ドル円週間見通し 150円台到達後の調整安、9月30日以降の底上げ基調維持を試す(24/10/21)

ドル円は9月16日安値139.57円で2023年12月28日安値140.24円をわずかに割り込んでから反騰入りし、10月18日高値150.32円まで10.75円の上昇幅とした。

ドル円週間見通し 150円台到達後の調整安、9月30日以降の底上げ基調維持を試す(24/10/21)

150円台到達後の調整安、9月30日以降の底上げ基調維持を試す

〇先週のドル円、17日の米小売売上高が予想を上回り米新規失業保険申請件数も改善し150円超え
〇18日午前中の三村財務官や青木官房副長官が円安けん制発言等に、149円台半ばに反落して越週
〇ここからもう一段高へ進むには新たな押し上げ材料が欲しいところ
〇9/16安値139.57から反騰入りし、18日高値150.32まで10.75円の上昇幅
〇2023年は3/ 8日高値137.91まで10.69円の上昇の後8.28円反落。今回も一旦仕切り直しの可能性も
〇当面は上昇継続感を優先しつつも、いつ反落が発生しても不思議ないと心得ておきたい
〇10/15安値148.84割れを回避して150円を超えるところからは上昇トレンド継続
〇150.32超えからは151円台を目指す上昇を想定
〇148.84割れからは底上げ基調が崩れるため、修正安局面と考えて148円台前半試しとする

【概況】

ドル円は10月17日の米小売売上高が予想を上回り米新規失業保険申請件数も改善したことによる米長期債利回り上昇を背景に150円を超え、18日早朝に150.32円まで高値を伸ばしたが、150円台到達による高値警戒感から持ち高調整的に下落して19日未明に149.36円まで下げ、その後も149.50円を挟んだ揉み合いにとどまり149.47円で週を終えた。
18日午前中に三村財務官や青木官房副長官が円安けん制的な発言をしたこと、一部メディアが「日銀関係者は今月に金利を急いで引き上げる必要性をあまり感じていないが、今後の段階では引き上げる方向で進んでいる」と報じたこともドル円の下落に寄与し、18日夜の9月の住宅着工件数が前月比0.5%減、先行指標の住宅着工許可件数が2.9%減と冴えなかったこともドル売り材料とされたようだ。

【ドル円の上昇一服と共にユーロ安やポンド安も落ち着く】

ドル円は9月16日安値139.57円を起点として7月3日高値161.94円以降の大幅下落に対する修正的な上昇期に入り、9月27日高値146.47円から9月30日安値141.64円まで石破ショック安で急落したものの、そこを押し目に反騰入りして9月27日高値を超えて9月16日からの上昇は二段目に入った。
7月31日の日銀利上げと8月2日から5日にかけての世界連鎖株安による急落後に8月15日高値149.38円まで戻してから一段安した下落幅は解消し、小反落を入れながらも徐々に底上げをして高値も切り上げて150円台に到達した。
7月3日から9月16日までの下げ幅22.37円に対する3分の1戻し147.23円を超えて半値戻し150.76円を試しているところであり、10月15日安値148.84円を割り込まずに10月15日早朝高値150.32円を来れれば、二段目の上昇継続として半値戻しを超えて3分の2戻し154.48円へ迫ってゆく可能性も出てくると思われる。

しかし、日銀が追加利上げを急がず、米国が連続大幅利下げをしないとの見方によるドル買い円売りも織り込み済となりつつあり、ここからもう一段高へ進むには新たな押し上げ材料が欲しいところだ。
米国の利下げペースも緩慢との見方が9月後半からのドル高優勢の流れを作り、ユーロドルは9月25日高値1.1213ドルから10月17日安値1.0810ドルへ下落し、ポンドドルは9月26日高値1.3434ドルから17日安値1.2971ドルへ下落、豪ドル米ドルも9月30日高値0.6942ドルから10月16日安値0.6656ドルまで下落してきたわけだが、ECBが予想通りに17日に利下げを決定し、ポンドドルも16日のインフレ指標が大幅鈍化で一段安したものの18日の小売売上高堅調で反騰し、原油安とドル高に圧されてきた豪ドル米ドルも下げ一服で持ち直したため、目先は9月後半からのドル高一服感が強まりやすいところかもしれない。

【米10年債利回りは上昇一服、米国株高基調は続く】

10月18日の米長期債利回りは概ね横ばいから若干の低下だが、前週までの大幅上昇は一服している。ハリケーン関連で上昇していた原油相場がOPECやIEAの世界石油需要見通し下方修正で大幅下落したことでインフレ再燃感が後退したことも長期債利回り上昇にブレーキを掛けた。
長期金利指標の10年債利回りは前日比変わらずの4.09%で終了、週間では11日終値4.07%から0.02%上昇、11日に付けた4.12%以降は高止まりの様相。30年債利回りは前日比変わらずの4.39%で終了、週間では11日終値4.38%から0.01%上昇、11日に付けた4.42%を18日の4.43%でわずかに超えてから失速した。政策金利動向に敏感な2年債利回りは前日比0.02%低下の3.95%で終了、週間では11日終値3.95%と変わらず、10日に4.09%まで上昇した後は軟調推移。

一方で米国株高は継続している。NYダウは前日比36.86ドル高と上昇して3日連続で史上最高値を更新、ナスダック総合指数も前日比115.94ポイント高で3連騰、S&P500指数は前日比23.20ポイント高で17日に取引時間中の史上最高値を更新後も高止まり。景気堅調の中でインフレ鈍化と利下げサイクル入りを楽観した強気心理が続いている。
米長期債利回りが高止まりないし若干の低下程度なら、米国主要株価指数の上昇が続く内は株高円安セットでドル円は上昇しやすいと思われる。

