ドル円、ウォラーFRB理事発言で下落するも下値は堅い。
〇ドル円、米国時間朝方にかけ安値155.84まで下落
〇ウォラーFRB理事「追加利上げは恐らく不要」「インフレ再加速の見方は完全否定できる」と発言
〇その後はアトランタ連銀総裁、バーFRB副議長のタカ派発言に156円台前半を回復
〇ユーロドル、米金利低下に1.0875まで上昇後、欧州指標、欧州株の不冴えに、1.08台半ばに戻す
〇ドル円、テクニカルの地合い極めて強く、押し目買いの出やすい環境
〇ファンダメンタルズもドル円相場の上昇を連想させる材料揃う
〇引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:155.50ー157.00
海外時間のレビュー
21日(火)のドル円相場は上値の重い展開。アジア時間午後にかけて、高値156.55まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)5/14高値156.77を背にした戻り売り圧力(※先週は5/14高値156.77をトップに反落に転じると5/16に一時153.60まで急落したため同水準が意識され易い)や、(2)ウォラーFRB理事による「追加利上げは恐らく不要」「インフレ再加速の見方は完全否定できる」とのハト派的な発言、(3)米金利低下に伴うドル売り圧力が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値155.84まで下落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(4)アトランタ連銀ボスティック総裁による「第4四半期前の利下げはないだろう」との早期利下げに慎重な発言や、(5)バーFRB副議長による「以前考えられていたよりも長期間引き締めを維持する必要がある」との早期利下げに慎重な発言が支えとなり、本稿執筆時点(日本時間5/22午前6時15分現在)では、156.15前後まで持ち直す動きとなっております。
21日(火)のユーロドル相場は上昇後に反落。(1)米金利低下に伴うドル売り圧力が支えとなる中、欧州時間朝方にかけて、高値1.0875まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(2)ユーロ圏3月貿易収支(結果173億ユーロ黒字、予想200億ユーロ黒字)の市場予想を下回る結果や、(3)欧州債利回り低下に伴うユーロ売り圧力、(4)欧州株の冴えない動きが重石となり、米国時間朝方にかけて、安値1.0842まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5/22午前6時15分現在)では、1.0855前後で推移しております。尚、昨日はドイツ連銀ナーゲル総裁より「6月の利下げ実施がその後の会合でも利下げを行うことを意味するものではない」との連続利下げ観測を牽制する発言が見られましたが、市場の反応は限られました。
本日の見通し
ドル円は一時155.84まで下落するも、結局156円を回復しての引けとなりました。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、50日線、90日線、200日線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表転換線、基準線、雲上限)の上側で推移していることや、強い買いシグナルを示唆する「強気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の上昇トレンド」「フィボナッチ半値戻し」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて強い」と判断できます(下落時に押し目買いが出易い良好な相場環境)。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)日米金利差に着目した円キャリートレードの継続期待(アトランタ連銀ボスティック総裁は「第4四半期前の利下げはないだろう」と時期について具体的に発言→日米金利差は当面縮まらないとの見方が再燃→日米金利差に着目したドル買い・円売り圧力)や、(2)政府・日銀による介入警戒感の後退(イエレン米財務長官が日本の為替介入を牽制しているため、余程顕著な投機フローが見られない限り、ドル売り介入に踏み切りにくい)、(3)株式市場の堅調推移(米主要株価指数が史上最高値を更新する中、リスク選好の円売りが出易い状況)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。
以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は米MBA住宅ローン申請指数、米4月中古住宅販売件数、シカゴ連銀グールズビー総裁発言、FOMC議事要旨(4/30ー5/1開催分)が予定されております。
本日の予想レンジ:155.50ー157.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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