ドル円 ドル高基調継続するも上値は引き続き重そう(週報10月第3週)

先週のドル/円相場はドルがわずかに続伸。8月1日以来となる150円台を回復する局面も見られたが、上値の重さは相変わらずだった。

ドル円 ドル高基調継続するも上値は引き続き重そう(週報10月第3週)

ドル高基調継続するも上値は引き続き重そう

〇先週のドル円、週を通して強保ち合い、8/1以来となる150円台回復、週間高値150.32示現
〇週末にかけては調整売りなどに押され150円維持できず、週末NYは149円半ばで越週
〇消費と雇用に関する米経済指標が良好な内容多く、ドルの支援要因
〇ECB、2会合連続の追加利下げ決定、12月も追加利下げと弱気に見ている向きがやや多い印象
〇ドル高円安方向、90日MAも近い150.32が最初のターゲット、当局の口先介入などが上値阻むか
〇90日MA、週末にかけ150円割り込む予想、日足がしっかり超えればフィボナッチ150.75-80ターゲット
〇ドル安円高方向、先週安値148.83含む149円前後の攻防に注目、底堅いイメージに変わりはない
〇今週のドル円予想レンジ:148.00-151.00

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルがわずかに続伸。8月1日以来となる150円台を回復する局面も見られたが、上値の重さは相変わらずだった。

前週末は、27日投開票の日本の総選挙が事実上スタートしたということで、党首討論などがテレビを中心に活発。それぞれの発言が話題となっていた。一方、イスラエル軍が連日にわたり、国連軍を攻撃したとして各国から非難が殺到していたようだ。
そうした状況下、ドル/円は149.10-15円で寄り付いたのち、ドルは週間を通して強保ち合い。下値は149円をしっかりと下回ることはなく、実際週間安値は148.83円まで。しかし上値も重く、150円が近くて遠い存在となり、なかなか上抜けなかったが17日ついに超えると週間高値の150.32円を示現している。ただ、週末にかけては調整売りなどに押され、結果的に150円を維持できず。週末NYは149円半ばで越週となった。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「円安けん制」と「米欧金融政策」について。
前者は、石破首相が当初市場筋の大勢が予想していた「利上げ推進派」との見方を一変させたことなどもあり、為替市場はドル高・円安傾向が継続。先々週の150円接近局面で加藤財務相が「急激な為替変動は企業活動にマイナス」と発言。また三村財務官は「投機的な動きを含めて為替市場の動向を注視」と述べていたが、先週は先でも取り上げたようにドルは高値150.32円まで値を上げている。そのため、再び日本の当局者からの口先介入が聞かれたばかりか、内容的には一段階ギアが上がった感もある。たとえば三村財務官による「投機的な動き含めて高い緊張感持って注視」に続き、青木官房副長官は「為替相場はファンダメンタルズを反映し、安定的に推移すること重要」、植田日銀総裁も「金融や為替が経済・物価に与える影響などを注視している」−−とコメントしていたようだ。

対して後者は、ここ最近発表される米経済指標はこぞって良好な内容が多く、おおむねドルの支援要因。たとえば先々週の9月の米消費者物価指数と同生産者物価指数に加え、先週17日に発表された米小売売上高と新規失業保険申請件数という、消費と雇用に関する2つの重要指標も好数字でドル買いを後押ししていた。米利下げ後退観測がさらに高まったようだ。一方、欧州はECBが17日に2会合連続となる追加利下げを決定。また、そののちラガルド総裁は「今後のデータに基づいて会合ごとに決定を下す」と述べたものの、ロイターが「ECB、12月も追加利下げの公算」と報じるなど弱気に見ている向きがやや多い印象だ。単純に金利差という観点で考えると、ユーロは若干買いにくいのかもしれない。

<< 今週の見通し >>

ドル/円相場は先週ついに150円台へと乗せてくるも定着までには至らず。リスクという意味ではドル高・円安のバイアスがかかるものの、上値が引き続き重い状況に変化はなさそうだ。移動平均では、上値を抑制してきた90日線が週末にかけ、ついに150円を割り込むことが予想されている。一連の流れのなかで、日足が超えていくことになるのか否かをまずは注視したい。なお、しっかり超えた場合のターゲットはフィボナッチポイントの150.75-80円が次のターゲットに。
日米金融政策が引き続き市場筋の関心を集めるものの、それぞれの金融政策は基本的に前段で指摘した通り。したがって、結論とすれば簡単に日米金利差が縮小することは予想しにくいようだ。今週もまずは発表される日米の指標や要人発言に一喜一憂しそうだが、基本はドルが底堅く推移する公算が大きい。一方、そうしたなか注意を要するのは地政学リスクが依然として高い中東情勢と、日米の政治情勢。とくに日本は、今週末27日に衆院の総選挙が実施される予定で、結果如何で為替市場は依然観測された「高市ショック」のような、荒っぽい値動きをたどる可能性もある。

テクニカルに見た場合、ドル/円は先週8月1日以来の150円台を示現も、当局の介入警戒などもあり上値は引き続き重い。先週高値150.32円を超えれば、150.75-80円を目指し、さらに151.30-40円に位置する一目均衡表の先行帯の雲の上限も視界内に捉えそうだが、一朝一夕にそこまでの動きは見込みにくいだろう。
それに対するサポートは、まず149円前後。先週しっかりと割り込んでおらず、底割れが確認されればドル高というトレンドに変化が生じかねない。

そうしたなか今週は、10月の製造業PMIをはじめとする米経済指標や、ベージュブックなどが発表される予定。また指標でいえば、日本の10月東京都区部消費者物価指数も注視されている。また、米国もさることながらドイツ銀やバークレイズなど英国や欧州金融が決算を発表する予定となっており、そちらも注意しておきたい。

そんな今週のドル/円予想レンジは、148.00-151.00円。ドル高・円安については、移動平均の90日線も近くに位置する先週高値150.32円が最初のターゲット。それを抜ければドルの続伸も期待できるが、当局の口先介入などが上値を阻みそうだ。
対してドル安・円高方向は、先週安値148.83円を含め、ざっくり149円前後の攻防にまずは注目。割り込むと148円割れも薄っすら意識されるが、いずれにしても底堅いイメージに変わりはない。

ドル高基調継続するも上値は引き続き重そう

ドル円日足


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