【2023年の教訓と当面のポイント】

【2023年の教訓と当面のポイント】

ドル円は9月16日安値139.57円で2023年12月28日安値140.24円をわずかに割り込んでから反騰入りし、10月18日高値150.32円まで10.75円の上昇幅とした。
7月3日から9月16日への下落幅は22.37円であり、2022年10月21日高値151.94円から2023年1月16日安値127.22円までの下げ幅24.72円に近いものだが、2023年1月16日安値からの反騰は2023年3月8日高値137.91円まで10.69円の上昇幅としたところでいったん仕切り直しとなり、2023年3月24日安値129.63円まで下げ幅8.28円の下落に見舞われている。このため今回もほぼ同規模の反騰を実現して150円という節目に到達したことでいったん仕切り直しの下落が入っても不思議ないところだ。

仮に10月18日早朝高値を超えて151円台、152円前後へ続伸したとしても、その後に戻り幅の3分の1以上を解消する反落となる場合は高値から8円前後規模の反落となる可能性も抱えていると注意したい。3分の1押しで済まずに半値以上を削る場合は、7月3日高値を頭、2023年11月13日高値を左肩、現状を右肩とした三尊形成となることも考えられる。当面は上昇継続感を優先しつつも、上記のような反落が発生しても不思議ないと心得ておきたい。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、10月15日安値148.84円を下値支持線、18日早朝高値150.32円を上値抵抗線とする。
(2)148.84円割れを回避して150円を超えるところからは上昇トレンド継続とし、150.32円超えからは151円台を目指す上昇を想定する。151円到達では売りも出やすいとみるが、150.32円を超えた後も150円台を維持するか一時的に割り込んでも回復する場合は上昇継続から一段高へ進む可能性があるとみる。
(3)148.84円割れからは底上げ基調が崩れるため、10月18日早朝高値を当面のピークとした修正安局面と考えて148円台前半試しとする。148円台序盤は買われやすいとみるが、いったん戻しても18日早朝高値を超えずに戻り高値切り下がりに終わって戻り幅の半値を削るところからは次の下落期入りとみて、147円台中盤への下落を想定してゆく。

【当面の予定】

10/21(月)
15:00 (独) 9月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (8月 0.2%)
21:55 (米) ローガン・ダラス連銀総裁、講演
23:00 (米) 9月 景気先行指数 前月比 (8月 -0.2%、予想 -0.3%)
26:00 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、イベント参加

10/22(火)
IMF世界経済見通し、BRICS首脳会議(10/24まで)
06:05 (米) カンザスシティー連銀総裁、講演
06:45 (NZ) 9月 貿易収支 (8月 -22.03億NZドル)
14:00 (日) 日銀・基調的なインフレ率を捕捉するための指標
22:25 (英) ベイリー英中銀総裁、講演
23:00 (米) 10月 リッチモンド連銀製造業指数 (9月 -21)
23:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演

10/23(水)
休場 タイ
G20財務相・中央銀行総裁会議(10/24まで)、BRICS首脳会議(10/24まで)
22:45 (加) カナダ銀行 政策金利 (現行 4.25%、予想 4.00%)
23:00 (欧) 10月 消費者信頼感・速報値 (9月 -12.9、予想 -12.0)
23:00 (米) 9月 中古住宅販売件数・年率換算 (8月 386万件、予想 388万件)
23:00 (米) 9月 中古住宅販売件数 前月比 (8月 -2.5%、予想 0.5%)
23:00 (欧) ラガルド欧州中銀総裁、講演
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
25:00 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)

10/24(木)
G20財務相・中央銀行総裁会議(最終日)、BRICS首脳会議(最終日)
16:30 (独) 10月 HOCB製造業PMI・速報値 (9月 40.6)
16:30 (独) 10月 HOCBサービス業PMI・速報値 (9月 50.6)
17:00 (欧) 10月 HOCB製造業PMI・速報値 (9月 45.0、予想 45.3)
17:00 (欧) 10月 HOCBサービス業PMI・速報値 (9月 51.4、予想 51.7)
17:30 (英) 10月 S&PG製造業PMI・速報値 (9月 51.5)
17:30 (英) 10月 S&PGサービス業PMI・速報値 (9月 52.4)

21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 24.1万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 186.7万人)
22:45 (米) 10月 S&PG製造業PMI・速報値 (9月 47.3)
22:45 (米) 10月 S&PGサービス業PMI・速報値 (9月 55.2)
23:00 (米) 9月 新築住宅販売件数・年率換算件数 (8月 71.6万件、予想 71.3万件)
23:00 (米) 9月 新築住宅販売件数 前月比 (8月 -4.7%、予想 -0.4%)

10/25(金)
08:01 (英) 10月 GFK消費者信頼感 (9月 -20)
08:30 (日) 10月 東京区部CPI(消費者物価指数、生鮮食料品除く) 前年同月比 (9月 2.0%、予想 1.7%)
08:50 (日) 9月 企業向けサービス価格指数 前年同月比 (8月 2.7%、予想 2.7%)
14:00 (日) 8月 景気一致指数CI・改定値 (速報 113.5)
14:00 (日) 8月 景気先行指数CI・改定値 (速報 106.7)
17:00 (独) 10月 IFO企業景況指数 ( 9月 85.4、予想 86.0)
21:30 (米) 9月 耐久財受注 前月比 (8月 0.0%、予想 -1.0%)
21:30 (米) 9月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (8月 0.5%、予想 -0.1%)
23:00 (米) 10月 ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値 (速報 68.9)

注:ポイント要約は編集部

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