ドル円 そろそろ利食いが出やすいタイミング(週報12月第3週)

先週のドル円は週初安値、週末高値とほぼ一週間を通して円売りの流れが続きました。

ドル円 そろそろ利食いが出やすいタイミング(週報12月第3週)

そろそろ利食いが出やすいタイミング

〇先週のドル円、一週間通して円売りの流れ続く
〇1週間で4円の上昇、日米中銀会合前に調整が入る可能性高いか
〇日柄的には週初にいったん円高方向に押す可能性が高い時間帯
〇FOMC、今回は0.25%利下げが確実視、来年の利下げ幅は2回がコンセンサス
〇今回はドットプロットで2025年末の見通しがどの程度変化するのかが注目点
〇日銀、現状維持がコンセンサス、1月か3月会合で0.5%程度への追加利上げという線が濃厚
〇今週は152.00レベルをサポート、154.50レベルをレジスタンスとする流れを見る

今週の週間見通し

先週のドル円は週初安値、週末高値とほぼ一週間を通して円売りの流れが続きました。材料としては今週のFOMCにおいて0.25%の利下げが確実視される中で米長期金利が上昇、金曜には4.4%台と11月高値圏への水準へと上げています。いっぽうで今週の日銀会合における利上げ思惑はほとんど後退し、今回は現状維持という見方がコンセンサスとなったことで、日米金利差拡大によるドル買い・円売りとこれまで何度も見てきたパターンとなりました。

最初に日米金利差とドル円との相関を示す日足チャートを見ておきましょう。

そろそろ利食いが出やすいタイミング

12月に入ってからの相関係数(サブチャート)はほぼ1と金利差と円相場が同じ動きをしていることがわかります。ただここ1週間の動きを見ると金利差拡大の動きの方が速く、このパターンだと円相場がもう少し円安に動いてから止まるという動きになりそうです。イベント前に154円をトライするかどうか、ただ先週1週間で4円も上げてきたことを考えると、イベント前に調整が入る可能性も高そうです。日柄的には週初にいったん円高方向に押す可能性が高い時間帯に入っています。

今週は先週のECB理事会に続き、金融政策ウィークでFRB、日銀、英中銀と主要な中銀の金融政策が発表されますが、その中でも注目度が高いのはFOMCと日銀会合となりますので、この2つに絞って注目点を見て行きましょう。

まずFOMCですが、冒頭にも書いた通りで0.25%の利下げは確実視されています。そして、市場参加者の利下げ織り込み度を見て行くと、来年は1月が現状維持、3・5・6・7月のどこかで1回(4〜4.25%)、9・10・12月のどこかで1回(3.75〜4%)と年間を通しての利下げ幅は2回という見方がコンセンサスとなってきました。たぶんにトランプ関税の影響によるインフレ懸念が再燃するということを織り込んでいます。

いっぽうで9月FOMC時に発表されたドットプロットでは、2025年末時点の金利見通しが3.25〜3.5%となっていて、市場参加者の現状の見通しとは0.5%、2回分の差異が出ています。今回のFOMCではドットプロットで2025年末の見通しがどの程度変化するのかが注目点となりますが、市場同様に2回分の調整をしてくることも変えないことも無さそうに思いますので、緩和スタンスを継続するという意思表示も込めて1回分の調整という可能性が高いように思います。

その場合、少なくとも株式市場は好感して買われる流れとなるでしょうから、結果として困る人がいないという流れでしょうか。

次に日銀会合ですが、11月下旬から日銀関係者による発言の違いで市場参加者は右往左往させられたという感じです。11月30日の日経電子版で植田日銀総裁は「追加利上げの時期は近づいている」、「拙速な利上げは避ける」と発言し前者の利上げの部分に反応し、12月利上げの織込度は60%程度まで上がっていました。その後、12月4日の時事通信に日銀内の見方として「CPI上昇リスクが無ければ早期利上げは避けるべき」という発言が出たあたりから急速に利上げ思惑が後退、現在は現状維持がコンセンサスとなってきました。

過去のパターンでは、最初に植田日銀総裁がタカ派的な発言を行い、その後別の日銀関係者がハト派的な発言で否定、若干時期をずらし最終的には植田日銀総裁の当初発言の方向に金融政策が行われてきたという印象です。よく言えば市場との対話が行われているということになるのでしょうが、そうであれば今回は現状維持、1月24日か3月19日の会合で0.5%程度への追加利上げの可能性という線が濃厚に思えます。

米金利が0.25%下がり、円金利はそのままという水準は既に織り込み済みではあるものの、FX取引を行う個人投資家からするとドル買いの際のスワップ金利受け取りが減ることはたしかですから、どちらかと言えばややドルが売られやすい流れという感じでしょうか。

テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。

11月高値が中期的な高値となっている流れは変化が無いと見て、年初来高値と11月高値とを結んだレジスタンスラインが現在155円台半ばを低下中です。まだかなり距離がありますので、11月高値と12月安値の78.6%(61.8%の平方根)戻し155.00が大台と重なってより現実的なレジスタンスと思われます。

ただ、先週の上げ幅が短期の動きとしてはやや大きく、イベント前後で動きが出るとすると利食いのポジション調整となる可能性が高そうに思えますので、今週は上値の目途は下げて154.50レベルというところでしょうか。いっぽうで下値は152円割れでは買いが出てくるというイメージで、今週は152.00レベルをサポートに154.50レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

そろそろ利食いが出やすいタイミング 2枚目の画像

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。
また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2024年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

12月16日(月)
16:15 ラガルドECB総裁講演 ☆
17:15 フランス12月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:30 ドイツ12月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:45 デギンドスECB副総裁講演 ☆
18:00 ユーロ圏12月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
18:30 英国12月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
21:00 ベルギー中銀総裁講演
21:30 スペイン中銀総裁講演
22:30 米国12月NY連銀製造業景況指数 ☆
23:45 米国12月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
25:30 シュナーベルECB理事講演
**:** ドイツ首相信任投票 ☆

12月17日(火)
16:00 英国11月失業率
19:00 ドイツ12月ZEW景況感
19:00 ユーロ圏12月ZEW景況感
19:00 ユーロ圏10月貿易収支
22:30 米国11月小売売上高 ☆
23:15 米国11月鉱工業生産、設備稼働率
24:00 米国12月NAHB住宅指数 ☆
24:00 米国10月企業在庫

12月18日(水)
08:50 本邦11月貿易収支(通関)
16:00 英国11月CPI ☆
18:00 レーンECB理事講演 ☆
19:00 ユーロ圏11月CPI
19:00 ユーロ圏10月建設支出
22:30 米国11月住宅着工・建設許可
24:30 週間原油在庫統計
28:00 FOMC結果発表 ☆
28:30 パウエルFRB議長会見 ☆

12月19日(木)
12:00 日銀会合結果発表 ☆
15:30 植田日銀総裁会見 ☆
16:00 ドイツ1月GFK消費者信頼感
16:45 フランス12月企業景況感
21:00 英中銀MPC結果発表 ☆
22:30 米国7〜9月期GDP確報値
22:30 米国12月フィラデルフィア連銀製造業景況指数 ☆
22:30 米国新規失業保険申請数
24:00 米国11月景気先行指数、中古住宅販売 ☆

12月20日(金)
08:30 本邦11月CPI ☆
16:00 英国11月小売売上高
16:00 ドイツ11月PPI
16:45 フランス11月PPI
22:30 米国11月個人所得・消費支出 ☆
24:00 ユーロ圏12月消費者信頼感速報値 ☆
24:00 米国12月ミシガン大消費者信頼感確報値

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

12月9日(月)
週明けのドル円は東京後場に発表された中国の景気対策(緩和と積極財政の強化)をきっかけとしたリスクオンの動きから株高、円安で反応しました。海外市場では米金利上昇も手伝ってNY市場では前週高値を上回り151.34レベルまで上昇後、そのまま高値圏での引けとなりました。

12月10日(火)
ドル円は東京前場にドル買いが先行、その後いったん押しを挟んだものの米金利上昇の動きを受けてドル買いが進むと欧州市場序盤には東京前場の高値を上抜ける動きとなりました。その後もドル買いの動きは止まらず、ユーロドルでのユーロ売りの動きも影響しNY昼前には152.18レベルの高値をつけ若干押しての引けとなりました。

12月11日(水)
ドル円は東京前場では小動き、欧州市場に入り日銀関連のヘッドラインで振れる展開となりました。最初は一部委員が利上げに反対しないとのコメントで150.98レベルまで下げましたが、直後に日銀は利上げを急がないとの報道に急反転し152.72レベルまで水準を切り上げました。米国CPI直後に152.84レベルの高値をつけましたが、強いが予想通りの結果ということでFOMCでの利下げ折り込み度は上昇、151.92レベルへと反落後に152円台半ばへ戻して引けました。

12月12日(木)
ドル円は152.30レベルをもみあいの中心として終日前日高値圏でのもみあいを続けました。東京、NYと2度ほど152円割れの場面も見られましたが、買いが構えている様子で上値をトライしたそうな展開が続いていました。

12月13日(金)
ドル円は週末前も根強い円売りの動きが続き、NY昼過ぎには153.80レベルへと週間高値を更新し、153円台半ばでの週末クローズとなりました。背景としてはFOMCでの0.25%利下げが織り込み済みの中で、日銀会合では現状維持との見方が改めて広がったこと、また海外市場では米長期金利が上昇する動きとともに水準を切り上げる動きとなりました。



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