クリスマスで動きが出にくい年末相場
〇先週のドル円、米10年債利回り4.6%近い水準まで上昇しドル高円安が進行
〇FEDウォッチャー、2025年末までの追加利下げ織り込み度、0.5%か0.25%が五分五分へと後退
〇2025年、日銀は1回の利上げに留まり日米金利差は0.5%か0.75%の縮小か
〇来年の円相場、トランプ大統領は人民元安と共に日本円安も牽制の対象にする可能性高い
〇今後もドル高が進むと、どこかで梯子を外される相場がやってくる可能性も考えられる
〇今週は155.00レベルをサポート、157.50レベルをレジスタンスとする流れを見る
今週の週間見通し
先週のドル円はタカ派のFRB、ハト派の日銀の対比からドル高・円安が進行する一週間となりました。12月FOMCでは予想通り0.25%の利下げとなったものの、併せて発表されたドットプロットでは2025年末までに0.5%の追加利下げが示され、さらにパウエル議長会見では今後の追加利下げに慎重な姿勢が示されたことで米10年債利回りは4.6%近い水準まで上昇しました。
いっぽうで翌日の日銀会合も予想通り現状維持となりましたが、追加利上げのタイミングは春闘を見てからと少なくとも1月の可能性は消え、3月も微妙な感じとなっています。ただ、これまでの日銀の政策変更のパターンとして、最初に植田総裁がタカ派な方向性を示し、その後いったん別の日銀関係者がトーンダウン、一定期間を置いて引き締めに動くということが繰り返されてきたことを考えると、今後の数字次第ではあるものの3月か5月の会合で追加利上げということになるのではないかと考えられます。
今回のFOMC後の動きとして特徴的だったのは金利市場の追加利下げの織り込み度の変化です。ドットプロットでは2025年末までに0.5%の追加利下げ見通しが示されましたが、FOMC前に同時点で0.5%の利下げを織り込んでいたFEDウォッチャーの数字は0.5%か0.25%か五分五分の織り込み度へと後退してきました。FOMC前には9〜12月のどこかの会合で0.25%の利下げを見込んでいたことを考えると、市場参加者は更にタカ派な見方をし始めたと言えるでしょう。
日銀は2025年に1回の利上げに留まる可能性は高そうですから、来年の日米金利差は0.5%か0.75%の縮小となり、このあたりの見通しを長期債の利回り差も示していると言えます。日米10年債の金利差チャートをご覧ください。水色のラインが日米金利差(右軸)、ローソク足がドル円日足チャート(左軸)です。
現在の金利差は6月上旬の頃の水準へと戻してきていますが、円相場の水準は当時よりもやや円安気味というところです。日足ベースでの相関係数も0.9を超えてきましたので、年末年始にかけても金利差に注目していく流れに変化は無さそうです。
ただ今週は24日(クリスマスイブ)〜26日(ボクシングデー)のクリスマス前後は東京を除く主要市場は休場となる国が多く、通常であれば動きが出にくくなります。逆にこの時期は流動性が低いため、ニュースが出ると振れやすくなりますが、これまで動きも大きかっただけにクリスマスの時期はさすがに大人しくなるのではないかと考えています。
テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。
11月高値を超える想定をしていませんでしたのでシナリオを考え直す必要が出てきました。年初来高値と11月高値とを結んだレジスタンスラインを現在はサポートと考えることとなり、今週は155円台前半を緩やかに下げています。大台155円がサポートになると見てよさそうです。いっぽうレジスタンスは先週高値を超えられず、その手前157.50レベルを考えています。ということで、今週は155.00レベルをサポートに157.50レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
今回で最後になりますので、来年の円相場について少し考えてみたいと思います。1月20日にトランプ大統領が就任し、早い段階で追加関税措置を導入することが予想されます。中国はその場合、人民元安を容認すると言っていますが、トランプ大統領は人民元安を牽制するでしょう。そして、併せてドルに対して弱い通貨として日本円も牽制の対象になる可能性は高いと思います。1期目の2017〜2020年の間に当時のトランプ大統領は繰り返しドル高牽制発言を行いましたが、現在のドルの水準は当時に比べるとかなりドル高水準です。今後更にドル高が進むようであれば、どこかで梯子を外される相場がやってくるのではないか、そんなイメージで2025年前半は構えていようと思います。
来年が皆さんにとってより良い一年となりますように。 ”Good Trading!!”
