2017年の為替相場について(ドル、ユーロ)

昨年11月から約2か月間続いた期待先行のトランプラリーは今年に入ってやや落ち着きを取り戻し、

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2017年の為替相場について(ドル、ユーロ)

2017年の為替相場について(ドル、ユーロ)

(概要)

昨年11月から約2か月間続いた期待先行のトランプラリーは今年に入ってやや落ち着きを取り戻し、トランプ新大統領の政策実行力と議会との交渉力を見極めようとする動きに転じています。年初から見られた為替相場の調整的な動きも予想の範囲内に留まっており、大幅なドル下落には繋がっていません。このまま調整局面を終えて、強いアメリカの象徴としてのドル高傾向が強まるのか、或いは昨年11月来のドル高の流れに大きな変化が生ずるのか、「米国第一主義」を謳うトランプ大統領の政治的手腕が不透明な状況にあるだけに、今後のアメリカの実態経済や金利の動向を注視しつつその動静をさらに見極める時間が必要と見られます。

また、就任初日にTPPからの脱退、NAFTA見直しを決定したアメリカの保護主義貿易の高まりは、先進国のみならず新興国へも多大な影響を及ぼすことが予想され、その動向にも注目が集まるものと見られます。国益優先のアメリカが大統領令の乱発により実行力への期待感が先行して短期的なドル高圧力が強まるとしても、時間の経過と共にその方向性の危うさや米国の企業にとってのマイナス面も表面化してくることが予想されます。一方で、減税、大規模なインフラ投資が本当に実行されれば、企業の設備投資、労働市場への貢献度は大きく、現在の景況感が良い状態にあるだけに期待度がさらに増してアメリカの一人勝ちともなりかねません。しかし、こうした政策は「ドル高」に繋がる可能性が高くなりますから、アメリカが貿易摩擦問題を前面に押し出して来ることと矛盾が生じます。極端な方向転換は世界的な通貨安競争を誘発しかねず、今年の為替相場は思惑的な動きから上下に振れる展開が予想されます。

一方ヨーロッパも同様に移民の受け入れ増加に伴う財政支出や社会保障問題、或いはテロへの懸念が国民感情に大きな影響を与えており、政治的な問題として大きなウェイトを占めつつあります。オランダやフランスでもEU離脱を唱える極右派が勢力を強めており、先進国の外交、政治・経済政策にも影響を及ぼすことが予想されます。先進国が互いに協力して世界経済の成長を促してきたこれまでの世界経済成長戦略の底流に変化が認められつつありますが、EUは今年3月のオランダの選挙を皮切りに、フランス、ドイツと選挙の年になりますから、“ユーロ離脱派”が力を増す可能性があり、移民問題、金融機関の財務脆弱性など多くの問題を抱えるユーロ圏経済と政治からも目が離せません。

こうした中で今年の主な注目材料は以下があげられます。
○ 新米大統領の外交、政治的手腕と金利動向
○ 保護主義貿易の高まりと通貨安競争
○ 欧州の議会選挙と移民問題
○ イギリスのBrexit交渉の行方

(チャートから見た主要通貨の長期トレンド)

1.ドル/円相場

1.ドル/円相場

ドル/円の長期トレンドは四半期足で見る限り、100〜120円の大きなレンジ内に収まっており、2015年6月に付けた125.86を高値とする円高/ドル安トレンドに変化は認められませんが、月足、四半期足ともに121円超えで越月した場合は、長期トレンドがドル高/円安の流れに変化します。一方下値も、超長期的な下値抵抗ポイントであった99〜101円台にはしっかりと跳ね返されており、昨年6月の99円台で大底を見た可能性が高くなっています。また、1995年4月に付けた79.75と2011年10月に付けた75.53で超長期的な二番底を確認した可能性が高いと見られること、11月の101円台からの急伸の過程で100〜101円台が中期的な下値抵抗として働く可能性が高くなっていますから、95円割れで越月しない限り、下値余地もまた拡がり難いと見られます。四半期チャートで見た長期トレンドは、95円割れの越月で85円方向への下落へ。121円超えの越月で130円超えトライの動きが強まることを示唆しています。

1.ドル/円相場 2枚目の画像

一方週足で中期的な方向性を見ると、2015年6月の125.86を起点として上値を切り下げる流れには変化が認められませんが、120.50超えで越週出来れば一段のドル上昇の可能性が、逆に101円割れの越週で一段の下落リスクが点灯します。

2.ユーロ/ドル相場

2.ユーロ/ドル相場

ユーロ/ドルは、2008年7月に付けた1.6040を高値とする長期的なユーロ安/ドル高基調には変化が認められません。また、2015年12月に付けた1.0524を起点として下値を切り上げて来た中期的なトレンドラインから下抜けた位置で推移しており、この上値抵抗が1.1300〜1.1400にあることや、昨年5月に付けた1.1616を直近高値として上値を切り下げる流れからも上抜けておらず、この上値抵抗も1.12台前半に位置しており、中期トレンドもユーロ安/ドル高の流れにあります。

2.ユーロ/ドル相場 2枚目の画像

一方、週足でもう少し近場のトレンドを見ると、2016年5月に付けた1.1616を起点として上値を切り下げる流れには変化が認められず、この上値抵抗が1.12台前半にあることや、これを上抜けた場合でも1.1480-1.1500に週足ベースで見た強い横レジスタンスがあることから1.1500台を回復して越週しない限り、中期トレンドは下値リスクがより高いことを示しています。一方で、現状は2015年3月に付けた1.0463、同12月の1.0524を上抜けた水準で推移しており、1.0400割れの越週とならない限り、短期的には下値余地もまた拡がり難い状態です。

3.ユーロ/円相場

3.ユーロ/円相場

ユーロ/円は2008年8月に付けた169.48を高値とする超長期的なユーロ安/円高トレンドに変化が認められませんが、2014年12月に付けた149.55を起点として上値を切り下げて来た流れからは若干上抜けた位置で推移しており、中・長期トレンドが変化する可能性が点灯しています。この下値抵抗は118円台に位置しており、118円割れで越月しない限り、上値トライの可能性を残した状態です。124円台にしっかり乗せて来るか125円超えの越月で一段のユーロ上昇に繋がり易くなりますが、現状は31ヵ月移動平均線が129円台半ばに位置しており、130円台定着を見るにはまだ力不足と見られます。

3.ユーロ/円相場 2枚目の画像

一方週足も、2014年12月に付けた149.55を起点として上値を切り下げる流れから上抜けた位置で推移しており、上値余地を探る動きが期待できますが、121〜123円台での揉み合い状態から抜け出しておらず、急伸にも繋がっていません。現状は31週、62週移動平均線の上で推移しており、上値トライの動きが強まる可能性がより高い状態ですが、121円割れで越週した場合はやや下値リスクが高くなり、118〜120円方向への下落リスクが点灯します。逆に124円超えで越週した場合は、揉み合いを上抜けて125〜127円方向への一段の上昇に繋がり易くなります。

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