ドル円見通し 5月16日午前への下落幅をほぼ解消、FOMC議事要旨待ち(24/5/22)

ドル円はFRB高官による利下げ先送り姿勢を強調する発言が続いたことで156円台を回復し、22日朝も156円台序盤を維持している。

ドル円見通し 5月16日午前への下落幅をほぼ解消、FOMC議事要旨待ち(24/5/22)

5月16日午前への下落幅をほぼ解消、FOMC議事要旨待ち

〇ドル円、昨日深夜に155.84まで下げるもFRB高官の発言受け156円台へ、今朝も156円台序盤を維持
〇FRB高官や地区連銀総裁による利下げ判断先送り姿勢示す発言続く
〇ウォラー氏、利下げ開始にはあと数か月必要と慎重姿勢
〇明日未明FOMC議事要旨に市場は注目、利下げ判断が前回から大きく後退する場合、ドル高円安反応か
〇国内10年債利回りの上昇続き11年振り高水準に、5/22の40年債入札に注目
〇米10年債利回りは連騰一服、ナスダックは連日の史上最高値更新
〇155.84を上回るうちは5/21午後高値156.54超えから157円を目指す上昇余地ありとみる
〇155.84割れからは155円台序盤への下落を想定する

【概況】

ドル円は5月15日夜の米4月CPI鈍化をきっかけとした米長期債利回り低下により16日午前に153.60円へ下落したが、当面のドル売り材料消化として米長期債利回りが上昇に転じたのを見て17日に156円手前へ上昇し、週明けの20日夜には米長期債利回りの連騰により156円を超えて21日午後には156.54円まで高値を伸ばした。5月16日午前へ急落する前の5月14日夜高値156.75円には届かず、21日深夜に155.84円まで下げる場面も見られたがFRB高官による利下げ先送り姿勢を強調する発言が続いたことで156円台を回復し、22日朝も156円台序盤を維持している。
5月21日は 日銀の「金融政策の多角的レビュー」第2回ワークショップが開催されたものの特に市場の関心を集める内容はなく過去政策に対する評価に留まった。

市場の注目は5月23日未明のFOMC(連邦公開市場委員会)議事要旨(4月30日〜5月1日開催分)に向いている。FRB高官らによる利下げ先送り姿勢の表明が繰り返されていることは市場もある程度織り込んでおり、年内に少なくとも1回、インフレ鈍化がより顕著になれば2回利下げの可能性もあるとみられているが、議事要旨が利下げ判断についてかなり慎重で3月会合時点から大きく後退しているようだとドル高円安反応を招きやすくなると思われる。
ドル円としては5月14日夜高値156.75円を超えて5月3日夜安値151.85円を起点とした上昇が二段上げに発展するのか、155円割れから5月16日午前安値153.60円割れへ進んで円高再開感が強まるのか試される局面だ。

【国内10年債利回りの上昇続き11年振り高水準に】

5月21日に国内長期金利指標である新発10年債(374回債)が0.980%をつけて2013年5月以来11年振り高水準に達した。日銀による長期金利抑制政策であるYCC(イールドカーブコントロール)が撤廃されたのに続いて国債買い入れの減額へ踏み込むのではないかとの見方が優勢となり始めており、債券売り・利回り上昇を招いていることはドル円の上昇を抑制するものだが、まだ節目の1%に達しておらず米10年債が4%台にあるために日米金利差による円売り圧力を阻害するには至っていないが、22日に40年債入札があるため結果が気になるところではある。21日の国内2年債利回りは0.34%、5年債利回りは0.575%、20年債利回りは1.79%、30年債利回りは2.085%だった。

【ウォラーFRB理事、利下げ開始にはあと数か月必要】

FRB高官や地区連銀総裁による利下げ判断先送り姿勢を示す発言が続いている。
FRBのウォラー理事は5月21日に4月CPIが鈍化したことを評価し、「利上げは恐らく必要ない」としたものの利下げ開始を支持するためには「あと数カ月、良いインフレ指標を確認する必要がある」と慎重姿勢を示し、「インフレ指標が今後3か月から5か月鈍化すれば年末にも利下げが行われる可能性がある」としたものの、「利上げの可能性はゼロではないが極めて低い」とも述べた。
アトランタ連銀のボスティック総裁はこれまでも年内の利下げはないかもしれないという姿勢を繰り返してきたが、21日にも「インフレ低下の進展には時間がかかる、10〜12月期より前に利下げはないだろう」と述べた。
5月14日にパウエルFRB議長が「インフレ鈍化見通しについては以前よりも確信が低下した」と述べ、5月17日にFRBのボウマン理事が「インフレ再燃なら利上げをためらわない」と述べるなど5月に入ってから利下げ判断の先送り感が強まっている。

