雇用統計までは静かな週となるか(週報5月第一週)

先週はフランス大統領選の結果を受け、ユーロが対ドル、対円で急騰、ユーロ円の動きからドル円もギャップアップし円安の一週間となりました。

雇用統計までは静かな週となるか(週報5月第一週)

前週の主要レート(週間レンジ)

   始値 高値 安値 終値

ドル円 110.02 111.78 109.61 111.52
ユーロ円 119.64 122.00 118.92 121.53
ユーロドル 1.0874 1.0951 1.0821 1.0898
日経平均 18890.38 19289.43 18840.13 19196.74

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

前週の概況

4月24日(月)

週明けの為替市場は、フランス大統領選の結果が事前予想通りであったにもかかわらず、早朝は場外乱闘気味にユーロドル、ドル円ともに上昇、リスクオンの動きからクロス円全般が大幅高のスタートを切りました。その後はギャップアップしての買いの勢いが速すぎることを警戒する動きや日計り組の利食いも入って、高値圏で動きを取りにくい値動きを続けました。NY市場の昼前にはドル円が北朝鮮情勢を懸念する動きから売りが入り、109.66レベルまで押して安値圏での引けとなりました。

4月25日(火)

主要3通貨ペアともに大幅上昇後ということもあって朝方こそ若干下押しが入ったものの、下がったところで買いたいと考える向きが多く仲値以降は再び上昇トレンドへと戻しました。ドル円は110円の大台を回復して以降は断続的に実需買いも出ていた様子でじり高の流れを続け、北朝鮮の建軍記念日を大過なく経過したことからリスクオフの巻き返しと、NY市場に入ってからは本日にも出て来る米国の税制改革案に期待してのダウ大幅高に支えられる展開。ドル円は111円台乗せ、ユーロ円も121円台乗せと月曜早朝の高値を超えてなお底堅い動きのまま高値圏での引けとなりました。

4月26日(水)

東京市場では週初からの流れを継続し主要3通貨ペアは続伸、ドル円が111円台半ば、ユーロドルは1.09台半ば、ユーロ円は122円目前までそれぞれ水準を切り上げました。フランス大統領選決選投票の安心感はわかるものの、北朝鮮問題もいったん状況が落ち着いているとはいえ緊張が解けない中でのリスクオンの動き、NY市場で発表予定の米国税制改革に向け、ドル高の地合いとなりました。改革案の骨子を発表した後にドル円は一時111.78レベル、ユーロドルも1.0855レベルまでそれぞれドル買いの動きとなりましたが、税率引き下げに関しては公約と同じもので、具体的な財源等については成長で賄うと何ら具体的な内容が示されなかったことで、引けにかけてはドル売りとなりドル円は111円割れ、ユーロドルも1.09台に乗せ、若干調整を挟んでの引けとなりました。

4月27日(木)

日欧の金融政策決定会合を控えた東京市場ではあったものの、日銀会合は大きな材料とはならないだろうとの思惑通りで、結果発表も黒田日銀総裁の会見も無風通過、実需買いにも支えられてじり高の展開を辿りました。ECB理事会の結果発表は予想通りで動きはありませんでしたが、ドラギ総裁会見で下振れリスク後退との発言にユーロ買い、その後出口戦略に繋がる議論が無かったことを受け一転ユーロ売り、短時間に上下に触れましたがNY市場では上値が重たいままで引けました。ドル円はダウが下げた際にそれまでの上昇を失い、引けにかけては動意の無いままでのクローズとなりました。

4月28日(金)

東京市場はGW前の月末ということもあって、ドル円は仲値に向けて若干ドル売りが出た程度でその後は動意薄の展開を続けました。欧州市場に入り発表されたユーロ圏のCPIが強かったことを受け、ユーロが対ドル、対円で上昇、ドル円もその動きに引っ張られて3主要通貨ペアともにNY市場まではじり高の展開となりました。米国GDP速報値は予想よりも弱かったものの他の項目も含め全体としてはニュートラルということで、発表直後にドル買い、その後はドル売りとなり、引けにかけては3主要通貨ペアともに欧州市場序盤の水準へと押しての月末クローズとなりました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2017年FOMCメンバー(ニューヨーク、フィラデルフィア、シカゴ、ミネアポリス、ダラス)ではない地区連銀はカッコ付で示しました。わかりやすさ優先で、あえて正式呼称で表記していない場合もあります。

5月1日(月)
**:** 東京、NYを除く主要市場が休場(メーデー)
21:30 米国3月個人所得・消費支出
22:45 米国4月MarkIt製造業PMI確報値
23:00 米国4月ISM製造業指数
23:00 米国3月建設支出

