FOMC(12/17-18開催)のポイント: 0.25%利下げ実施の公算大、25年利下げ見通しはデータ次第か(24/12/16)

13日時点でのCMEが提供するFed Watchでは、12月に0.25%利下げをすると予想している割合が9割超と圧倒的な割合となっている。

FOMC(12/17-18開催)のポイント: 0.25%利下げ実施の公算大、25年利下げ見通しはデータ次第か(24/12/16)

0.25%利下げ実施の公算大、25年利下げ見通しはデータ次第か

【今回のポイント】

〇 政策金利は0.25%引き下げ
〇 トランプ次期政権に対する考えは明言せず
〇 25年以降の利下げ見通しは明言せず

【市場コンセンサスは何?】

連邦準備制度理事会(FRB)による連邦公開市場委員会(FOMC)が、12月17日‐18日に開催され、東京時間12月19日未明に結果が伝わる。東京時間12月15日12時時点のFOMCコンセンサスは下記の通りである。

・0.25%の利下げを実施
・25年以降の利下げ見通しは明言せず

【何がサプライズになる?】

13日時点でのCMEが提供するFed Watchでは、12月に0.25%利下げをすると予想している割合が9割超と圧倒的な割合となっている。0.25%利下げは鉄板といった状況にあり、パウエルFRB議長の記者会見を含めても無風通過を予想する関係者が多い。12月上旬時点では、雇用統計や消費者物価指数など重要経済指標を見極める必要はあったが、ほぼ市場予想通りの結果だったこともあり、市場は0.25%の利下げ実施を織り込んでいる。

【では、ドルはどう動く?】

パウエル議長が記者会見にて、今後の利下げを示唆するかどうかがポイントと考える。4日に行われたインタビューにおいて、パウエル議長は「米国経済は極めて良好な状態にあり、金融政策の現状に極めて満足している」「失業率は依然として非常に低く、インフレを巡る状況も進展している」「FRBは、インフレを抑制しながらも労働市場を阻害しないよう、 政策がそれほど制約的でない中間的な立場を模索している」などと発言しており、今後の利下げ実施にはやや慎重な姿勢を示した。このほか、トランプ次期大統領が掲げる関税政策に関しては「不確定要素が多いため、対応政策は開始しない」といった発言に留めたが、仮に関税政策に対する否定的な見解を示した場合、FRB議長交代懸念が高まることで、リスク回避のドル売りが強まる可能性もある。

慎重なパウエル議長が大胆な発言をこのタイミングで実施する可能性は低く、トランプ次期政権への発言は無いだろう。また、25年度以降の利下げ見通しに関しても、「データ次第」という発言に留まると考える。市場の関心は日銀が12月利上げを実施するのかどうかに向かっており、無難なFOMC声明、パウエル議長の記者会見という無風通過の結果、ドルは主要通貨に対して小動きに留まりそうだ。

【最近のFOMC関係者の発言は?】

12月上旬のFOMC関係者などの発言を拾ってみたが、11月消費者物価指数発表前もあって、12月利下げを想定していない関係者の発言も見られる。

※ブラックアウト期間とは、主に中央銀行会合の前々週の土曜日から開始される。例えば FOMCが火曜日と水曜日に開催される場合は、会合翌日の木曜日まで計13日間続くこととなる 。

12月7日、デイリー・サンフランシスコ連銀総裁
「労働市場は引き続き良好な状態にあり、バランスが取れている」
「FRBは行動を起こす前に新政権の政策を見極めるべき」

12月7日、ハマック・クリーブランド連銀総裁
「利下げのペースを緩める時期に近づいているか、すでにその時期」
「経済状況はやや引き締め的な金融政策を必要」
「12月のFOMC会合についてはまだ多くのデータが入ってくるため、オープンな姿勢」
「現在から1月下旬までの間に1回の利下げを予想する市場の見方は妥当」
「経済は強く、労働市場は健全」

12月7日、グールズビー・シカゴ連銀総裁
「金利は1年後にはかなり低くなるだろう」
「利下げするかしないかの判断が難しい」
「12月会合の決定について事前に約束することはしない」
「インフレは少し進んだが、米国は依然として2%目標に向かっていると考える」
「移民の動向が今後の労働力の規模に非常に大きな影響を与えるだろう」
「労働市場は概ね安定しているように見える」
「ここ数カ月の雇用統計は、持続可能な完全雇用の状態にあるように感じる」
「22万7千人の雇用増加は大きな数字だが、平均を見る必要がある」

12月6日、ボウマンFRB理事
「まだ2%のインフレ目標を達成していない」
「政策に関する反対票を軽々しく投じることはない」
「利下げは慎重かつ段階的に進めたい」
「政策金利を急激に引き下げるとインフレを再燃させる可能性」
「インフレ抑制と労働市場の冷却において進展が見られた」
「経済状況は非常に強い」
「労働市場データの解釈が難しくなっている」
「インフレのリスクは依然として顕著」

12月5日、デイリー・サンフランシスコ連銀総裁
「利下げの緊急性はない」
「慎重に政策を調整する必要、12月FOMCまで判断を見極める」

12月5日、パウエルFRB議長
「FRBはドル政策についてコメントしない。これは財務省の責務」
「関税に関しては未知の要素が多い」
「中立金利水準を探る中、慎重になる余地がある」
「中立的な金利を見つけるために慎重であることができる」
「現在、中立的な水準に金利を引き上げる道筋にある」
「失業率は依然として非常に低く、インフレに関しても進展が見られる」
「金利を非常に迅速に引き上げてきた」
「独立性が最良の決定を下す能力を与えてくれる」
「独立性を失うリスクについては心配していない」
「米国経済は現在、驚くほど良好な状態」
「経済と金融政策の現状に非常に満足」

