ドル円 地政学リスク拡大を懸念、為替も波乱含みか(4/19夕)

東京市場は結果「行って来い」。一時ドル安が進行し153円半ば近くまで値を下げるも、その後はドル買戻しが優勢だった。

ドル円 地政学リスク拡大を懸念、為替も波乱含みか(4/19夕)

地政学リスク拡大を懸念、為替も波乱含みか

〇本日のドル円、リスク回避の動きから一時153.60レベルまで下落するも、その後154円半ばまで戻す
〇複数メディアでイスラエルがイランを攻撃との報道、一旦落ち着きを取り戻しているが予断を許さない
〇ドル円は下値は153円半ばまでと底堅く、この後も大きく値を崩す展開は予想しにくい
〇地政学リスク拡大によっては、リスク回避の動きによるドル安再燃の展開にも一応要注意
〇欧米時間の予想レンジは153.70-154.90、ドル高・円安方向は154.70-80をめぐる攻防に注目
〇ドル安・円高方向は、153.60レベルがなかなか強いサポートか

<< 東京市場の動き >>

東京市場は結果「行って来い」。一時ドル安が進行し153円半ば近くまで値を下げるも、その後はドル買戻しが優勢だった。

ドル/円は154.60-65円で寄り付いたのち、しばらくは強保ち合い。しかし、日経平均株価がザラ場で1000円を超える下落をたどるなか、「イスラエルがイランを攻撃した」などと伝えられたことを材料にリスク回避の動きが一気に強まった。あれよあれよという間に153.60円レベルまで1円近い下落をたどっている。ただ、目先の底値を確認後はドルが反発。オープンレベルにはとどかなかったが、154円半ばまでは戻す。16時現在では154.40-45円で推移し、欧米市場を迎えていた。

一方、材料的に注視されていたものは「イラン情勢」と「円安是正の動き」について。
前者は、16日に英国のキャメロン外相とドイツのベーアボック外相がイスラエルを訪問。同国のネタニヤフ首相と会談するなかで、イランへの報復措置をめぐり自制を求めたものの、願いはとどかなかった。本日東京事前午前に、複数メディアで「イスラエルがイランを攻撃した」と伝えられている。また、同ニュースは為替市場のみならず金融市場全般で話題となっていたようで、株式や原油、ゴールド、暗号資産などのマーケットでも波乱要因に。足もとは一旦落ち着きを取り戻しているものの、予断を許さない。欧米時間以降も、引き続き関連ニュースなどには注意を払いたい。

対して後者は、ワシントンで開催されたG20財務相・中銀総裁会議と絡め、本邦要人から幾つか興味深い発言が聞かれていた。ひとつは植田日銀総裁で、円安による輸入物価の上昇が基調的な物価上昇率に影響を与える可能性に言及するなか、「無視できない大きさの影響が発生した場合には金融政策の変更もあり得る」と指摘したという。また鈴木財務相は会見で、「G20では新興国からの資金流失を懸念する意見はあった」とする文脈のなかで、「ドル高を懸念する意見もあった」と述べていた。しかし、日経新聞が「懸念は出たが、為替そのものについては議論にならず、是正の機運は乏しい」とG20会合を総括的に報じるなど、一枚岩で足並みが揃っていたかという点では疑問も残りそうだ。

<< 欧米市場の見通し >>

ドル/円相場は、ドル高傾向こそ変わらないものの、155円トライは一旦仕切り直しと考えていたのだが、それにしても底堅い。本日東京で、前述した「イスラエルがイランを攻撃した」とのニュースが伝えられても下値は153円半ばまで。そして、そののち再び154円台へと値を戻している。続報などによって予断を許さないものの、ドル/円はこのあとも基本的に底堅い値動きが続くと考えられる。少なくとも大きく値を崩す展開は予想しにくい。
日米を中心とした各国政策金利が引き続き注視されていることは間違いないが、相場の色合いがやや変化しつつあるのかもしれない。つまり、「金利相場」から「政治・政策相場」あるいは「地政学リスク着目相場」となる可能性もある。前者については、先でも取り上げたようにG20会合で「ドル高を懸念する意見もあった」とされることからドル売りへと市場センチメントが傾斜しても不思議はないうえ、後者もさらなるリスク拡大によっては為替市場でリスク回避の動きが強まることもありそうだ。ドル安再燃の展開にも一応要注意。

テクニカルに見た場合、ドル/円相場は155円がフシ目として意識されており、近くて遠いイメージもあるが果たして如何に。対して、下値も本日東京時間に一時154円を割り込む局面も見られるなど、やや不安定さをうかがわせるが、滞在時間は短く、そうした意味ではかなり底堅い。ドルの下押し、154円割れなどは絶好の買い場との認識で、買い遅れ筋がドルの下値を強く支える展開がいましばらく続く見込みだ。

本日は目立った米経済指標の発表は予定されていないうえ、米企業決算も金融機関についてはピークを過ぎたようだ。とは言え、植田日銀総裁を始めとする複数要人の講演が実施される予定で、こちらには十分に注意を払いたい。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは153.70-154.90円。ドル高・円安方向は3日続けてドルの上値を抑制している154.70-80円をめぐる攻防に注目。抜ければ155円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、本日東京で示現した154円割れ、153.60円レベルがなかなか強いサポートか。また、同レベルを付けたのちの反発局面で再び154円を割り込むことはなかったことで、154円をめぐる動きにも注意したい。

地政学リスク拡大を懸念、為替も波乱含みか

ドル円日足


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