<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、ドル高・円安。週足は2週続けての陽線引けとなり、一時111.78円まで値を上げる局面も観測されている。
4月23日に実施されたフランス大統領選の結果を受けて、週明け24日のオセアニア市場から為替市場は大荒れ。さすがにユーロを中心とした動意ながら、ドル/円も下方向に1円以上もの大きなギャップを空け、110円台に乗せたレベルで寄り付いた。
その後はさすがに上げ渋り、ギャップ埋めの動きなども観測されるが底堅い。結局1週間を通したドル安値は109.60円レベルであり、形成したギャップをすべて埋めきることはできず、依然として109.10-60円レベルにギャップは空いたままの状況にある。
ともかく、ドルは週間ドル安値109.60円つけると、再びドル高方向へ勢いをつけた展開で、26日のNY時間には111.78円の週間高値を記録。そのあと週末にかけても111円台をほぼ維持した格好で28日のNYを迎え、そのまま1週間の取引を終了している。
なお、1週間を通してニュースや材料も色々とあり、そのひとつは前述したフランスの大統領選挙だが、以外でとくに注目を集めていたものは大きく2つ。
ひとつは、25日の北朝鮮・朝鮮人民軍創建85周年と絡めた北朝鮮ファクターで、事前には核実験や軍事衝突なども懸念されたが、結局、「過去最大規模の軍事演習を実施した」(聯合ニュース)程度に留まった。これがマーケットの地政学リスクの後退を喚起し、週半ば以降のドル高・円安を後押ししていた面は否めない。
ふたつめは、米トランプ政権による税制改革方針に絡む動きで、法人税率を35%から15%に大きく引き下げるなどとしたことを好感、こちらもドルの買い要因となっていたことは間違いないだろう。
<< 今週の見通し >>
先週の相場をザックリ言えば、「地政学リスクの後退」と「米政権に対する政策期待」の2つが台頭し、ドル買い・円売りが優勢だった。今週も基本的な流れは続くとの指摘も聞かれるものの、ご承知のように4月29日の早朝に北朝鮮はまたまた弾道ミサイルを発射したとされ、早くも「地政学リスクの後退」については黄信号がともった感もある。今後の状況次第といった面は否定できないが、再びリスク回避のドル売り・円買いなどが優勢になっても不思議はないかも知れない。
テクニカルには、週足・一目均衡表において、わずかながら先行帯の雲の上限(111.20円)を超えてきた。ドルの下値リスクはいくぶん軽減されたと言えよう。
しかし、先週のドル高値に近い111.80-85円は前回高値115.51円を起点とした下げ幅のフィボナッチ半値(50%)戻しにあたるほか、その少し上のレベル112.20円は3月高値であるだけでなく、ドル高値118.66円を起点とした下げ幅の38.2%戻しにほぼ合致する。重要な抵抗であるがゆえに、抜けた場合には値の飛ぶ展開も予想されるが、まずはしっかりと超えていくことが出来るのかどうか、攻防を注視したい。
一方、材料的には幾つか興味深いものがあり、そのひとつは前述したような復活の兆しのある「北朝鮮ファクター」だが、それ以外では、1日のISM製造業景況指数や5日の雇用統計などを始めとした米国の経済指標発表にまずは要注意。また、2-3日に予定されている米FOMCも波乱要因として警戒する市場参加者は少なくないようだ。
さらに、来週末11-13日のG7財務相会議や、月末26-27日のG7首脳会議なども視野に入れつつ、今週は重要とされる国際会議が多い。週の半ば以降は、東京勢がGWに入り、薄商いとなることで、些細なことでも予想外の値動きに繋がりかねない危険性を孕んでいる。
そんな今週のドル/円予想レンジは、109.50-112.50円。ドル高・円安については、118.80-85円や112.20円などの攻防がまずは注目で、抜ければ113円台の回復が名実とも視界内に捉えられそうだ。
対するドル安・円高方向で大きなフシはやはり110円レベル。しっかり割り込めば、先週記録したまま埋め切れていない109.10-60円のギャップが意識されよう。(了)
オーダー/ポジション状況
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