ドル安リスク高いが、材料難で基本小動きか
〇本日のドル円、緩やかな右肩下がりで146円半ばまで下落後に小幅上昇、16時現在146.95-00で推移
〇先週安値146.48を割り込めず、146円台後半から半ばに掛けては若干売り難い様子
〇3月の日銀マイナス金利解除観測、この後も短期的な円高に寄与しそう
〇テクニカルには、過去3週間程推移していたレンジを下放れるも、ドル売り第一波は終了か
〇本日この後は新規材料難、基本的には動きにくそう
〇ドル高・円安方向、本日東京高値147.10-15の攻防にまずは注目
〇ドル安・円高方向、先週末・本日東京時間に下げ止まった146円半ばが最初のサポート
〇欧米時間のドル円予想レンジ:146.40-147.40
<< 東京市場の動き >>
週明けの東京市場は往来相場。一時ドル安が進行したものの続かず、先週安値を割り込めなかった。
週末の会見で、中国の担当相が「破産すべき開発企業は破産させるべき」と述べたことが話題に。またバイデン米大統領から「断食月(ラマダン)前のガザ戦闘休止合意は厳しい」との発言が聞かれたが、実際多くでは11日から断食月に入っており、懸念が現実化した。
そうした状況下、ドル/円は147.05-10円で寄り付いたのち、緩やかな右肩下がりをたどると146円半ばまで下落。しかし先週安値146.48円を割り込めないなか、ドルが徐々に上昇に転じると、寄り付きを超えて日中高値を示現した。16時現在では146.95-00円で推移し、欧米市場を迎えている。
なお、先週には一時4万円台を記録した日経平均株価だが、本日は大幅安。ザラ場ベースでは1000円以上下落する局面も観測されていた。
一方、材料的に注視されていたものは「ガザ情勢」と「中国情勢」について。
前者は、米国のバイデン大統領は当初、ラマダン前の交渉妥結に期待を表明していたが、週末になり先で指摘したように「ラマダン前のガザ戦闘休止合意は厳しい」と発言を軌道修正。そして実際、エジプトやサウジアラビアなど多くのイスラム諸国は11日からラマダン入りしたが、戦闘は継続されているもようだ。さらに米ポリティコは、イスラエル首相がラファ侵攻に対するバイデン氏の懸念を無視し、避難民の集結するパレスチナ自治区ガザ最南部ラファへ侵攻する考えを改めて強調した、と報じている。収まる気配のない中東の地政学リスクは気掛かりだ。
対して後者は、開催されていた全人代(=国会に相当)を含め、興味深い発言や事象が相次ぐ。そのひとつが前述した担当相による「破産すべき開発企業は破産させるべき」との発言で、市場では深刻な経営不振に陥った開発大手の清算手続きが進むとの期待感も取り沙汰されていたようだ。また中国軍報道官から、日本円で34兆円まで膨れ上がった24年の国防予算の増大について「適切」との主張が聞かれたほか、対中直接投資が激減したというデータを基に外資の撤退が進んだと指摘した報道について、「状況を曲解している」と反発する中国報道官談話も聞かれていた。なお、別に共同通信によると「中国原発のトリチウム放出、福島処理水の最大9倍になった」ことが中国公式統計で明らかになったという。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は、先週末に続き本日も146円半ばまで下落するも、2度下げ止まった。リスクは引き続き下方向で、下値トライが失敗したとまでは言えないものの、146円台後半から半ばに掛けては若干ドルを売り難くなったようだ。一方で上値が重いことも確かだが、目先のドルは思いのほか底堅く推移する可能性もある。
市場は引き続き日米金融政策に注目。様々な思惑が交錯しているものの、日本については「早期金融修正不可避」ムードが強く、足もと3月の「マイナス金利解除」観測も取り沙汰されている。短期的な円高の支援要因として、このあとも寄与しそう。一方、米国は依然としてまずは発表される米指標や要人発言に注目。それらを受けて一喜一憂する展開がいましばらく続きそう。ただ、本日は目立った材料もないことで、一時的な小休止となるかもしれない。
テクニカルに見た場合、ドル/円相場は過去3週間ほど推移していたレンジを下放れ。リスクはドル安方向に依然として高そうだが、ドル売りの第一波は終了した可能性も。よって、目先のドルは思いのほか底堅く推移する可能性もあるものの、先週末そして本日東京で下げ止まった146円半ばをしっかり下回ると、その限りではない。まずは2月1日安値145.90円がターゲットに。
本日は目立った米経済指標の発表などはうかがえず。また米国だけでなく、欧州についても講演など要人の発言機会はとくに予定されていない。NYダウなどほかの金融市場の動きをにらみつつだが、新規材料難で為替市場も基本的には動きにくそうだ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは146.40-147.40円。ドル高・円安方向は東京高値である147.10-15円の攻防にまずは注目。上抜けると、移動平均の90日線なども位置する147円半ばが意識されそうだ。
対するドル安・円高方向は、先週末に続き本日東京時間にも下げ止まった146円半ばが最初のサポート。下回ると145.90円がターゲットとなる。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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