12月5日、米地区連銀経済報告(ベージュブック)
「消費者の価格感度が高まっており、品質感度も増している」
「保険コストは依然として重要なインフレ圧力」
「企業は潜在的な輸入関税に備えて在庫を積み増している」
「データセンターの需要が電力使用量の急増を引き起こしている」
「農業経済は弱い設備販売に苦しんでいる」


12月4日、バーキン・リッチモンド連銀総裁
「インフレの方向性に関して勇気づけられている」
「FRBの使命において、ポジティブな面とリスクの両方が見られる」
「正常化は中立金利に向けてより遅く慎重に行う」
「やや引き締め的な政策への到達を望む」

12月4日、ムサレム・セントルイス連銀総裁
「金融緩和が行き過ぎるとリスクが伴う」
「経済成長と雇用の緩やかな回復を予想」
「金利引き下げのペースが鈍化もしくは停止する時期が近づいている可能性」
「不確実性に対応するため、金融政策の選択肢を残す必要がある」
「中立金利は不確実であり、3%から4%の間にある可能性」
「今後、追加的な金融緩和が必要となるかもしれない」

12月4日、クーグラーFRB理事
「これまでの利下げは、政策的な制約を取り除くためのステップ」
「政策をより中立的な設定に移行する過程」
「現在のFRBの政策は不確実性に対処するために適切な位置にある」
「政策は事前に設定されたコースに沿っているわけではなく、会合ごとに決定を行う」
「米国経済は良好な状態にあり、労働市場は堅調で、インフレは2%の目標に向かっている」

12月4日、デイリー・サンフランシスコ連銀総裁
「利下げのタイミングは議論の余地があるが、政策金利を引き下げ続ける必要がある」
「12月の利下げはテーブル上にある」
「米国経済は非常に良い状態にある」

12月3日、ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁
「インフレは徐々に2%に向けて低下し続けると予想」
「労働市場はインフレの要因になる可能性は低い」
「金融政策は引き締め的な姿勢を維持」
「政策の方向性は今後のデータに依存」
「経済と政策の見通しは依然として非常に不確実」
「米国経済は良好な状態にあり、労働市場は堅調でバランスが取れている」

12月3日、ウォラーFRB理事
「12月の利下げを支持する」
「金融政策は十分に制限的であり、12月の利下げでも必要に応じて、後に利下げペースを緩める余地は十分にある」

【2024年スケジュール】

※米国は現地時間を記載しているので、金利発表及び記者会見は日本時間翌日未明

日銀金融政策決定会合(日銀会合)
1月22日−23日(経済・物価情勢の展望)・・・現状の金融政策を維持
3月18日−19日・・・マイナス金利の解除、YCC終了、ETF等の買い入れ終了
4月25日−26日(経済・物価情勢の展望)・・・現状の金融政策を維持、展望レポート見通し引き上げ、記者会見後は円全面安に
6月13日−14日・・・国債買入額を引き下げる方針を決定、詳細は7月に公表
7月30日−31日(経済・物価情勢の展望)・・・国債買入額の減額と利上げ実施を発表、植田総裁のタカ派姿勢で円全面高に
9月19日−20日・・・現状の金融政策を維持、植田総裁の利上げ慎重姿勢で円安推移
10月30日−31日(経済・物価情勢の展望)・・・現状の金融政策を維持、植田総裁はややタカ派な発言
12月18日−19日・・・0.25%利上げ見通しは五分五分

米連邦公開市場委員会(FOMC)
1月30日−31日・・・4会合連続で金利据え置き
3月19日−20日・・・5会合連続で金利据え置き、パウエルFRB議長は、年内利下げの可能性を再表明
4月30日−5月1日・・・6会合連続で金利据え置き、パウエルFRB議長はややハト派な発言
6月11日−12日・・・7会合連続で金利据え置き、24年利下げ回数は3回から1回に修正
7月30日−31日・・・8会合連続で金利据え置き、9月利下げ実施を示唆
9月17日−18日・・・4年半ぶりの利下げを実施、パウエルFRB議長は利下げを急がない姿勢強調
11月 6日− 7日・・・0.25%の利下げを実施、12月も0.25%利下げ実施を示唆
12月17日−18日・・・0.25%利下げを実施、25年以降の利下げ見通しは明言せず

欧州中央銀行理事会(ECB理事会)
1月25日・・・現状の金融政策を維持、利下げの議論は時期尚早
3月 7日・・・現状の金融政策を維持、6月利下げ開始を示唆する発言
4月11日・・・現状の金融政策を維持、大きなサプライズが無い限り6月利下げ開始か
6月 6日・・・政策金利を0.25%引き下げ、追加利下げは明言せず
7月18日・・・金利据え置きを発表、利下げ実施は「データ次第」
9月12日・・・政策金利を0.25%引き下げ、今後の利下げスケジュールは「データ次第」
10月17日・・・政策金利0.25%引き下げ、今後の利下げスケジュールは「データ次第」
12月12日・・・政策金利0.25%引き下げ、文言変更で一段の利下げを示唆

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