高進行は、なかなか難しいかもしれない。
テクニカルには、前回高値115.51円を起点とした下げ幅のフィボナッチ61.8%戻しにあたる112.70円レベルを超えてきただけでなく、一時113円台を記録しており、次のターゲットはドル高値118.66円を起点とした下げ幅の半値(50.0%)戻しにあたる113.40円レベルか。そのレベルも突破すれば、115円も薄らとではあるが、視界内に捉えられることになりそうだ。
一方、材料的には発表される米経済指標や、連日のように実施される米地区連銀総裁の講演が注目されるが、それよりも米金利や株式、原油価格などほかの金融市場の動きに注意が必要という気がしている。つまり、たとえば米株が続伸、最高値更新などとなれば、為替市場においてもドルが買い進まれも不思議はないだろう。
また、それとは別に9日に予定されている韓国大統領選や11-13日のG7財務相会議なども一応要注意。後者については、先週の米商務長官発言などもあり、仮にドル高けん制的な内容が聞かれるようだと、流れが再び円高へと傾く可能性もある。
そんな今週のドル/円予想レンジは、111.00-114.00円。ドル高・円安については、まずは先週高値の113円レベルの攻防に注目。抜ければ、113.40円や113.75-80円、114円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、移動平均の13週線などが位置する111.90円前後が最初のサポートで、111.20円レベルには週足・一目均衡表の先行帯の雲の上限が位置しているなど、基本的に底堅いイメージだ。(了)
オーダー/ポジション状況
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