値幅は期待できないがレンジ上抜けを想定
〇先週のユーロドル、週間レンジ70pipsに留まる。ECB理事会前に、方向感が失われている状況続く
〇1.08割れのユーロ買いと1.08台半ばよりも上でのユーロ売りとに挟まれ、動意薄の展開
〇3/7 ECB理事会後のラガルド総裁会見、早期緩和に消極的スタンス維持か、よりタカ派的になるか注視
〇ECB後に先週のレンジを抜けるとすれば、上抜けの可能性が高い
〇先々週高値1.0888レベルと、12月高値と2月安値の半値戻し1.0916がターゲットとなるか
〇今週は1.0795レベルをサポート、1.0915レベルをレジスタンスとする流れを見る
今週の週間見通しと予想レンジ
先週もですが、ユーロドルの週間レンジは70pipsに留まり、1.08割れのユーロ買いと1.08台半ばよりも上でのユーロ売りとに挟まれて方向感がはっきりしない動意薄の展開が続きました。また、ドル円が高田審議委員の発言をきっかけに下げた際、ユーロ円も同様に下げていましたが、その時間もユーロドルは動かずでした。月末のロンドン・フィキシングでドル買いが出たことでユーロドルは下げましたが、翌日には全戻しと今週のECB理事会を前に、方向感が失われている状況が続いています。
今週は雇用統計をはじめ米国関連の経済指標やパウエルFRB議長の議会証言等、イベントはほとんどが米国関連ですが、欧州関連では7日のECB理事会と理事会後の総裁会見が最大の材料となります。しかし、ここまで出て来ているECB関係者の発言を振り返るとほぼ緩和への転換時期は後退している発言が目立っているため、今回の理事会では現状維持で、利下げの話も出なかったということになるのではないかと見られます。
コンセンサスがそういう方向ですから、だからと言って大きくユーロが買われることも無いと思いますが、先週のレンジを抜けるとすれば上抜けの可能性のほうが高そうです。
なお、ECB理事会よりも理事会後のラガルド総裁会見のほうが注目度は高いと見られますが、ラガルド総裁自身は早期緩和に消極的な発言をデギンドス副総裁とともにしていたことから、短期間にそのスタンスが変わることは無く、変わっていないか、さらにタカ派寄りになっているかを見極める会見になりそうな印象です。
ポジション的には円が最大級の円売りポジションとなっている一方で、ユーロ買いのポジションが減ったまま低位安定です。そして、そのうちの一部はユーロ円としての買いである可能性が高いことも、ユーロドルにはかなり買い余力があるという見方も出来るでしょう。
テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。
年初からの下降チャンネルを上抜けたことは先週書いた上で、明確なサポートラインは引けないことも書きましたが、とりあえず年初来安値と先週安値とでサポートラインを引いてみました。そしてそれに平行なチャンネルを青のラインで示してありますが、レンジの高値と12月高値と2月安値の38.2%戻しが同水準ですから、ここを抜けてくると先々週の高値1.0888レベル、そして半値戻しとなる1.0916をターゲットにする展開につながる可能性が高まると見ています。
ECB理事会までは動きは鈍いままだと思いますが、上抜けを想定し今週は1.0795レベルをサポートに、1.0915レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
今週のコラム
今週もユーロ円の日足チャートをご覧ください。
昨年11月からのトライアングル(ピンク)を上抜け、12月安値からの平行上昇チャンネルの中での動きは続いていますが、現状は更に狭く青のラインで示したウェッジの中で底堅い流れが続いている状態です。
ECB理事会後はユーロが強くなるという見方をしていますが、ドル円では週報に書いた通り短期的にはいったん調整で下方向の動きになると見ていますので、そうなると今週のユーロ円は横方向のもみあいになる可能性が高いと言えそうです。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
3月4日(月)
20:30 オーストリア中銀総裁講演 ☆
3月5日(火)
09:01 英国2月小売売上高
16:45 フランス1月鉱工業生産
17:50 フランス2月サービス業PMI
17:55 ドイツ2月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏2月サービス業PMI
18:30 英国2月サービス業PMI
19:00 ユーロ圏1月PPI ☆
3月6日(水)
16:00 ドイツ1月貿易収支
18:30 英国2月建設業PMI
19:00 ユーロ圏1月小売売上高
24:00 パウエルFRB議長議会証言(下院)☆
3月7日(木)
16:00 ドイツ1月製造業新規受注
22:15 ECB理事会 ☆
22:45 ラガルドECB総裁会見 ☆
3月8日(金)
16:00 ドイツ1月鉱工業生産、PPI ☆
16:45 フランス1月貿易収支
18:00 オーストリア中銀総裁講演
19:00 ユーロ圏10〜12月期GDP確報値
22:30 米国2月雇用統計 ☆
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時―NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
2月26日(月)
ユーロドルは東京市場では動かず、欧州市場に入り金曜から動かなすぎた反動もあったのか、改めて緩和後退観測を背景としたユーロ買いの動きが先行しました。ユーロ円は前週高値を上抜け一時163.72レベルまで上昇しましたが、NY市場では米金利上昇もあり、ユーロドルは高値圏でもみあいのまま引けました。
2月27日(火)
ユーロドルは動意薄の一日となり、終日のレンジは33pipsに留まりました。ドル円が動いてユーロドルは動かずというのはいつものパターンですが、ドル円も動きがやや鈍かったことでユーロドルは一層動かなかったという流れでした。
2月28日(水)
ユーロドルはドル高の動きから欧州市場序盤まで下げ、一時1.0797レベルの安値をつけましたが、その後はほぼ行って来いの動きとなり東京朝方の水準に戻して引けました。
2月29日(木)
ユーロドルは東京市場では動かず、欧州市場に入りやや買いが強まったものの、1.08台半ばから上の水準にはまだまだ売りが控えていたようで、上値が重たい印象でした。ロンドン・フィキシングでは対ユーロでもドル買いが出たことから1.0796レベルまで下げたものの前日安値と並んだところで下げ止まり、安値圏でもみあいのまま引けました。
3月1日(金)
ユーロドルはNY市場まで1.0810前後の狭い値幅でのもみあいが続きました。NY市場では米金利低下の動きからユーロ買いの動きとなり、1.0843レベルまで上昇し高値圏での引けとなりましたが、終日レンジは45pipsに留まり、動きは鈍い状態が続いていました。
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オーダー/ポジション状況
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