トランプ米大統領は本物か(2017年1月31日)

昨年11月の米大統領選挙以降、市場は新しい米大統領の掲げる施策の良い面を前のめりに織り込む格好で、ここ3カ月間トランプ相場を演じてきました。

トランプ米大統領は本物か(2017年1月31日)

ユーロドル:1月31日のファンダメンタル分析

昨年11月の米大統領選挙以降、市場は新しい米大統領の掲げる施策の良い面を前のめりに織り込む格好で、ここ3カ月間トランプ相場を演じてきました。ドル円相場で言えば101.18から118.67へドル高、NY ダウは20000ドルを超え、米10年債誌回りは2.55%まで上昇しました。FRBも昨年12月には、1年ぶりに利上げ0.25%を全会一致で決めました。

そしてこの20日の就任式以降、大統領令の連発です。1つ1つの内容は選挙期間中の公約通りなので意外性は無いのですが、市場が驚いたのは、そのスピード感と、トランプ大統領の有言実行の態度でした。
市場は当初、これらを期待感をもって良く評価し、結果NYダウが20000ドルを達成しました。

それまでは、年初早々、トランプ氏が、就任前にも拘わらず、自動車メーカーを批判すれば、各社米国での雇用数の増加や、米国内への工場建設を約束し、次に米国の主要企業の首脳を集めて「米国に雇用を」と訴えれば、各社雇用増の計画を即・速発表。戦闘機の値段が高いと批判すれば軍需産業は値段を下げ、その快進撃は向かうところ敵なし状態でした。新しいマイペースな新大統領に抗しても利は無いと判断したのでしょう。

そこまでは良かったのですが、市場のその流れに淀みが生じたのは、27日に難民・移民に米国への入国を制限する大統領令へ署名が成されてからです。
1.この大統領令が違法でないか司法の場で戦う事になり
2.同胞の米共和党からも意義・批判が出ていて
3.しかもドイツ、フランス、カナダ等、他の諸外国首脳からも意義・批判が出ています。
しかしこの大統領令は、扱う問題が難民・移民で、いわばトランプ大統領の選挙公約の1丁目1番地。トランプ大統領としても、決して譲れない問題なのです。
しかし市場はトランプ大統領のこの大統領令に対して昨日NOを示し、ドル円は113.46まで下押し、NYダウは前日比120ドル超安の20000ドル割れとなり、欧州株も軒並み大幅安でした。
又、ロイターによれば、ゴールドマン・サックスのロイド・ブランクファインCEOは、トランプ米大統領によるイスラム圏7か国からの入国を禁止する大統領令について「我々が支持する政策ではない」と、批判していて、IT産業からのみならず、金融界からも反対の声が拡がりつつあります。

現在テルアビブにあるイスラエルにおける米国大使館をエルサレムへ移すとした発言した事も含め、今後トランプ大統領への風当たりは厳しいものとなるでしょう。
これらの問題をどう乗り切るのか、市場はそれをどう評価してゆくのか、その過程、その結果で、トランプ大統領が本物かどうか、つまり市場がトランプ大統領を前向きに認知するかどうかがハッキリしてきます。
それによって、今後の相場がリスク・オンなのか、リスク・オフなのかが決まって来ます。市場の審判に要注意です。

ドル円:1月31日のテクニカル分析

ポイント:短期足元では、方向感失っています。

先週末27日に、高値更新を目指すに必要と見ていた115台を回復して115.09水準で週超えしたと思った矢先、
週明け昨日は早朝からギャップダウンの114.90水準で始まり、東京時間は日経平均が一時前日比150円超安の19300円割れと安く推移で、ずるずると30日安値の114.26まで下押しました。欧州時間に入り一時114.93まで上戻すも再度下値を模索、113.46まで下げました。

先週も述べた様に、ファンダメンタルで見た場合、足元、NYダウが20000ドル突破でリスク・オンの流れなのか、連発されるトランプ米大統領の大統領令による懸念からのリスク・オフ相場なのか、ハッキリしません。

今日言えるのは、115台を維持できず、114台も割り込んでしまった、維持する勢いが無いという事です。
そんな方向感を失った中、上値は基準線の115.57で抑えられる中、下値の目途転換線の114.08を割り込んできたため、足元は下向きです。

上値方向を目指すには
1. 先ずは115台の回復が必要です。
2. そして27日高値の115.37を超えてくれば、一段の高値更新の可能性が見えてきます。
3. その場合の上値目途は、横ばい推移で115.57に位置する日足の一目均衡表・基準線です。
同線を下回っている限りは、まだ安値模索への動きがいつ再開してもおかしく無いと判断します。
4.その上値高値更新となるかは、19日高値の115.62を上抜けて行けるかでしょう。

横ばい推移で114.08に位置する日足の一目均衡表・転換線を下回っている内は下値を模索と判断、下値目途は、
1.112.50水準の下抜け攻防が重要なポイントです。
2.そして112.00、ここは昨年11月の101.20から118.60までの上昇の38.2%下押しに当たる水準です。
3.同線を下抜けた場合、予想される最大限の下値押しは109.94です。ここは50%下押しの水準です。

ただ、先週も述べた通り、今年は年間で見るとレンジとなり、年初来安値の112.52と、年初来高値の118.60を意識して、112〜118、もしくはやや広げての110〜120と想定します。

今日のレンジは、114.30~115.30と見ます。

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