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。
また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
今週の予定
(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2024年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
12月23日(月)
16:00 英国7〜9月期GDP改定値
16:00 ドイツ11月輸入物価
22:30 米国11月耐久財受注
24:00 米国12月消費者信頼感
24:00 米国11月新築住宅販売
12月24日(火)
**:** 東京を除く主要市場が休場か短縮取引 ☆
08:50 日銀会合(10月)議事要旨
24:00 米国12月リッチモンド連銀製造業景況指数
12月25日(水)
**:** 東京を除く主要市場が休場 ☆
**:** 植田日銀総裁講演 ☆
12月26日(木)
**:** 東京、NYを除く主要市場が休場 ☆
22:30 米国新規失業保険申請数
25:00 週間原油在庫統計
12月27日(金)
08:30 本邦12月東京区部CPI ☆
08:30 本邦11月失業率・有効求人倍率
08:50 日銀会合(12月)主な意見 ☆
22:30 米国11月卸売在庫
前週の主要レート(週間レンジ)
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
12月16日(月)
週明けのドル円は東京朝方から金曜高値を上抜け前週のドル高の流れを継続して始まりました。その後NY市場までは底堅いものの高値圏でのもみあいを続けていましたが、強いサービス業PMI速報値に反応し米長期金利が再び上昇に転じると154.47レベルまで高値を更新、引けにかけて若干押す動きとなりました。
12月17日(火)
ドル円はイベントを前にしたポジション調整が入りやすかったこと、また米長期債利回りがNY市場までは上昇していたものの、弱い経済指標をきっかけに下げに転じたことも重なってNY後場には一時153.16レベルの安値をつけました。引けにかけては153円台半ばを回復したもののイベントを前に上値は重たい引け具合となりました。
12月18日(水)
FOMCを控えてドル円はじり高となっていました。FOMCは予想通り0.25%利下げとなったものの、併せて発表されたドットプロットでは2025年末の水準が9月FOMC時点よりも0.5%上方修正されたこと、またパウエル議長が今回の利下げはぎりぎりの判断、追加利下げに慎重姿勢とタカ派な発言を行ったことで、10年債利回りは4.5%台まで上昇し、ドル円も154円台後半へと水準を切り上げて引けました。
12月19日(木)
ドル円はFOMCで発表されたドットプロットとパウエル議長会見がタカ派であったことから東京市場は底堅い動きでスタート。日銀会合は予想通り現状維持であったものの、植田総裁が会見で春闘を見てと発言し利上げ時期が後退しているなど全般にハト派な内容であったことから円安が進行しました。会見直後から株高と円安で反応、海外市場に移ってからも円安の流れが続き、NY市場では強い経済指標に反応し米金利上昇、ドル一段高となり高値157.80レベルを見た後に157円台半ばへ押して引けました。
12月20日(金)
ドル円は早朝に157.92レベルと週間高値をわずかに切り上げましたが、その後は週末前のポジション調整と米金利低下の動きも加わって終日ドル売りの流れが続きました。NY市場に入り発表されたPCEデフレータが予想より低かったこともあって、引け間際には155.95レベルまで下げ、156円台前半に戻しての週末クローズとなりました。
注:ポイント要約は編集部
御礼とお知らせ
FX羅針盤のサービス終了にあたり、これまでのご愛読に心より感謝申し上げます。
私の円とユーロの週報は本日をもって終了となります。到達確率チャートは27日まで更新、年明け以降は規模を縮小し提供を続ける予定です。今後の予定や日々の情報発信についてはX(旧twitter)のyasujiyをフォローの上でご確認いただけますと幸いです。
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オーダー/ポジション状況
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