明日の日銀会合にらみ、基本は強保ち合い
〇ドル円、上値も重く上げ渋ったが、148.90-149.35の高値圏での一進一退
〇高値150.88起点としたフィボナッチで、次のターゲットは76.4%戻し(149.85)、ドルの続伸に要注意
〇緩やかな下降をたどる149.40台にある21日MAをしっかりと超えられるか注視
〇先週末、ECB金融政策について欧州要人発言相次ぐ。6/6会合での利下げ決定公算大か
〇本日、3月NAHB住宅市場指数が発表予定だが、日米金融政策を前にレンジ取引が続くか
〇欧米時間ドル円予想レンジ:148.80-149.70。ドル高円安方向、東京高値149.30-35レベルの攻防
〇ドル安円高方向、本日東京安値148.90レベルが最初のサポート。下回っても148円半ばなどは底堅い
<< 東京市場の動き >>
週明けの東京市場はドルが強保ち合い。149円台を中心とした高原推移をたどっている。
先週末は、中国海警局船が台湾の「進入禁止水域」に初めて入ったとして話題に。しかも、2日連続で侵入していたようだ。一方、投開票されたロシア大統領選は、事前予想通りプーチン氏が圧勝し、「勝利宣言」も聞かれていた。
そうした状況下、ドル/円は149円前後で寄り付いたのち、ドルは底堅く推移。上値も重く上げ渋ったが、それでも148.90-149.35円といった高値圏での一進一退をたどっていた。次の材料待ちといった様相を呈するなか、途中で「北朝鮮によるミサイル発射」報道も観測されたが結果として影響は限定的。16時現在では149.20-25円で推移し、欧米市場を迎えている。
なお、明日以降の日銀会合などをにらみ、やや動意の乏しかった為替市場とは裏腹に日本株、なかでも日経平均株価は堅調裡。終値ベースでも上げ幅が1000円を超えていた。
一方、材料的に注視されていたものは「ロシア大統領選」と「欧州金融政策」について。
前者は、事前に日米など56ヵ国が「ロシア併合地域の選挙」を非難する共同声明を発表。ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問も、SNSで「ロシアは盗んだ領土で、銃を突き付け『選挙』を組織している。市民を連行し、忠誠の署名をさせている」などと、非常に強い反発も観測されたロシア大統領選だが、結果はプーチン氏の圧勝で終了した。そんななか5選を決めたプーチン氏は「国民の信頼に感謝する」と勝利宣言を行うとともに、ウクライナ侵攻を目的達成まで続けると明言していたようだ。今後どういった展開をたどるのか、ウクライナ情勢にも要注意。
対して後者は、今週日米中銀がそれぞれ金融政策を発表する予定だが、先週末は欧州要人からECBの金融政策についての発言が相次ぎ思惑を呼んでいた。一例を挙げると、アイルランド中銀総裁は「ECBは6月に利下げに踏み切ることができる」と指摘。またスペイン中銀総裁も、ユーロ圏のインフレ鈍化を受けてECBが6月に利下げを開始する可能性があるとの見解を示したほか、フィンランド中銀総裁は年内に数回の利下げを実施できる条件が整いつつあると指摘したうえで、「最初の利下げは夏近くになるだろう」と述べたと伝えられている。ECB理事会のスケジュールをみてみると、3月会合はすでに終了しており次回は4月11日。その次は5月に会合がなく6月6日となる。同会合での利下げが決定される公算が大きいのかもしれない。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は上値が依然として重いなか、本日東京時間に先週高値を更新する局面も観測されていた。ただ、レベル的にもスピード的にも当局に容認されているのか、本稿執筆段階で日本サイドの要人から口先介入と思しきコメントは、ここまで聞かれていない。いずれにしても、足もとの状況を先週末にも報じた高値150.88円を起点とした下げ幅のフィボナッチで考えた場合、下げ幅の61.8%戻し(149.20円)を超えてきた感もあり、次なるターゲットは76.4%戻し(149.85円)か。ドルの続伸にも一応要注意。
今週は注目の日米金融政策がそれぞれ発表される予定だ。うち先陣を切る日銀については、各種メディアから「3月マイナス金利解除」観測報道が相次いでおり、もはや金融政策の修正は既定路線と言えよう。しかし、逆に言えばすでに「修正」そのものはほぼ織り込まれただけでなく、週末に共同通信が「マイナス金利解除に踏み切った場合でも、デフレ脱却や2%の物価上昇目標を盛り込んだ共同声明を当面継続する方針」と伝えていることは若干気掛かり。「噂で買って事実で売る」−−という相場格言ではないが、日銀利上げで円売りが加速する懸念もないではない。
テクニカルに見た場合、先週のドル/円は週末にかけ連日高値を更新する展開で、本日も早々に先週高値を上抜けている。基本的なリスクはドル高方向にバイアスか。しかし、明日以降の材料をにらみ、勢いに乗って高値を更新していくような環境にもない。目先は149円台を中心としたドル強保ち合いが続く可能性もある。そうしたなか、緩やかな下降をたどる移動平均の21日線(149.40円台)を、しっかりと超えられるか否かも注視されているようだ。
本日は米経済指標として、3月のNAHB住宅市場指数が発表される予定となっているものの、今週の市場でもっとも注視されている日米金融政策が明日以降に予定されていることもあり、よほどのことがない限りレンジ取引が続く可能性がある。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは148.80-149.70円。ドル高・円安方向は本日東京高値である149.30-35円レベル、そして21日線をめぐる攻防に注目。しっかり抜けると150円が再びターゲットに。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値に当たる148.90円レベルが最初のサポート。ただ下回っても148円半ばなどでは底堅く、大崩れは目先予想できない。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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