巨額な円売りポジションの調整が円高のきっかけか
〇先週のドル円、4/1は米指標好調を受けた米金利上昇とともにドル買いに動く
〇4/3に151.95レベルをつけるもドル売りオーダー多く、介入警戒感もあり151円台後半でもみ合い
〇中東情勢緊迫化により、4/5東京前場に150.81レベルの安値つけるも押し目でのドル買い根強い
〇4/5夜の米雇用統計予想上振れを受け、151円台後半へ戻して週末クローズ
〇シカゴ通貨先物の円売り約14.3万枚は多すぎ、円買い材料が出た時のインパクト大きいか
〇151円台後半のドル売りオーダーをこなすとドル買いが強まる局面も、そのタイミングでの介入に要警戒
〇152円台半ばで介入の可能性かなり高い
〇今週高値はテクニカルなターゲット153.04よりもかなり手前、安値は介入が出ても2円程度の下げか
〇150.50レベルをサポートに、152.10レベルをレジスタンスとする週を見る
今週の週間見通し
先週のドル円は月曜に強めの米国経済指標を受けて米金利が上昇、それとともにドル買いに動くと改めて151円台後半の厚いドル売りオーダーを試しやすい位置となりました。しかし、その後は3日に151.95レベルの週間高値をつけたものの、相変わらずドル売りオーダーが多く、また当局への警戒感も強いことから151円台後半でのもみ合いが続きました。
木曜NY後場にイランによるイスラエル攻撃の可能性とのニュースに反応し、金曜東京前場には150.81レベルの安値をつけたものの押し目での買いが根強く、米国雇用統計も予想よりも強かったこともあって151円台後半へと戻しての週末クローズとなりました。
根強い円安思惑と当局への警戒感に挟まれて151円台半ばで落ち着きやすい動きが続いていますが、ポジション的には円売りが増えていて、シカゴ通貨先物の円売りは約14.3万枚と昨年の水準を超え2013年12月以来10年3か月ぶりの円売りポジションとなっています。2007年には約18.8万枚という水準はあったものの、14万枚を超える円売りポジションは多すぎると言えます。本邦個人投資家も押し目でドルを買い、151円台後半から152円台前半にかけてドル売りオーダーを置いていることを考えると、ここで何か円買い材料が出た時のインパクトは大きいと言えるでしょう。
ただ、今週は先週と異なり米国CPI程度しか大きな材料がありませんので、10日のCPI次第という状況です。また日柄的には本日8日のNY市場ではドルが買われやすいものの、上下に振れやすい時間帯にあるため、利食いでのドル売りを考えるならば、指値で置いておいた方がよさそうです。
また3月最終週に3者会談が開かれ介入警戒感は高まっていますが、2022年の3者会談から介入までは2週間あったものの値幅的には1円40銭程度で、大きく円安が進んだ訳ではありません。今回は151円台後半のドル売りオーダーをこなすとドル買いが強まる局面が出てきそうですから、そのタイミングで介入が出る可能性は警戒しておいた方が良いと思います。水準的には152円台半ばというところでしょうか。
テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。
151.95〜99のドル売りオーダーの影響もあり、依然として151円台後半では積極的にはドルを買う動きには繋がっていません。しかし、着実に押しの水準も上昇してきていることを考えるといつ152円台に乗せてもおかしくはない状況です。
ただ、上述したように152円台半ばで介入が出る可能性はかなり高いと見ていますので、個人的にはテクニカルなターゲットである153.04よりもかなり手前が今週の高値になるのではないかと思います。安値は介入の有無で異なりますが、介入が出ても2円程度の下げにとどまる可能性の方が高いように思えます。
今週は介入が出ない場合でも円売りポジションがかなり増えてきていることを踏まえ、下値はやや広げて考えたいところです。150.50レベルをサポートに、152.10レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2024年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
4月8日(月)
**:** NZ、豪州市場冬時間に移行
08:50 本邦2月貿易収支
15:00 ドイツ2月鉱工業生産
24:30 英中銀副総裁講演
4月9日(火)
08:00 (ミネアポリス連銀総裁講演)
08:01 英国3月小売売上高
09:30 豪州4月消費者信頼感
10:30 豪州3月企業景況感
15:45 フランス2月貿易収支
4月10日(水)
11:00 NZ中銀政策金利発表
21:30 米国3月CPI ☆
22:45 カナダ中銀政策金利発表
23:00 米国2月卸売売上高
23:30 週間原油在庫統計
25:45 (シカゴ連銀総裁講演)
27:00 FOMC議事要旨公表 ☆
**:** 日米首脳会談
4月11日(木)
08:01 英国3月住宅価格
10:30 中国3月CPI・PPI ☆
21:15 ECB理事会 ☆
21:30 米国3月PPI ☆
21:30 米国新規失業保険申請数
21:45 ラガルドECB総裁会見 ☆
25:00 (ボストン連銀総裁講演)
4月12日(金)
**:** 中国3月貿易収支
15:00 ドイツ3月CPI
15:00 英国2月鉱工業生産
15:00 英国2月貿易収支
15:45 フランス3月CPI
21:30 米国3月輸入物価
23:00 米国4月ミシガン大消費者信頼感速報値 ☆
28:30 サンフランシスコ連銀総裁講演 ☆
前週の主要レート(週間レンジ)
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先週の概況
4月1日(月)
週明けのドル円はイースターマンデーということもあってNY市場までは若干底堅い程度の小動きが続きました。NY市場に入り発表されたISM製造業が予想よりも強く米金利が上昇、10年債利回りが4.337%まで上昇する流れの中で151.77レベルまで上昇し、引けにかけては若干押しました。
4月2日(火)
ドル円は東京前場に若干上げ、その後引けに向けてその分をじり安とした動きのみで一日の値幅もわずか34銭にとどまりました。根強い押し目買いが出る一方で151円台後半では当局の牽制もあり、動きにくい流れになってきました。
4月3日(水)
ドル円はNY市場までは若干底堅い程度の小動きでしたが、予想よりも強かったADP全国雇用者数を受け米金利が上昇、ドル円も一時151.95レベルまで上昇しました。しかし、その後に発表されたISM非製造業は予想よりも弱く米金利が低下するとドル円も下げ、NYに入る前の水準での引けとなりました。
4月4日(木)
ドル円は雇用統計を前にしてNY後場まで151.70水準での小動きを続けていました。しかし、未明にイランがイスラエルを攻撃する可能性とのニュースを受けて株式市場が急落、為替市場では円買いの動きから151.12レベルまで下押し後に若干戻して引けました。
4月5日(金)
朝方こそNY後場に流れたイランがイスラエルを攻撃する可能性、とのニュースによるリスクオフの円買いの動きが出て一時150.81レベルの安値をつけました。しかし仲値以降は急速に値を戻し、欧州市場では東京朝方の高値を上抜けての雇用統計待ち。雇用統計が予想よりも強かったこと受け151.75レベルの高値をつけたものの、151円台後半のドル売りオーダーは依然として厚く、やや押して引けることとなりました。
注:ポイント要約は編集部
ディスクレーマー
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オーダー/ポジション状況
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