3月10日高値への揺れ返しあるか?(週報5月第二週)

4月17日への下落で108円割れを試すところまで円高ドル安となったが、

3月10日高値への揺れ返しあるか?(週報5月第二週)

<概況>

4月17日への下落で108円割れを試すところまで円高ドル安となったが、その背景は仏大統領選挙と朝鮮半島有事リスクであった。4月24日の仏大統領選挙で中道派のマクロン氏が1位通過となり、フランスのEU離脱リスクは後退した。さらに4月25日の北朝鮮建軍記念日における核実験強行が無かったために半島有事リスクも後退して4月27日未明には111円台回復まで円安ドル高となった。

リスク回避感が後退する中、株高と歩調を合わせてドル円は上昇、5月2日には112円台に到達、さらに5月4日には113円到達まで一段高となった。5月1日夜に米財務長官が超長期債導入への前向き姿勢を示したことによる米長期債下落(利回り上昇)により日米10年債利回り格差が拡大、ドル円には上昇圧力となった。また5月4日未明にはFOMC声明が出され、市場予想通りに現状維持ではあったが6月会合での利上げ確率は上昇してドル高円安材料となり113円到達のきっかけとなった。
米雇用統計を控えて5日の日中へはポジション調整的に下落して112円を試したが、その後は再び上昇、雇用統計は強い内容で米連銀の6月利上げの可能性を拡大、ドル円も5日午後からの上昇基調を維持して週を終えた。

【リスク回避感後退による楽観の回復、株高連動での円安】

トランプ大統領のツイッターを発端とした朝鮮半島有事リスクの急拡大とフランス大統領選挙への懸念が円高要因だったが、仏大統領選挙での中道マクロン氏首位通過によりリスク回避感が後退。その後も北朝鮮がミサイル発射を強行しても一触即発的な有事リスク拡大感には至らず、二つの大きなリスク回避感が後退して欧米株高となり、リスク回避感後退でドル円は上昇した。

5月1日、ムニューシン米財務長官がブルームバーグTVインタビューで「超長期債の発行を検討している作業部会がある」「超長期債発行は財務省にとって完全に理にかなったものとなる可能性があると思う」と述べた発言が米長期債の下落=長期債利回り上昇要因となり、日米10年債利回り格差の拡大としてドル買い円売り要因となった。

5月4日未明の米連銀FOMCでは金融政策を現状維持とされたが、3月の雇用統計で落ち込み等を一時的なものとし、2017年中に追加利上げ回数を3回とした引き締めのスタンスは維持された印象を与えた。このため、声明発表後の6月利上げ確率は一段と高まり、ドル円には上昇要因となり113円到達のきっかけとなった。

米労働省が発表した4月の米雇用統計では非農業部門雇用者数は前月比21万1000人増で市場予想の19万人増を上回った。前月は7万9000人増となり、速報値の9万8000人増からさらに下方修正された。また平均時給は前年同月比2.5%増となり、前月(2.6%増)から減速した。
雇用統計発表後の金融市場全般の反応は限定的だったがドル円はやや上昇して112台後半を維持して週を終えた。

5月4日、ロス米商務長官が米の貿易収支統計の発表後に対日赤字が大幅に拡大したことを踏まえ、「米国はもはやこの膨張した貿易赤字に耐えられない」と発言した。3月の対日貿易赤字は72億ドルで前月比55%増と目立った。日本へのを名指し批判とも受け止められる。今後、貿易通商問題については日米の二国間協議が予定されているが、米国第一主義、保護主義、朝鮮半島有事リスクを背景とした日本への通商問題における譲歩的な要求も懸念される。