5月3日(水)
**:** 東京市場休場(〜5日)、香港市場休場
07:45 NZ1〜3月期失業率
16:00 トルコ4月CPI
16:55 ドイツ4月失業率
17:30 英国4月建設業PMI
18:00 ユーロ圏1〜3月期GDP速報値
21:15 米国4月ADP全国雇用者数
22:45 米国4月MarkItサービス業PMI確報値
23:00 米国4月ISM非製造業景況指数
23:30 米国週間原油在庫
27:00 FOMC結果公表

5月4日(木)
**:** 米豪首脳会談
10:30 豪州3月貿易収支
10:45 中国4月MarkItサービス業PMI
16:50 フランス4月サービス業PMI確報値
16:55 ドイツ4月サービス業PMI確報値
17:00 ユーロ圏4月サービス業PMI確報値
17:30 英国4月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏3月小売売上高
20:30 米国4月チャレンジャー人員削減予定数
21:30 米国1〜3月期単位労働コスト速報値
21:30 米国新規失業保険申請件数
23:00 米国3月製造業受注指数
24:30 ドラギECB総裁講演

5月5日(金)
10;30 豪中銀四半期金融政策報告
16:30 ユンケル欧州委員長講演
21:15 トゥスク欧州理事会議長講演
21:30 米国4月雇用統計
21:45 欧州委員会首席交渉官(EU離脱担当)講演
24:30 フィッシャーFRB副議長講演
25:45 (サンフランシスコ連銀総裁講演)
26:30 イエレンFRB議長講演
26:30 シカゴ連銀総裁講演
26:30 (ボストン連銀総裁講演)
26:30 (セントルイス連銀総裁講演)

5月7日(日)
 **:** フランス大統領選決選投票

今週の週間見通し

先週はフランス大統領選の結果を受け、ユーロが対ドル、対円で急騰、ユーロ円の動きからドル円もギャップアップし円安の一週間となりました。フランス大統領選はマクロン前経済相が1位、ルペン国民戦線党首(現在一時的に党首を辞任)が2位と予想通りの結果だったのですが、市場参加者は月曜早朝から場外乱闘気味にユーロ買いに走ったことからこちらは予想に反してのユーロ大幅高を見ることとなりました。

上位2者で今週末7日に決選投票が行われますが、こちらは3位以下の支持者がマクロン前経済相支持に回ることから、マクロン新大統領誕生は間違いの無いところではありますが、さすがに今回は波乱は無いとは思われるものの週明けのユーロ市場がどうなるのかは予想しにくいところです。

いっぽうドル円は東京市場が3〜5日がGWで連休となることもあり、東京を中心にドル円での取引は手控える向きが多いと予想されます。材料的には細かい経済指標は連日ありますが、金曜の米国雇用統計、そして雇用統計後にはFOMC主要メンバーの講演が目白押しとなっていますので、基本的に雇用統計待ちの週となるものと考えられます。また北朝鮮が週末に失敗したもののミサイルを打ち上げたことで、先週はいったん後退した北朝鮮リスクが再び顕在化しつつあり、こちらはドル円の上値を抑える材料です。

材料的には上記の通り週末まで上値は重たいものの様子見とならざるを得ないのですが、テクニカルには先週初にギャップアップで始まり、そのギャップを埋めないままでドル高の流れとなった地合いを考えると、下値もまた底堅いと考えることとなります。ギャップの上限は109.61ですが、その後110円台に乗せたところで実需筋の買いが断続的に出ていたことを考えると110円台前半では買いオーダーが出やすいと言えるでしょう。

続けて日足チャートをご覧ください。上値については3月末の高値112.20が大きなレジスタンスとなっていて、その手前に先週高値111.78が小さなレジスタンスとしてあるといった状況です。雇用統計までは112.20を抜けることは無いと考えますが、前回も弱い雇用統計にもかかわらずその後はドルが強かったことを考えると、今回はよほど弱い数字でもない限りその日に大きく売られるようなことにはならないでしょうが、アノマリー的に雇用統計前後でドルが高値をつけやすいことを考えると112.20は引き続き高値圏と考えてよいでしょう。

今週は東京市場は今日明日の2日しかありませんし、本日はメーデーで東京とNYを除いた主要市場が休場です。週末の米国雇用統計までは静かな週になると見て、110.20レベルをサポートに、112.20レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみ平均足と同様とすることで、短期的な方向性(緑=上昇、赤=下降)を見やすく加工した当週報独自のチャートとなっています。また、国内外で人気の高い一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。トレンドラインは週初の段階で過去一定期間から自動的に表示される自動トレンドライン(無い場合もあります)となっています。

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