米雇用統計通過後の円安で戻し、米日の金融政策会合を見ながらドル円を追う
〇先週のトルコリラ円、週間では5/31終値4.88から0.04の円高リラ安
〇米雇用統計後、ドル円が157円到達へ反騰した局面で4.87へ上昇、その後の反落で4.82前後買われ確り
〇今週は米日の金融政策決定会合への反応見ながら、ドル円の騰落追いかける展開か
〇ドル/トルコリラ、6/7は概ね32.51から32.03の取引レンジ
〇対ドルでの急落一服するも4月後半からのリラ高基調にブレーキかかり、リラ売り再燃の兆しも
〇4.79上回るうちは一段高余地あり、4.87超えからは4.90前後への上昇を想定
〇4.79割れからは4.76前後への下落を想定、4.76以下は反騰注意とする
【概況】
トルコリラ円の6月7日は概ね4.87円から4.79円の取引レンジ、8日早朝の終値は4.84円で前日と変わらず、週間では5月31日終値4.88円から0.04円の円高リラ安だった。
6月4日はドル/トルコリラにおけるリラ急落とドル円の急落が重なったためにトルコリラ円は6月3日終値4.85円から5日早朝安値4.73円へ下落したが、5日午前序盤からドル円が反騰入りしたことと、対ドルでリラが前日の急落幅を解消したことで5日早朝には4.85円まで切り返し、6日夜には4.86円まで高値を伸ばした。
6月7日はドル円の反落時に4.79円までいったん下げたものの、米5月雇用統計で非農業部門就業者数が予想を大幅に上回る増加でインフレ指標の平均時給伸び率が前月比と前年同月比でともに4月から伸びを加速させたことによる米長期債利回り急伸によりドル円が157円到達へ反騰した局面で4.87円へ上昇し、その後の反落でも4.82円前後を買われて確りした。
ドル円は5月30日未明に157.70円を付けて5月3日夜安値151.85円以降の最高値としたところから下落に転じて6月4日深夜安値154.54円まで大幅下落したが、6月7日深夜高値157.07円まで切り返して直前の下げ幅の8割を解消している。5月3日安値を起点とした上昇を5月30日まで二段上げとすれば、一段目の上昇が一巡して5月14日から5月16日へ下落したところと同規模の反落から出直ったことにより5月30日未明高値を超えて三段目の上昇期に入る可能性も考えられる。
今週は6月11−12日の米FOMC、6月13−14日の日銀金融政策決定会合と続く。FOMCが9月利下げ開始期待を高めるハト派姿勢で日銀が国債買い入れ大幅減額を決定するタカ派姿勢ならドル円には大きな売り圧力がかかると思われるが、逆にFOMCが利下げ判断を先延ばしして日銀が市場の警戒するほどにはタカ派姿勢でなければ円安圧力が増して再び4月29日の一度目介入時高値160.16円を目指すきっかけとなることも考えられる。
トルコリラ円としては米日の金融政策決定会合への反応を見ながらドル円の騰落を追いかける展開と思われるが、6月4日深夜安値以降の円安基調が続けば4.87円超えからは4.90円台序盤を試し、ドル円の上昇が勢いを増せば5月27日早朝の一時的急伸時に付けた高値4.95円超えを目指して行く可能性があると思われる。逆に円高へ急旋回する場合には4.79円割れから6月5日未明安値4.73円を試しに向かう可能性が高まると思われる。
【ドル/トルコリラは急落一服だが下振れ不安残る】
ドル/トルコリラの6月7日は概ね32.51リラから32.03リラの取引レンジ、8日早朝の終値は32.24リラで前日終値32.23リラから0.01リラのドル高リラ安、週間では5月31日終値32.23リラから0.01リラのドル高リラ安だった。
6月4日に一時32.63リラへ急落して4日終値32.57リラで終値ベースの史上最安値を更新し、5日に32.67リラへ安値を切り下げてからの反騰で前日の下落幅を解消したが、6日に31.95リラへ上昇してから32リラ台序盤へ押し返され、7日は一時32.51リラを付けて6日安値に迫った後は落ち着いたもののリラの下振れ不安を残す展開だった。
6月4日の一時急落はトルコ外相のBRICS加盟希望発言やトルコ最高裁が中銀総裁らの任期中解任を認めた大統領令を無効としたこと等のイベントに対する反応とメキシコペソの急落等による新興国通貨安を意識して32リラを挟んだ膠着状態から下抜けたことによるテクニカルな売りの連鎖が発生した印象であり、急落は早々に解消したのだが4月後半からのリラ高基調にブレーキがかかってリラ売り再燃の兆しも見られた。