【日足 一目均衡表分析:1月・3月高値を結ぶ抵抗線到達】

【日足 一目均衡表分析:1月・3月高値を結ぶ抵抗線到達】

仏大統領選挙情勢への楽観論からユーロが上昇してユーロ高ドル安、その一方ではドル円もリスクオン指向から上昇してドル高円安となっている。ドル指数では4月序盤から下落基調のままであり、総合的にはドル安状況にあるが、ドル円は4月17日からの上昇基調が継続している。
5月4日高値では、12月15日高値とダブルトップを形成した1月3日高値と3月10日の戻り高値を結んだ抵抗線にちょうど抵触するところまで戻した状況にある。日足の一目均衡表では先行スパンの上限に到達した。4月17日からの戻り幅は凡そ5円であり、2月6日から3月10日へ戻したときの凡そ4円を超えている。下落途中のリバウンドとしては昨年5月3日から5月30日へ凡そ6円弱戻したときに近い角度で進んでいる。その時も日足の一目均衡表では先行スパンの上限まで到達したが突破しきれずに反落し、26日基準線割れからは下落再開となった。

下落途中のリバウンドの範囲と考えれば、まず水準的には3月10日高値115.50円に対する揺れ返しへ進む可能性が考えられる。このため、5月4日高値を超え、113円台を維持し始める場合、5月5日夕刻への下落幅に対する倍返しで114円試しへ向かう可能性が考えられ、さらに伸びる場合は3月10日高値試しまで上値目途が切り上がる可能性が想定される。
既に4月17日からの戻りは3週を経過したが、昨年5月3日から5月30日へ凡そ1か月戻したところや、今年も2月6日から3月10日まで1か月を戻したように、戻り1か月というのが日柄的な目安となりやすい。このため、5月4日高値を上抜き、その後113円台を維持するうちは今回も1か月の戻りを想定し、5月17日前後まで円安基調が継続する可能性を考える必要があるだろう。

5月5日への下落では112円割れを回避して戻した。このため、112円割れ回避のうちは一段高余地ありとするが、112円割れの場合は先行スパン雲から下割れ、短期的な弱気転換として5月10日から12日にかけての下落へ進みやすくなると思われる。その際、111円試しへの下落が想定されるが、111円台を維持するうちは4月末に一段高した状況の維持であり、その後の切り返しで一段高へ進む可能性が残る。しかし、110.50円割れへとさらに崩れる場合は日足の26日基準線割れとなり、中勢レベルでの戻り一巡、下げ再開となる可能性が考えられる。(了)<5/7 18時執筆>

【今週の主な予定】

5月8日
    中 中国4月貿易収支 (3月 239.3億ドルの黒字)
21:35 米 ブラード米セントルイス連銀総裁講演
21:45 米 メスター米クリーブランド連銀総裁講演
23:00 米 4月労働市場情勢指数

5月9日
22:00 米 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁講演
23:00 米 3月卸売売上高

5月10日
02:00 米 ローゼングレン米ボストン連銀総裁講演
05:15 米 カプラン米ダラス連銀総裁、講演
08:50 日 日銀・金融政策決定会合における主な意見(4月26-27日開催分)
10:30 中 4月消費者物価指数 前年比 (3月 1.0%)
10:30 中 4月生産者物価指数 前年比(3月 8.0%)
20:00 欧 ドラギECB総裁、講演

5月11日
 G7財務相・中央銀行総裁会議(13日まで)
01:00 米 ローゼングレン米ボストン連銀総裁講演
03:00 米 4月財政収支 
06:00 NZ RBNZ政策金利発表 (1.75%に据え置き予想)
08:50 日 3月国際収支-経常収支、貿易収支
19:25 米 ダドリーNY連銀総裁講演
20:00 英 BOE政策金利発表 (0.25%に据え置き予想)
21:30 米 4月生産者物価指数
21:30 米 新規失業保険申請件数

5月12日
 G7財務相・中央銀行総裁会議(13日まで)
8:50 日 4月マネーストックM3
21:30 米 4月消費者物価指数
21:30 米 4月小売売上高
22:00 米 エバンス米シカゴ連銀総裁講演
23:00 米 5月ミシガン大学消費者信頼感指数速報
23:00 米 3月企業在庫

01:30 米 ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演

オーダー/ポジション状況

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