明日以降の材料にらみドルは底堅く推移
〇ドル円、150.10レベルで寄り付きドル売り先行で150円を割るも、切り返すと緩やかな右肩上がり
〇共同通信「政府、『デフレ脱却』表明する検討に入った」と報じドル売り要因となるが影響は一時的
〇5日開幕の中国全人代、経済成長率目標が昨年同様の「5%前後」に設定されるのか要注目
〇テクニカルには週内に150円台まで上昇してくる21日線を、日足がしっかり維持できるか注目
〇ドル高円安方向、150.80レベルが目先の抵抗。超えれば151円台乗せだが、いまだ遠くて近いイメージ
〇ドル安円高方向、本日東京安値149.85レベルの攻防に注目。21日線も近く大崩れは予想しにくい
〇欧米時間のドル円予想レンジ:149.80-150.80
<< 東京市場の動き >>
週明け東京市場はドルが小高い。一時150円を割り込む局面も見られたが、切り返しての推移となっている。
先週末2日、日本の新年度予算案が異例の土曜日審議を経て衆院通過となった。一方、格付け会社フィッチ・レーティングスは、米国の外貨建て長期債格付けを「AAプラス」に据え置いたことを明らかにしている。
そうした状況下、ドル/円は150.10円レベルで寄り付いたのち、ややドル売り先行。後述する共同通信報道が影響していたとされ、一時150円割れも。しかし、大崩れはせずに切り返すとその後は逆に緩やかな右肩上がり。16時現在では日中高値圏の150.35-40円で推移し、欧米市場を迎えていた。
なお、前週は4万円にとどかなかった日経平均株価だが、本日は早朝からいきなり4万円台。また終値ベースでも4万円台に乗せている。
一方、材料的に注視されていたものは「日本情勢」と「中国情勢」について。
前者は、この週末に日本絡みでなかなか大きなニュースが幾つか報じられている。ひとつは、先で指摘した異例の土曜審議を経ての「新年度予算案衆院通過」だが、日経新聞による「米国は英国と豪州との安全保障の枠組み『AUKUS(オーカス)』で日本と技術協力する検討に入った」との報道も、軍事の面からは無視できない。一方、それとは別に先週は植田総裁など日銀幹部の発言をめぐり、日本の金融政策についての見方が二転三転するなか、本日は共同通信が「政府、物価の上昇傾向を受け『デフレ脱却』を表明する検討に入った」と報じて物議を醸していたようだ。為替市場では早朝のドル売り・円買い要因にもなっていた。
対して後者は、5日から開幕する「全人代(=国会に相当)」が幾つかの意味で思惑を呼んでいた。ひとつは、昨年7月に秦剛外相が解任されて以降、その前任で外交担当トップに昇格した王共産党政治局員が兼任している「外相人事」。多忙を極める王氏の手からようやく離れ、後任が決定すると目されているようだ。また、初日に実施される李首相が初の政府活動報告を行い、今年の経済成長率目標を明らかにすることへの注目度も高い。市場では、昨年同様「成長率5%前後」に設定されるとの見方が有力だが、果たしてどのあたりの数字で設定されるのか要注目だ。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円は引き続き150円挟みのレンジ取引。2月29日にドルは149.21円まで値を下げたが、結局底割れに失敗し、再び相場はレンジ取引の様相を呈している。今週は週間を通して材料も多く、予断を許さないが短期的には149.50-151.00円といったレンジ取引が続く可能性を否定できない。いま少し、次の材料待ちといった展開か。
引き続き日米金融政策について思惑が交錯するなか、前述したように本日は共同通信から観測気球と思しき記事が伝えられたが、結果として反応はいまひとつだった。影響は一時的にとどまっている。一方、米国は本日こそ目立った経済指標の発表が予定されていないものの、今週は週間を通して重要指標の発表が相次ぐ。基本的にはそれらの内容次第で一喜一憂する展開か。また日米株価が堅調に推移していることでの株価動向や、名実ともに3月・期末入りしたことでの各種需給要因への関心も高いようだ。
テクニカルに見た場合、ドル/円相場は先週のレンジ下放れトライがあったものの失敗に終わり、結局レンジ内。上下ともに攻めにくく、しばらくは150円台を中心に落ち着きどころを探る展開が予想されている。ただ、若干気になるのは移動平均で、ドルのサポートとして寄与している21日線が足もと149.80円台、週内には150円台まで上昇してくること。一連の動きのなかで日足が21日線をしっかりと維持できるのかにも注目だ。
本日はとくに目立った米経済指標の発表はなし。また、フィラデルフィア連銀総裁の講演が予定されているものの、材料的にはいくぶん少なめだ。週末の米雇用統計発表など、明日以降に注目材料が集中しており、本日は基本それらにらみの展開か。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは149.80-150.80円。ドル高・円安方向は依然として抜けられない150.80円レベルが目先の抵抗。超えれば151円台乗せを否定できないが、いまだ遠くて近いイメージは変わらない。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値の149.85円レベルの攻防にまずは注目。近くには21日線も位置しており、仮に下回っても大崩れは予想しにくい。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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