トルコの金融政策正常化が続いていること、外資の投資評価が上昇していること、外貨準備高が大幅に増加していること、高インフレがそろそろ落ち着くとの見通し、ドル/トルコリラの先安感は継続しているものの高金利通貨としての投資妙味が上昇していることはトルコリラにプラス要因となっているが、増税と金融引き締めによる景気への圧迫感、イスラエルとの貿易停止や中東情勢、BRICS加盟への動きや欧米との関係修復が進んでいないことによる地政学的リスク、今のところ大人しいもののエルドアン大統領の強権性が復活するのではないかとの懸念等が引き続き重石となっている。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、6月3日午後高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして6月4日午後から6日夕にかけての間への下落を想定したが、5日午前時点では4.78円超えから強気サイクル入りとし、5日午後に4.78円を超えて6月6日早朝に4.85円へ急伸したため、6日午前時点では5日未明安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りとし、サイクルトップ形成期を6日午後から10日午後にかけての間とした。
6月7日午後に4.79円まで反落してから一段高しているためサイクルトップ形成期の延長入りによる上昇余地ありとするが、前回サイクルトップから5日目に入るので反落警戒期とし、4.79円割れからは弱気サイクル入りとして10日の日中から12日未明にかけての間への下落を想定する。ただし、いったん弱気転換した後に直近サイクルトップからの下げ幅に対して半値以上を解消する場合は次の強気サイクル入りとなる可能性があると注意する。
60分足の一目均衡表では6月7日夜の上昇で遅行スパンが好転し、先行スパンから転落しかけたところから切り返しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は下落期入りを疑い遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は6月7日夜への上昇時に70ポイントに到達してから下げたものの50ポイント台を維持しているのでまだ上昇余地ありとするが、6月5日夜のピーク時とほぼフラットな弱気逆行気配も見られるので50ポイント割れからは下落再開を疑い30ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.79円を下値支持線、4.87円を上値抵抗線とする。
(2)4.79円を上回るうちは一段高余地ありとし、4.87円超えからは4.90円前後への上昇を想定する。4.90円以上は反落警戒とするが、4.84円を上回っての推移なら11日も高値試しを続けやすいとみる。
(3)4.79円割れからは4.76円前後への下落を想定する。4.76円以下は反騰注意とするが、4.79円を割り込んだ後も4.80円以下での推移なら11日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
6月10日
16:00 4月 鉱工業生産 前月比 (3月 -0.3%)
16:00 4月 鉱工業生産 前年同月比 (3月 4.3%)
16:00 4月 失業率 (3月 8.6%)
16:00 4月 経常収支 (3月 -45.44億ドル、予想 -61億ドル)
6月11日
16:00 4月 小売売上高 前月比 (3月 0.0%)
16:00 4月 小売売上高 前年同月比 (3月 19.4%)
6月13日
20:30 週次 外貨準備高 グロス 6月7日時点 (5月31日時点 839.1億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 ネット 6月7日時点 (5月31日時点 454.6億ドル)
6月14日
16:00 トルコ中銀ビジネスサーベイ
6月20日
16:00 6月 消費者信頼感指数 (5月 80.51)
17:00 5月 財政収支 (4月 -1778億リラ)
20:30 週次 外貨準備高 6月14日時点
23:30 5月 中央政府債務 (4月 7兆4926億リラ)
注:ポイント要約は編集部
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