【米10年債利回りは連騰一服、ナスダックは連日の史上最高値更新】

5月21日の米長期債利回りは前日までの3連騰一服で総じて低下した。
長期金利指標の10年債利回りは5月15日の米CPI発表後に大幅低下したが、16日から20日までの3連騰で低下幅を解消した。21日は連騰一服で前日比0.04%低下の4.41%で終了、30年債も0.04%低下の4.55%、2年債利回りも0.02%低下の4.83%となった。いずれも4月後半からの低下が落ち着いているもののFOMC議事要旨を確認したいとしていったん下げた印象だ。
NYダウは5月20日に4万0077.40ドルまで史上最高値を更新してからの反落で前日比196.82ドル安に終わったが、21日は前日比66.22ドル高と再上昇して4万円台回復を伺う動きを見せた。ナスダック総合指数は20日に前日比108.90ポイント高と上昇して史上最高値を更新したが、21日も37.75ポイント高と続伸して2日連続で史上最高値を更新した。年内1回ないし2回利下げに対する楽観的な見通しと先高期待が続いている。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は5月16日午前安値を起点としてリバウンドに入ったが、21日午後高値156.54円で目先のピークを付けて21日深夜には一時156円を割り込んだ。その後は156円台を回復しているものの、21日午後高値を超えないうちは22日の日中から23日午前にかけての間への下落余地ありとみる。FOMC議事要旨から反騰入りできるか一段安へ進むか試されると思われるが、21日午後高値を超えるところからは新たな上昇期入りとみて24日午後から28日午後にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では5月21日午後からの下落で遅行スパンが悪化したが先行スパンの上限に支えられている。先行スパンからの転落を回避する内は遅行スパン好転から上昇再開とみるが、先行スパンから転落する場合は下げ足が速まると注意しつつ遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は5月21日午後への上昇で75ポイントを超えたところから21日深夜に40ポイント割れへ低下した。その後は50ポイント台を回復しているので60ポイント超えからは上昇再開とみて70ポイント台を目指すとみるが、50ポイント台を維持できずに失速する場合は下向きとし、40ポイント割れからは20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5月21日深夜安値155.84円を下値支持線、5月21日午後高値156.54円を上値抵抗線とする。
(2)155.84円を上回るうちは5月21日午後高値156.54円超えから157円を目指す上昇余地ありとみる。FOMC議事要旨公開から上昇が勢い付く場合は157円台前半へ上値目途を引き上げ、156.50円以上を維持しての推移なら23日の日中も高値試しを続けやすいとみる。
(3)155.84円割れからは155円台序盤への下落を想定する。FOMC議事要旨公開後や市場介入警戒感から下げ足が速まる場合は154円台中盤へ下値目途を引き下げる。23日午前は続落しやすいとみるが、売り一巡からいったん戻しに入る可能性もあると注意する。

【当面の予定】

5/22(水)
休場 シンガポール、マレーシア、タイ
11:00 (NZ) ニュージーランド中銀 政策金利 (現行 5.50%、予想 5.50%)
15:00 (英) 4月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (3月 0.6%、予想 0.2%)
15:00 (英) 4月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (3月 3.2%、予想 2.1%)
15:00 (英) 4月 コアCPI 前年同月比 (3月 4.2%、予想 3.6%)
15:00 (英) 4月 RPI(小売物価指数)前年同月比 (3月 4.3%、予想 3.3%)
17:05 (欧) ラガルドECB総裁、ビデオメッセージ
22:40 (米) グールズビー・シカゴ連銀総裁、挨拶
23:00 (米) 4月 中古住宅販売件数・年率換算 (3月 419万件、予想 422万件)
23:00 (米) 4月 中古住宅販売件数 前月比 (3月 -4.3%、予想 -0.3%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
26:00 (米) 20年債入札
27:00 (米) FOMC議事要旨・4月30日-5月1日分

5/23(木)
休場 インドネシア
G7財務相・中央銀行総裁会議(5月25日まで)
07:45 (NZ) 1-3月期 小売売上高 前期比 (10-12月 -1.9%、予想 -0.3%)
16:30 (独) 5月 製造業PMI速報値 (4月 42.5、予想 43.3)
16:30 (独) 5月 サービス業PMI速報値 (4月 53.2、予想 53.5)
17:00 (欧) 5月 製造業PMI速報値 (4月 45.7、予想 46.1)
17:00 (欧) 5月 サービス業PMI速報値 (4月 53.3、予想 53.6)
17:30 (英) 5月 製造業PMI速報値 (4月 49.1、予想 49.5)
17:30 (英) 5月 サービス業PMI速報値 (4月 55.0、予想 54.7)

21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.2万件、予想 22.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 179.4万人、予想 179.1万人)
22:45 (米) 5月 製造業PMI速報値 (4月 50.0、予想 50.1)
22:45 (米) 5月 サービス業PMI速報値 (4月 51.3、予想 51.5)
23:00 (欧) 5月 消費者信頼感速報値 (4月 -14.7、予想 -14.3)
23:00 (米) 4月 新築住宅販売件数・年率換算 (3月 69.3万件、予想 67.5万件)
23:00 (米) 4月 新築住宅販売件数 前月比 (3月 8.8%、予想 -2.6%)
28:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、質疑応答


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