ドル円見通し 152円手前の壁厚く151円台の持ち合いを継続(24/4/4)

ドル円は3月19日の日銀金融政策決定会合と21日未明の米FOMCを挟んで乱高下した後は151円台の持ち合いを続けている。

ドル円見通し 152円手前の壁厚く151円台の持ち合いを継続(24/4/4)

ドル円見通し 152円手前の壁厚く151円台の持ち合いを継続

〇ドル円、ADP雇用統計の結果を受け10年債利回りが上昇、4/3夜に151.95を付け3/27高値151.96に迫る
〇その後のISMサービス業景況指数悪化で10年債利回り低下、下落に転じ4/4早朝151.50台まで下げる
〇ADP雇用統計が予想を上回りドル円は上昇したが、ISMサービス業景況指数悪化でドル安感優勢となる
〇昨夜のパウエルFRB議長の発言は新鮮味に欠け、市場の反応も限定的
〇米10年債利回りは一段高後に反落、NYダウは3営業日続落、ナスダックは反発するも勢いに欠ける
〇151.75を下回るうちは下落継続の可能性を優先し、151.30割れからは151円前後への下落を想定する
〇151.75超えからは、151.95及び152円試しとする

【概況】

ドル円は3月19日の日銀金融政策決定会合と21日未明の米FOMCを挟んで乱高下した後は151円台の持ち合いを続けている。今週は米10年債利回りの上昇を見ながら4月2日に151.79円をつけてから3日午前に151.44円までやや下げていたが、3日夜はADPの3月全米雇用報告で非農業部門民間就業者数が前月比18.4万人増と予想を上回り米10年債利回りが上昇した局面で151.95円を付けて3月27日昼高値151.96円に迫ったものの、その後の米ISMサービス業景況指数が2か月連続で悪化して同投入価格指数が4年振り低水準となり米10年債利回りが低下したのを見て下落に転じ、4日早朝には151.50円台まで下げた。

米国の利下げ開始時期が先延ばしされるとの見方による米長期債利回り上昇基調と日銀によるマイナス金利解除後も金融緩和状態がしばらく続くとの見方による円安感で底固いものの政府日銀による市場介入への警戒感から152円手前の抵抗感を払拭できずにいる。昨夜のパウエルFRB議長らの発言は新鮮味に欠けたが、今夜も複数のFRB高官らの発言があり、明日夜には米3月雇用統計の発表があるため、それらを通過して持ち合い放れへ進むのか試される局面だ。

【ADP雇用統計は強め、ISMサービス業景況指数は悪化】

4月3日夜の米経済指標は強弱まちまちだったが、ADP民間雇用が予想を上回ったことでドル円は上昇したが、ISMサービス業景況指数が悪化したことでドル安感が優勢となりユーロやポンド等が急伸した。
米ADPの3月全米雇用報告では非農業部門民間就業者数が前月比18万4000人増となり、2月の15万5000人(速報の14万人から上方修正)及び市場予想の14万8000人増を上回った。増加幅は昨年7月以来最大で労働市場の堅調さを示すものとして週末の米労働省雇用統計もやや強めとなる可能性を示唆した。4月5日の米労働省による3月雇用統計に対する市場の事前予想では非農業部門雇用者数は前月比20.5万人増で2月の27.5万人増から伸びが鈍化すると見込まれている。

S&Pグローバルによる3月の米サービス業景況指数確報値は51.7となり速報及び市場予想と変わらなかったが、2月確報値の52.3から低下した。総合指数確報値は52.1で速報の52.2から若干下方修正されて2月確報の52.5を下回った。
米ISM(サプライ管理協会)による3月の米サービス業景況指数は51.4となり2月の52.6から悪化して市場予想の52.7を下回って2か月連続で悪化した。内訳では事業活動が57.2から57.4へ、雇用が58.0から48.5へ上昇したが、新規受注は56.1から54.4へ、製品納入も48.9から45.4へ悪化した。投入価格指数は58.6から53.4へ大幅に低下したが4年振りの低水準となり、サービス業におけるインフレ高止まり感を薄めた。

パウエルFRB議長は3日の講演で「大半のFOMCメンバーは今年のある時点での利下げ開始が適切と見込んでいる」、「現行の政策金利は金融引き締め局面のピーク」」とし、米国のインフレ鈍化ペースがやや緩んでいることについては「時にはスムーズでないながらも低下しているという全般的な見通しは大きく変わっていない」と述べた。特に新鮮味のある内容はなく市場の反応も限定的だったが、利下げを急ぐリスクと躊躇するリスクが均衡している状況で会合毎に判断するとして年内3回利下げ想定についてはハト派的な姿勢だったと思われる。
タカ派として知られるアトランタ連銀のボスティック総裁は3日に「利下げ開始は10〜12月期の年末に適切になる」として年内3回利下げ想定に否定的な見方を繰り返している。

