ドル円見通し 市場介入への警戒感ありつつも151円台を維持して一段高を伺う
〇ドル円、3/28午前151.54まで戻してから上げ渋るも、深夜151.14へ下げたところは買われる
〇151円台前半での持ち合いから抜け出せず、方向感を探る展開継続
〇昨日発表の米10-12月GDP確報は上方修正、ミシガン大の消費者期待インフレ率は低下
〇米10年債利回りは上昇後に反落、NYダウは5営業日ぶりに史上最高値更新
〇151.60以下での推移中は一段安警戒とし、151.02割れからは150円台中盤への下落を想定する
〇151.60超えからは、3/27午前高値151.96試しとする
【概況】
ドル円は3月27日午前に151.96円を付けて2022年10月21日高値151.94円を超え33年8か月振り高値とした後、日銀・金融庁・財務省による三者会合開催と神田財務官等による円安けん制で27日夜に151.02円まで下げたものの151円台を維持して確りした。3月28日は午前に151.54円まで戻してから上げ渋ったものの深夜に151.14円まで下げたところを買われて持ち合いを継続した。
3月27日午前の上昇はウォラーFRB理事が利下げを急ぐ必要はない等とタカ派姿勢を示したことによるドル高を反映したものだったが、財務省と金融庁、日銀が三者会合(緊急の情報交換会合)を行い、会合後に神田財務官が「あらゆる手段を排除せずに適切な対応を取っていく」と円安をけん制したことで下落した。
3月28日の米経済指標では10-12月期GDP確報値が上方修正されたことでNYダウが史上最高値更新して為替市場ではドル高感が強まったものの、その後はミシガン大消費者調査での期待インフレ率低下によりドル高が緩み、ドル円は151円台前半での持ち合いから抜け出せずに方向感を探る展開を続けた。
3月29日はグッドフライデーで米国市場は祝日となり、為替は通常取引となるが債券、株式、商品が休場となる。
【米10-12月GDP確報は上方修正、ミシガン大の消費者期待インフレ率は低下】
3月28日に米商務省が発表した昨年10-12月期のGDP確報値は季節調整済み年率換算で前期比3.4%増となり改定値の3.2%増から上方修正された。GDPの凡そ7割を占める個人消費が3.3%増となり改定値の3.0%増から上方修正されたことを反映した。設備投資も改定値の2.4%増から3.7%増へ大幅上方修正されている。いずれも米景気の強さを示しており、NYダウが史上最高値を更新するきっかけとなった。
インフレ指標ではGDPデフレーターが改定値と変わらずの1.7%。PCE(個人消費支出)デフレーターは全体で1.8%(改定値と変わらず)、コアPCEデフレーターは2.0%で改定値の2.1%から下方修正された。四半期ベースでは着実にインフレ鈍化が進んでいる。
3月28日発表の3月シカゴ購買部景況指数は41.4となり2月の44.0から低下して市場予想の46.0を下回った。
米ミシガン大の消費者調査では、3月の信頼感指数確報値が79.4となり速報の76.5から上方修正されて2月確報値の76.9から改善して2021年7月以来の高水準となった。消費者の期待インフレ率は1年先で2.9%となり2月確報の3.0%から低下、5年先も2月の2.9%から2.8%へ低下した。
米労働省による新規失業保険申請件数は3月23日までの週間で前週比2000件減の21万件となり市場予想の21.2万件を下回ったが、失業保険受給者総数は3月16日までの週間で181万9000人となり前週から2万4000人増加して市場予想の181.5万人を若干上回った。
【米10年債利回りは上昇後に反落、ダウは史上最高値更新】
3月28日の米長期債利回りは概ね上昇した。米GDP上方修正が利回り上昇要因となったもののミシガン大消費者期待インフレ率の低下が利回り上昇を抑える展開だったが、29日の米2月PCE統計前で動きは限定的だった。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.02%上昇の4.21%となったが、一時4.24%まで上昇してから4.18%まで低下してまた戻すなど方向感に欠け、概ね27日の高安レンジ内での推移に留まった。30年債利回りは前日と変わらず4.35%、2年債利回りは0.06%上昇の4.63%だった。
一方、NYダウは47.29ドル高と小幅上昇だったが、27日の477.75ドル高からの連騰で5営業日ぶりに史上最高値を更新した。米GDP上方修正等により景気がしっかりする中でFRBの利下げ開始見通しにより先行きの金融緩和を楽観して買われている。ゴールドが史上最高値を更新しているが、最近の仮想通貨高と同様に株式市場が高騰してきたことにより分散投資先が拡大していることを反映している印象もある。史上最高値更新とともに総強気の中で天井を付けるリスクも日々高まっている側面もある。
ナスダック総合指数は前日比20.06ポイント安と小幅下落、S&P500は5.86ポイント高と小幅上昇だったが取引時間中及び終値で史上最高値を更新している。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は3月27日午前高値151.96円から27日夜安値150.02円まで下げた後は151円台前半中心の小動きを続けている。3月27日午前高値を超えないうちは27日夜安値割れから一段安へ進む可能性があり、その際は29日夕から3月2日夜にかけての間への下落を想定するが、27日午前高値を超える場合は27日夜安値を起点とした上昇期として4月1日午前から3日午前にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では、151円台前半中心の揉み合いで推移しているため先行スパンを超えられずにいるものの151.60円を超えれば先行スパンを上抜いての上昇期入りとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。ただし、先行スパンを一時的に超えても再び転落する場合は151円割れからの一段安へ進む可能性ありとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は3月28日夜に40ポイントを割り込んでから50ポイント台へ戻しているので60ポイント超えから70ポイント前後を目指す可能性があるとみるが、伸び悩みで50ポイントを割り込む場合は下向きとし、45ポイント割れからは30ポイント台前半への低下へ向かうとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、3月27日夜安値151.02円を下値支持線、151.60円を上値抵抗線とする。
(2)151.60円以下での推移中は一段安警戒とし、151.02円割れからは150円台中盤(150.65円から150.35円)への下落を想定する。150.50円以下は反発注意とするが、151円を割り込んでの推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)151.60円超えからは3月27日午前高値151.96円試しとする。152円手前では再び売られやすく、152円到達では市場介入による反落を警戒するが、市場介入がなく円安が勢い付く場合は152円台中盤(152.35円から152.65円)へ上値目途を引き上げ、週明けも続伸するのではないかとみる。
【当面の予定】
3/29(金)
休場、米国、ドイツ、スイス、フランス、英国、カナダ
休場 メキシコ、南ア、ニュージーランド、オーストラリア、香港、シンガポール
14:00 (日) 2月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (1月 -7.5%、予想 -5.5%)
21:30 (米) 2月 個人所得 前月比 (1月 1.0%、予想 0.4%)
21:30 (米) 2月 PCE(個人消費支出) 前月比 (1月 0.2%、予想 0.5%)
21:30 (米) 2月 PCEデフレーター 前年同月比 (1月 2.4%、予想 2.5%)
21:30 (米) 2月 コアPCEデフレーター 前月比 (1月 0.4%、予想 0.3%)
21:30 (米) 2月 コアPCEデフレーター 前年同月比 (1月 2.8%、予想 2.8%)
21:30 (米) 2月 卸売在庫 前月比 (1月 -0.1%、予想 0.2%)
24:30 (米) パウエルFRB議長、討論会参加
3/31(日)
10:30 (中) 3月 国家統計局製造業PMI (2月 49.1)
10:30 (中) 3月 国家統計局サービス業PMI (2月 51.4)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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