ドル円 ドル続伸期待が強い、日米金融政策に注目(週報6月第2週)

先週のドル/円相場は、おおむね「行って来い」。一時下値を探る展開となったが、週末には再びドルが買い戻されている。

ドル円 ドル続伸期待が強い、日米金融政策に注目(週報6月第2週)

ドル続伸期待が強い、日米金融政策に注目

〇先週のドル円、週間高値157.47示現後は下値を探る展開
〇6/3発表の米5月ISMの予想外悪化を受け、一時155台下回る
〇日銀の国債購入減額報道を受け、市場では政策変更期待が再燃、円買い要因に
〇その後週末発表の雇用統計の好調を受けて急騰、157円台を回復
〇短期のフィボナッチで76.4%戻しまで値を戻す、しっかり超えれば100%戻しが視界内に
〇今週は米日中銀による金融政策発表に要注目(米国:現地6/12、日本:同6/14)
〇米5月消費者物価指数、6月ミシガン大消費者信頼感指数等も発表予定
〇ドル高・円安方向、直近高値157.71をめぐる攻防にまずは注目
〇ドル安・円高方向、短期的には21日移動平均線がサポートとなるか否かに注目
〇今週のドル円予想レンジ:155.00-158.50

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、おおむね「行って来い」。一時下値を探る展開となったが、週末には再びドルが買い戻されている。

前週末は、アジア安全保障会議出席のため訪れたシンガポールで、木原防衛相が米国や韓国、中国、豪州、カナダなどの防衛相とそれぞれ会談を行っていた。一方、ゼレンスキー氏が北欧3国とそれぞれ安全保障協定を締結したとして一部で話題に。
そうした状況下、週明けのドル/円は157.30円レベルで寄り付いたのち、週間高値の157.47円を示現。しかし、以降ドルは下値を探る展開となり、5月16日以来となる155円割れも記録した。その後も上値は重く冴えない値動きをたどったが、週末に発表された注目の米雇用統計が予想以上の好数字になったことが好感されると一転しドルは急騰。上方向のストップロスを巻き込みつつ157円台を回復し、最終的にはやや緩んだ156.75円レベルで取引を終えている。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米金融政策」と「日欧金融政策など」について。
前者は、週明け3日に発表された5月のISM製造業景況指数が予想下回る内容に。それを受け、ブルームバーグが「米利下げが年内に少なくとも1回は実施されるとの見方が強まった」と報じるなか、為替市場では前述した155円割れのドル安値を記録する原動力になったようだ。その後も、発表される米指標や要人発言に一喜一憂、米金融政策についての見方も猫の目のような変化が取り沙汰されたが、週末に発表された米雇用統計は予想以上の好数字。早期利下げ期待が後退すると、為替市場も再びドル高・円安に振れていた。今週、FOMCが実施され、米金融政策が明らかとなるが、市場では「年内いっぱい利下げを見送る」−−などといった声も聞かれている。

それに対して後者は、ブルームバーグが今週末13-14日に開催される日銀会合で「国債購入減額を具体的な方針を示すことの是非を含めて議論する可能性が大きい」などと報じたこともあり、市場では政策変更期待が再燃。為替市場では円買い要因に。しかし、中村日銀委員が講演で「いまのタイミングでの利上げはちょっと早いと思う」と発言したことで期待は一気に萎む格好となった。なお、そうしたなかカナダ中銀はG7諸国のなかで初めて利下げを実施。0.25%の利下げを行うと同時に、追加利下げも示唆していた。一方、ECBも金融政策理事会の結果として「0.25%の利下げ」を発表したが、市場の関心を集めていた先行き、来7月の見通しについて「追加緩和を行うか否かを明言せず」。これにより、市場で別途思惑が広がる結果に。

<< 今週の見通し >>

先週のドル/円相場は、木曜日6日まで乱高下をたどるも結局はレンジ内。154.50-156.50円という2円レンジにとどまっていたが、週末にその上限を超えてきた。再び上方向のリスクが高まった感がある。ちなみに5月29日、前回高値157.71円を起点とした短期のフィボナッチでは76.4%戻し(157.00-05円)レベルまで先週末に値を戻しており、しっかり超えれば100%戻しがまずは視界内に。
日米金融政策への関心が引き続き高いなか、今週はその日米金融当局がそれぞれ金融政策を発表する見通しだ。ともに現行の金利は据え置きが予想されるほか、日銀については「緩和的な金融環境の継続」が見込まれており、基本的にサプライズは予想しにくい。対して米国は、「現行の引き締め的な政策を維持する見通し」とされるが果たしてどうなるか。なおドル/円が157円台に定着、さらに上値を試すとなれば日本当局の円買い介入警戒が再び強まることになりそう。まずは口先介入から、当局のスタンスにも要注意だ。

テクニカルに見た場合、ドル/円相場は先週末に掛け157円へと再び回帰。そしてドル高リスクが再び取り沙汰されている。5月29日高値157.71円を超えれば、4月29日以来の158円台乗せも否定できない。なお、具体的な上値メドとしては158.25円が意識されているようだ。
対してドル安方向は、足もとすでに156円台まで値を上げてきた移動平均の21日線をめぐる攻防に注目。しっかり下回ると、再びドルの下値余地が拡大しかねない。

そうしたなか今週は、5月の消費者物価指数や6月のミシガン大消費者信頼感指数といった重要な米指標が発表されるものの、やはりもっとも注視されるものは日米中銀による金融政策の発表だろう。米国は現地12日、日本は同14日の予定で、発表前後の為替市場は荒っぽい価格変動も。

そんな今週のドル/円予想レンジは、155.00-158.50円。ドル高・円安については、直近高値157.71円をめぐる攻防にまずは注目。抜ければ158円台乗せ、介入警戒のなか158.25円を意識した展開か。
対してドル安・円高方向は、短期的には先で取り上げた移動平均の21日線がサポートと似るか否かに注目だ。ザラ場ベースだけでなくNYクローズでの動きにも注意を払いたい。下回ると、先週安値154.80円も薄っすらとだが視界内に。

ドル続伸期待が強い、日米金融政策に注目

ドル円日足



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