トルコリラ円見通し ドル円が小動きの中で4日連続のドル高リラ安で安値切り下げ続く
〇トルコリラ円、3/28は概ね4.69から4.66の取引レンジ、ジリ安推移で4.65近辺まで安値切り下げる
〇対ドル、3/28まで4営業日連続のドル高リラ安、中銀利上げ後のリラ高をほぼ解消
〇3/29午前序盤は32.45を付け、5営業日連続のドル高リラ安の気配
〇トルコ外貨準備高は減少、今後の格付け評価への悪影響の懸念も
〇4.69以下での推移中は一段安余地ありとし、4.64割れからは4.60前後への下落を想定する
〇4.69から4.70手前は、戻り売り有利とする
【概況】
トルコリラ円の3月28日は概ね4.69円から4.66円の取引レンジ、29日早朝の終値は4.67円で前日終値の4.68円からは0.01円の円高リラ安だった。
ドル円が3月19日の日銀金融政策決定会合を通過して急伸し、3月21日未明の米FOMC通過後にいったん下落してからドル高のぶり返しにより反騰したことに加え、21日夜にトルコ中銀が現状維持予想に反して5%利上げを決定したことによるリラ買いでトルコリラ円は3月21日夜に4.77円へ上昇したがその後は下落に転じている。
ドル円は151円台を維持して高止まりしつつ2月27日午前には151.96円を付けて2022年10月21日高値151.94円を超えて33年8か月振り高値としたものの日銀・金融庁・財務省による三者会合と円安けん制発言で27日夜に151.02円まで反落したものの29日午前にかけて151円台前半中心の持ち合いを続けている。
一方でドル/トルコリラは3月21日のトルコ中銀利上げによるドル安リラ高が長続きせず、25日から28日にかけて4営業日連続でドル高リラ安となり29日午前も5営業日連続でのドル高リラ安気配で推移している。
トルコリラ円はドル円が膠着状態の中でドル高リラ安が再開していることに圧迫されて3月27日にドル円が反落したところで4.70円を割り込み、その後もジリ安の推移で4.65円近辺まで安値を切り下げている。
【ドル/トルコリラ、ドル高リラ安の再開で中銀利上げ後のリラ高をほぼ解消】
ドル/トルコリラの3月28日は概ね32.39リラから32.12リラの取引レンジ、29日早朝の終値は32.30リラで前日終値の32.25リラから0.05リラのドル高リラ安だった。
3月21日にトルコ中銀が市場予想の現状維持に反して5.0%利上げを決定したことをサプライズとして21日当日安値32.46リラから31.57リラへドル安リラ高となり、22日には31.53リラを付けたが、リラ買い反応が一巡して3月25日からドル高リラ安が再開して28日まで4営業日連続のドル高リラ安となり、中銀利上げ後のリラ高をほぼ解消している。
3月28日は週次の外貨準備高減少により今後の格付け評価への悪影響が懸念されたこともリラ売り要因となった印象だが、4月3日には3月トルコCPI上昇率の発表もあり、2月からさらに伸びが加速する見通しとされていることでリラの先安感が再び勢いを増してきている印象だ。
4月3日発表予定の3月CPI(消費者物価指数)上昇率についての事前予想は前月比が2月の4.53%から3.50%へ若干鈍化するとみられるものの高水準を維持し、前年同月比は2月の67.07%から69.10%へ伸びが加速すると見込まれている。
3月29日午前序盤は32.45リラを付けて5営業日連続のドル高リラ安気配であり、3月19日に付けた史上最安値32.50リラへ徐々に迫っている。
【トルコ外貨準備高減少】
3月28日に発表された週次の外貨準備高は3月22日時点のグロスで706.8億ドルとなり3月15日時点の748.9億ドルから大幅に減少した。ネットも152.1億ドルとなり3月15日時点の196.2億ドルから大幅減少した。
トルコ中銀はエルカン前総裁時代に外貨準備高を取り崩してリラ防衛のための市場介入を繰り返して来たことを止めて外貨準備高の増加方針を打ち出し、グロスでは2023年6月の565.2億ドルから12月末には975.6億ドルまで大幅増加してきたが、その後は減少傾向に入り3月8日時点の777.9億ドルから3週連続でこの間の最低を更新している。ネットではエルカン前総裁就任時の6月にマイナス57億ドルまで悪化したところから12月末に400.9億ドルまで改善したがその後は減少期に入り、ここ2週連続の減少でこの間の最低を更新している。
外貨準備高が取り崩されている状況は為替市場におけるリラ買いドル売り等の市場介入が水面下で進められていることも危惧されており、減少傾向からさらに続くようだと大手格付け会社による信用判断にも影響が出かねないところだ。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、3月21日深夜高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして26日の日中から28日午前にかけての間への下落を想定してきた。3月26日夜安値からやや戻した後に一段安したために28日午前時点では26日夜安値を基準としてボトム形成期が29日夜から4月2日夜にかけての間へ延びる可能性があるとしたが、29日午前へ続落しているため、26日夜安値を直近のサイクルボトム、27日午前高値を同サイクルトップとした弱気サイクル入りとして29日夜から4月2日夜にかけての間への下落を想定する。強気転換には4.70円を超える反騰が必要と思われる。
60分足の一目均衡表では3月27日夜の下落で先行スパンから転落して遅行スパンも悪化したが、その後も両スパン揃っての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンを上抜けないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とし、強気転換は両スパンが揃って好転するところからとする。
60分足の相対力指数は3月27日夜の下落時に30ポイントに迫ってから下げ渋っていたものの、29日午前序盤に30ポイントを割り込んでいるため10ポイント台へさらに低下する可能性があるとし、強気転換は50ポイント超えからとする。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.64円を下値支持線、4.69円を上値抵抗線とする。
(2)4.69円以下での推移中は一段安余地ありとし、4.64円割れからは4.60円前後への下落を想定する。4.60円以下は反騰注意とするが、4.69円を下回っての推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.69円から4.70円手前は戻り売り有利とし、4.70円を超える場合は4.72円前後への上昇とその後の反落注意とする。
【当面の主な予定】
3月29日
16:00 2月 貿易収支 (1月 -62.3億ドル)
4月1日
16:00 3月 イスタンブール製造業PMI (2月 50.2)
4月3日
16:00 3月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (2月 4.53%、予想 3.50%)
16:00 3月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (2月 67.07%、予想 69.10%)
16:00 3月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (2月 3.74%)
16:00 3月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (2月 47.29%)
4月4日
20:30 週次 外貨準備高 3月29日時点 グロス (3月22日時点 706.8億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 3月29日時点 ネット (3月22日時点 152.1億ドル)
注:ポイント要約は編集部
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