衆院選後の円安一服、153円台中心で揉み合う
〇昨日のドル円、JOLTS非農業部門求人数が予想大幅に下回り153.02へ反落
〇米10月消費者信頼感が予想大幅に上回り153.74まで戻し、10/30早朝153円台序盤へ下げる
〇波乱含みの展開となるも、10/28高安レンジ内で一段高状態を維持して推移
〇今夜、米GDP速報、明日は日銀金融政策と米PCEデフレーター、週末は米雇用統計と重要イベント続く
〇米長期債利回りは総じて低下、米主要株価指数はまちまちの動き
〇152.74上回るうちは一段高余地あり、10/28午前高値153.87超えからは154円台前半への上昇想定
〇152.74割れからは152円前後への下落想定、152円以下は反騰注意
【概況】
ドル円は10月27日の衆院選で連立与党が大敗したことによる政局不安と日銀の追加利上げが遠のくとの見方から28日午前に153.87円へ急伸して9月16日安値139.57円以降の高値を更新し、円売り一巡で28日夜安値152.40円までいったん下げたが、円安継続感により29日午後の153円割れを買われて29日夜に153.86円へ戻して28日午前高値に迫った。
その後は23時発表の米9月雇用動態調査(JOLTS)で非農業部門求人数が予想を大幅に下回ったことでいったん153.02円へ反落し、米10月消費者信頼感指数が予想を大幅に上回ったことで153.74円まで戻し、30日早朝にかけて153円台序盤へ下げるなど波乱含みの展開となったが、28日の高安レンジ内で一段高状態を維持して推移している。
今夜は米GDP速報、明日は日銀金融政策決定会合と米PCEデフレーター、週末は米雇用統計と重要イベントが続き、来週は米大統領選とFOMCが控えている。それらをきっかけとして154円超えへ進むか、いったん下げに入るのか試される局面だ。
【JOLTS求人件数は3年8カ月ぶり低水準】
29日夜に米労働省が発表した9月雇用動態調査(JOLTS)では、非農業部門求人数が744万3000件となり8月の786.1万件(速報の804万件から下方修正)から減少して市場予想の800万件も大幅に下回った。2021年1月以来3年8カ月ぶりの低水準であり、米FRBの利下げ継続を催促するものとなり一時ドル安反応を招いた。
一方で、米民間有力調査機関コンファレンス・ボード(CB)による10月消費者信頼感指数は108.7となり9月の99.2(速報の98.7から上方修正)から大幅に上昇して市場予想の99.5を上回った。現況指数が前月から14.2ポイント上昇し、期待指数も6.3ポイント上昇した。向こう半年の景気見通しでは「改善する」が前月の19.4%から21.0%へ上昇し、「悪化する」は前月の17.1%から13.2%へ低下した。これらは米景気の堅調さを示し、FRBが利下げを緩やかにし一時利下げを見送る可能性に寄与するものとして一時ドル高反応を招いた。
29日夜発表の9月ケースシラー米住宅価格指数は前月比0.3%低下で8月の0.0%を下回り、前年同月比は5.2%で8月の5.9%を下回った。また連邦住宅金融局(FHFA)の9月住宅価格指数は前月比0.3%上昇で8月の0.2%を上回り、前年同月比は4.2%で8月の4.7%を下回った。これらに対する市場の反応は鈍かった。
【米10年債利回りは急伸後に失速、米国主要株価指数はまちまち】
10月29日の米長期債利回りは、先週末からの連騰でこの間の最高を更新してから失速して総じて低下に終わった。
長期金利指標の10年債利回りは25日から28日へ連騰し、29日は一時4.34%へ続伸して9月17日に付けた3.60%以降の最高としてから失速して前日比0.02%低下の4.26%となった。
30年債利回りも25日からの連騰で一時4.58%へ上昇して9月17日に付けた3.90%以降の最高としてから失速して前日比0.03%低下の4.50%となった。
政策金利動向に敏感な2年債利回りは一時4.17%へ上昇して9月25日に付けた3.51%以降の最高を更新したものの、その後の失速で前日比0.04%低下の4.10%となった。
米経済指標がまちまちだったものの求人件数の大幅減少で年内2回のFOMCでは0.25%ずつの利下げが続くとの見方がやや優勢となったことで上昇にブレーキがかかった印象だ。
一方で29日の米主要株価指数はまちまちの動きで、NYダウは28日に前日比273.17ドル高と6日ぶりに反発したものの29日は154.52ドル安に終わったが、ナスダック総合指数は145.56ポイント高と上昇して24日から4連騰とし、S&P500指数は9.40ポイント高で前日の15.40ポイント高から小幅続伸した。
今夜の米GDPや週末の米雇用統計、来週の米大統領選挙等を控えて模様眺めに入っている印象だ。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は10月25日午後安値151.46円から28日午前高値153.87円へ急伸し、28日夜へ反落したところからの切り返しで29日夜高値153.86円へ上昇したが、28日午前と29日夜の両高値をダブルトップとしてその後は伸び悩んでいる。
28日午前高値を超えないうちは調整的な動きが続くとみて30日の日中から11月1日午後にかけての間への下落余地ありとし、今夜の米経済指標をきっかけとして下げ足が速まる可能性もあると注意するが、28日午前高値超えからはダブルトップ破りの一段高入りとして31日夜から11月4日夜にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では28日午前に急伸した後も先行スパンからの転落を回避しているので、先行スパンからの転落を回避する内は遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合はさらに下落が続きやすいとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は28日午前の急伸で80ポイント台後半へ上昇してから夜に50ポイントを割り込んだが、その後は50ポイント割れを買われて持ち合いに入っている。次の60ポイント超えからは上昇継続とみて70ポイント台へ向かうとみるが、次の45ポイント割れからは下向きとし、40ポイント割れからは30ポイント前後への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、10月29日午後安値152.74円を下値支持線、28日午前高値153.87円を上値抵抗線とする。
