先週後半のレンジ内で上値が重い展開
〇先週のドル円、水曜にトランプ氏から円安是正発言、河野デジタル相からは利上げ発言
〇日米双方からサプライズ発言で、木曜早朝一時155.37レベルと6/7以来の安値をみて、週末はやや戻す
〇介入後安値からの上昇チャンネルを明確に下抜け次のターゲットは6月安値154.51レベル
〇絶対的金利差で一気に円高に進むことはないが、今年のドル高値は161.95レベルとの見方が増えるか
〇7/31金融政策決定会合に向け引き続き円高材料に注意すべき週、前日の日経電子版は特に要注視
〇158円の上は戻り売り増え、7/31神田財務官退官に向け介入警戒で戻り高値ターゲットは158円台前半
〇今週は155.50レベルをサポート、158.30レベルをレジスタンスとする週を見る
今週の週間見通し
先週のドル円は、前週の介入が日銀当座残の不足金額から2日続けて実施されたことがわかり、今回の介入がある程度押し下げを狙っていたと考えられていたところに、日米双方からサプライズの発言が飛び出しました。水曜にトランプ前大統領の円安是正発言、河野デジタル相の利上げ発言が重なり、木曜早朝に一時155.37レベルと6月7日以来の安値を見て、その後週末に向けてはやや戻す動きとなりました。
ここに来て急速に円高方向へ調整が入りましたが、中長期的にはFRBの緩和の動きに加え、トランプ大統領誕生が確実視されことが円高の動きにつながるのではないかという思惑が加わったこととなります。短期的にはまだ絶対的な金利差があるため一気に円高に進むことはないでしょうが、今年のドル高値は161.95レベルという見方が徐々に増えていきそうな流れになってきました。
また日米の金融政策決定会合は来週31日ですが、FRBは現状維持、日銀は国債購入額の減額が既定路線です。現在月額6兆円程度(実績5.8兆円程度)の購入額をそれなりに減額するという植田総裁の発言からすると1兆円程度の減額はありそうですし、インフレ率もターゲットよりも高い水準にある中で河野デジタル相の発言が無くとも利上げの検討も行われる可能性は十分にあるでしょう。
前日30日の日経電子版が本命ですが、今週も会合に向けて何か記事が出てくるなど引き続き円高材料に注意すべき週となりそうです。今週はあまり目立った材料はありませんので、テクニカルに見てみましょう。いつもの日足チャートをご覧ください。
トランプ前大統領と河野デジタル相の発言で介入後安値からの上昇チャンネルを明確に下抜けることとなりました。次のターゲットは6月安値の154.51レベルとなりますが、これまでの節目となった安値と年初来高値とのフィボナッチ・リトレースメントを見て行くと、154.21、154.01、153.65と154円前後がその次のターゲットになるイメージです。現在の水準からはまだ距離がありますので、当面は先週安値の155.37レベルを考えておくと良いでしょう。
いっぽうで上値については158円より上では戻り売りを考える参加者が増えてきていると考えられますし、神田財務官が退官する7月31日に向けてまた介入が出るかもしれないと警戒する向きもいるでしょうから、158円台前半が戻り高値のターゲットとなりそうです。今週は155.50レベルをサポートに、158.30レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
※このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。
また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2024年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
7月22日(月)
(特になし)
7月23日(火)
16:00 レーンECB理事講演 ☆
23:00 ユーロ圏7月消費者信頼感速報値 ☆
23:00 米国7月リッチモンド連銀製造業景況指数 ☆
23:00 米国6月中古住宅販売 ☆
7月24日(水)
15:00 ドイツ8月消費者信頼感
16:15 デギンドスECB副総裁講演 ☆
16:15 フランス7月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
16:30 ドイツ7月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:00 ユーロ圏7月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:30 英国7月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
21:30 米国6月卸売在庫
22:45 カナダ中銀政策金利発表
22:45 米国7月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
23:00 米国6月新築住宅販売 ☆
23:30 週間原油在庫統計
29:05 ボウマンFRB理事 ☆、(ダラス連銀総裁)講演
7月25日(木)
15:45 フランス7月企業景況感
17:00 ドイツ7月企業景況感
20:00 ドイツ連銀総裁講演 ☆
21:30 米国4〜6月期GDP速報値 ☆
21:30 米国6月耐久財受注
21:30 米国新規失業保険申請数
7月26日(金)
08:30 本邦7月東京区部CPI ☆
15:45 フランス7月消費者信頼感
21:30 米国6月個人所得・消費支出 ☆
23:00 米国7月ミシガン大消費者信頼感
前週の主要レート(週間レンジ)
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
7月15日(月)
週明けのドル円は前週に介入が出たこと、東京市場が休場となったこともあってほとんどの時間帯は158円前後で方向感がはっきりしない流れとなっていました。NY市場の昼過ぎにパウエルFRB議長がインフレ指標は信頼感を高めたと発言したことをきっかけに早期利下げ思惑からドル売りで反応、一時157.16レベルの安値をつけました。しかし、すぐに買い戻され引けはもみあいの中心158円前後となりました。
7月16日(火)
ドル円は158円前後で始まり東京朝方に日経先物の上昇とともに水準をやや上げ、その後は158円台半ばを中心としたもみあいが続きました。NY朝方に発表された小売売上高が予想よりも強かったことを受け158.85レベルの高値をつけたものの、すぐに米金利は低下する動きとなったためじり安となり158円台前半に押して引けました。
7月17日(水)
ドル円は東京後場以降、トランプ大統領の円安是正発言、河野デジタル相の利上げ発言が重なり改めて円高が進行する展開となりました。欧州市場序盤以降は156円台前半を中心として上値が重たい展開が続きましたが、156円には買いオーダーも見られ安値は156.05レベル止まりでした。
7月18日(木)
ドル円は前日NY後場に米金利が低下した動きを受け早朝に155.37レベルの安値をつけましたが、米金利が上昇に転じたことと同水準では介入も出ないであろうといった思惑から終日買い戻しが目立つ一日となりました。NY市場では予想より強い経済指標も手伝って157.40レベルまで上昇し高値引けとなりました。
7月19日(金)
寄り引けほぼ同水準で157円台前半をもみあいの中心として方向感がはっきりしない週末相場となりました。Windows上で動く業務用セキュリティソフトのアップデートが原因で世界中に大規模な障害をもたらしたことも動きを鈍くした要因のひとつとなりました。
注:ポイント要約は編集部
ディスクレーマー
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オーダー/ポジション状況
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