【米10年債利回りは一段高後に反落、ダウは3営業日続落】

4月3日の米長期債利回りはまちまち。
長期金利指標の10年債利回りは前日比変わらずの4.35%で終了した。4月1日と2日に急伸して3日は一時4.43%をつけて12月以降の最高としたが、ISMサービス業景況指数の悪化を見て失速した。
30年債利回りは0.01%上昇の4.51%となり3連騰だったが、一時4.57%をつけたところから上げ幅を大きく削った。政策金利動向に敏感な2年債利回りは前日比0.01%低下の4.68%で終了し、一時4.74%まで上昇してから反落しており、2月23日に付けた直近のピークである4.76%を超えられず、10年債や30年債が12月以降の高値更新まで上昇したことと比較すれば利下げ開始を意識して上昇力が相対的に鈍い印象となっている。
一方でNYダウの4月3日は前日比43.10ドル安と下落し、4月1日の240.52ドル安、2日の396.61ドル安から3営業日続落した。第1四半期が大幅高で3月21日に史上最高値を付けたが4月入りから修正安に入っている印象もある。ナスダック総合指数は37.01ポイント高と反発したが2日の156.38ポイント安を解消する勢いには欠けた。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は4月3日夜に151.95円を付けて3月27日高値151.96円に迫ってから反落しているため、目先のピークを付けて下落期に入っている印象だ。3月29日夜安値を基準とすれば安値形成期は3日夜から5日夜にかけての間と想定されるのですでに反騰注意期にあるが、5日夜にかけてはまだ下落余地ありとし、151円台での持ち合い下限を試しやすい局面と考える。ただし、4月3日夜高値超えからは新たな上昇期入りとし、5日夜の米雇用統計後も上昇するならば8日夜から10日夜にかけての間へ高値試しを続けやすくなるとみる。

60分足の一目均衡表では、4月3日夜高値からの反落で遅行スパンは悪化しやすい位置にあり、先行スパンからも転落しやすいところまで下げている。先行スパンからの転落を回避するうちは151.75円超えから上昇再開とみるが、先行スパンから転落する場合はその後も続落するとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は4月1日深夜高値から2日午後高値へ高値を切り上げた際に指数のピークが切り下がる弱気逆行をみせたが、3日夜に一段高したところでは1日深夜のピーク時に届かずに40ポイント台へ反落しているため、55ポイント超えからは上昇再開とするが、50ポイント以下での推移中は下向きとし、40ポイント割れからは30ポイント前後への低下へ向かうとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、151.30円を下値支持線、4月3日夜高値151.95円を上値抵抗線とする。
(2)151.75円を下回るうちは下落継続の可能性を優先し、151.30円割れからは151円前後への下落を想定する。151円前後は買われやすいとみるが、151.50円以下での推移なら5日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)151.75円超えからは151.95円及び152円試しとするが、152円手前は引き続き売られやすいとみてその後に151.50円を割り込むところからは下落再開と考える。ただし、152円到達から続伸する場合は152円台中盤(152.35円から152.65円)への上昇期に入るとみる。

【当面の予定】

4/4(木)
休場 中国、香港
14:00 (日) 日銀支店長会議、地域経済報告(さくらリポート)
16:55 (独) 3月 サービス業PMI・改定値 (2月 49.8、予想 49.8)
17:00 (欧) 3月 サービス業PMI・改定値 (2月 51.1、予想 51.1)
17:30 (英) 3月 サービス業PMI・改定値 (2月 53.4、予想 53.4)
18:00 (欧) 2月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (1月 -0.9%、予想 -0.7%)
18:00 (欧) 2月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (1月 -8.6%、予想 -8.6%)
20:30 (欧) 欧州中銀理事会議事要旨

21:30 (米) 2月 貿易収支 (1月 -674億ドル、予想 -673億ドル)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.0万件、予想 21.4万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 181.9万人、予想 181.3万人)
23:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、討論会
25:15 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演
25:45 (米) グールズビー・シカゴ連銀総裁、質疑応答
27:00 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演

4/5(金)
休場 中国
08:20 (米) ムサレム・セントルイス連銀総裁、イベント挨拶
08:30 (日) 2月 全世帯消費支出 前年同月比 (1月 -6.3%、予想 -2.9%)
09:30 (豪) 2月 貿易収支 (1月 110.27億豪ドル、予想 105.00億豪ドル)
14:00 (日) 2月 景気先行指数CI・速報値 (1月 109.5、予想 111.6)
14:00 (日) 2月 景気一致指数CI・速報値 (1月 112.1、予想 110.9)
15:00 (独) 2月 製造業新規受注 前月比 (1月 -11.3%、予想 0.5%)
15:00 (独) 2月 製造業新規受注 前年同月比 (1月 -6.0%、予想 -10.1%)
18:00 (欧) 2月 小売売上高 前月比 (1月 0.1%、予想 -0.3%)
18:00 (欧) 2月 小売売上高 前年同月比 (1月 -1.0%、予想 -0.8%)

21:30 (米) 3月 非農業部門就業者数 前月比 (2月 27.5万人、予想 20.5万人)
21:30 (米) 3月 失業率 (2月 3.9%、予想 3.8%)
21:30 (米) 3月 平均時給 前月比 (2月 0.1%、予想 0.3%)
21:30 (米) 3月 平均時給 前年同月比 (2月 4.3%、予想 4.1%)
22:15 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演
28:00 (米) 2月 消費者信用残 前月比 (1月 195.0億ドル)


注:ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る