(2)152.74円を上回るうちは一段高余地ありとし、28日午前高値153.87円超えからは154円台前半への上昇を想定する。154.25円以上は反落注意とするが、152.74円以上での推移なら31日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)152.74円割れからは152円前後への下落を想定する。152円以下は反騰注意とするが、152.74円を割り込んでの推移なら31日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の予定】
10/30(水)
日銀・金融政策決定会合初日
14:00 (日) 10月 消費者態度指数・一般世帯 (9月 36.9、予想 36.7)
17:55 (独) 10月 失業率 (9月 6.0%、予想 6.1%)
18:00 (独) 7-9月期 GDP速報値 前期比 (4‐6月 -0.1%、予想 -0.1%)
18:00 (独) 7-9月期 GDP速報値・季調済 前年同期比 (4‐6月 0.0%、予想 -0.3%)
19:00 (欧) 10月 消費者信頼感・確定値 (速報 -12.5、予想 -12.5)
19:00 (欧) 10月 経済信頼感 (9月 96.2、予想 96.3)
19:00 (欧) 7-9月期 GDP速報値 前期比 (4‐6月 0.2%、予想 0.2%)
19:00 (欧) 7-9月期 GDP速報値 前年同期比 (4‐6月 0.6%、予想 0.8%)
21:15 (米) 10月 ADP非農業部門民間雇用者数 前月比 (9月 14.3万人、予想 11.4万人)
21:30 (米) 7-9月期 GDP速報値 前期比年率 (4‐6月 3.0%、予想 3.0%)
21:30 (米) 7-9月期 GDP個人消費速報値 前期比年率 (4‐6月 2.8%、予想 3.3%)
21:30 (米) 7-9月期 コアPCEデフレーター速報値 前期比年率 (4‐6月 2.8%、予想 2.1%)
22:00 (独) 10月 CPI(消費者物価指数)速報値 前月比 (9月 0.0%、予想 0.2%)
22:00 (独) 10月 CPI(消費者物価指数)速報値 前年同月比 (9月 1.6%、予想 1.8%)
23:00 (米) 9月 NAR住宅販売保留指数 前月比 (8月 0.6%、予想 1.0%)
10/31(木)
休場 シンガポール、マレーシア、スリランカ
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合、政策金利 (現行 0.25%、予想 0.25%)
08:50 (日) 9月 小売業販売額 前年同月比 (8月 2.8%、予想 2.2%)
08:50 (日) 9月 鉱工業生産速報値 前月比 (8月 -3.3%、予想 0.8%)
08:50 (日) 9月 鉱工業生産速報値 前年同月比 (8月 -4.9%、予想 -3.2%)
09:00 (NZ) 10月 ANZ企業信頼感 (9月 60.9)
09:30 (豪) 7-9月期 輸入物価指数 前期比 (4‐6月 1.0%、予想 -0.3%)
09:30 (豪) 9月 住宅建設許可件数 前月比 (8月 -6.1%、予想 2.1%)
09:30 (豪) 9月 小売売上高 前月比 (8月 0.7%、予想 0.3%)
10:30 (中) 10月 NSB製造業PMI (9月 49.8、予想 50.0)
10:30 (中) 10月 NSB非製造業PMI (9月 50.0、予想 50.4)
14:00 (日) 9月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (8月 -5.1%、予想 -4.3%)
15:30 (日) 植田日銀総裁、記者会見
16:00 (独) 9月 輸入物価指数 前月比 (8月 -0.4%、予想 -0.4%)
16:00 (独) 9月 小売売上高 前月比 (8月 1.6%、予想 -0.8%)
19:00 (欧) 10月 HICPI(調和消費者物価指数)速報値 前年同月比 (9月 1.7%、予想 1.9%)
19:00 (欧) 10月 コアHICP(食品エネルギー除く)速報値 前年同月比 (9月 2.7%、予想 2.6%)
19:00 (欧) 9月 失業率 (8月 6.4%、予想 6.4%)
21:30 (米) 7-9月期 単位労働コスト速報値 前期比年率 (4‐6月 0.9%、予想 0.9%)
21:30 (米) 9月 個人所得 前月比 (8月 0.2%、予想 0.4%)
21:30 (米) 9月 PCE(個人消費支出) 前月比 (8月 0.2%、予想 0.4%)
21:30 (米) 9月 PCEデフレーター 前年同月比 (8月 2.2%、予想 2.1%)
21:30 (米) 9月 コアPCEデフレーター(食品・エネルギー除く) 前月比 (8月 0.1%、予想 0.3%)
21:30 (米) 9月 コアPCEデフレーター(食品・エネルギー除く) 前年同月比 (8月 2.7%、予想 2.6%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.7万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 189.7万人)
22:45 (米) 10月 シカゴ購買部協会景況指数 (9月 46.6)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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