次の方向性示すような展開にも要注意
〇先週のドル円、150円後半からの上値重い、週間高値は150.84
〇一時149.21まで下落するも、週末にかけ再び買われ150円後半へ
〇週間を通し日銀当局者発言に右往左往する展開、日銀政策決定会合(3/18-19)に要注目
〇テクニカルには、足もとの小レンジと149-151円のレンジをどちらに放れていくのか注視
〇3/5 2月東京都区部消費者物価コア指数発表
〇3/6 米2月ISM非製造業総合指数、3/8米雇用統計
〇ドル高・円安方向、先週抜けられなかった150.88の攻防に引き続き注目
〇ドル安・円高方向、先週安値149.21が最初のサポート
〇予想レンジ:148.50-151.50
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場はドルが冴えない。150円後半からの上値が重く、週足も5週間ぶりの陰線引けを記録している。
前週末は、2月24日に「ロシアによるウクライナ侵攻から2年」となったことを受け、様々な国際会議が開催されたほか、各国要人から関連発言なども相次いでいた。
そうした状況下、ドル/円は150円半ばで寄り付いたものの、週間を通して上値は重い。結局高値は150.84円で、2月13日に記録した年初来高値150.88円を超えていくことは出来なかった。むしろ、短期的なボトムだった150円レベルを割り込み、一時は149.21円まで下落する局面も。ただ、週末にかけてドルは再び買われると150円後半へ。週末NYは150.10-15円で越週している。
なお、日経平均株価も全般的には上げ渋り。前週記録した最高値をまたもや更新したものの、初の4万円台乗せは今回も持ち越しとなった。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「日本の金融政策」と「ウクライナ侵攻2年」について。
前者は、週間を通して日銀当局者発言に右往左往する展開だった。前週の2月22日に植田日銀総裁が「日本経済はデフレではなくインフレの状態にある」とコメントしており、風向きの変化を感じる市場筋も少なくないなか、同29日に高田日銀委員が「2%の物価安定目標の実現が見通せる状況になってきた」と発言。日銀が金融緩和へ向けいよいよ舵を切ってきたとの見方が広がると、為替市場では調整と思しきドル売り・円買いが広がった。しかし、翌3月1日の早朝に伝えられた植田発言は「物価目標実現見通しはまだそこまで至ってない」、「インフレ率はかなりのペースで減速傾向」−−などで、予想より弱めの内容。市場では失望の円売りがかさむ展開となり、週末には再び円売りが進展している。いずれにしても、次回の日銀金融政策決定会合は3月18-19日に開かれる。果たしてどういった決定がなされるのだろうか注目だ。
それに対して後者は、前述したように2月24日が「ロシアによるウクライナ侵攻から2年」となるなか、色々と興味深い動きも観測されている。たとえばG7首脳はテレビ会議を行い、「ロシア軍の無条件での完全撤退」を要求した声明を発表したことについて、ロシアサイドが強い反発を示すなか、フランスのマクロン大統領が、ウクライナに欧州諸国の地上部隊を派遣することを「将来的に排除しない」と述べたことが別途話題に。米英独やNATOなどは急ぎマクロン発言を否定し、ウクライナへの派兵に消極的な見解を示したが、ロシアから核恫喝コメントが発せられるなど、情勢は再び緊迫度を増してきた。
<< 今週の見通し >>
先週のドル/円相場は、前々週に記録した「週間で1.08円の値動き」より動いたものの、それでも週間を通した変動は1.63円(149.21-150.84円)。週末NY終値が150円台となるなど、いまだ小動きでレンジ取引も脱却できていない状況だ。ドルの上値が依然として重いなか、下値トライは先週失敗した格好にあるが、ともかく足もとのレンジを上下どちらに放れていくのかがまずは注視されている。週末に注目の米雇用統計発表を控えていることなどからすると、油断は禁物という気もするが果たしてどうなるか。
引き続き日米金融政策への関心が高い状況下、日本の金利については先で取り上げたように日銀幹部発言をめぐり右往左往している。そうしたなか、今週は5日に2月の東京都区部消費者物価コア指数が発表される見込みで、まずその内容に要注意。ちなみに、市場予想を下回った場合の方が注意する必要がありそうで、円安に振れやすいといった声も聞かれていた。一方、米国も注目される要因は幾つかあるが、なかでもとなるとやはり週末に発表される2月の雇用統計か。こちらは前月データが予想以上に良かったが故に、反動により悪化する可能性も一部で取り沙汰されている。
テクニカルに見た場合、ドル/円は大局的なレンジ取引。レンジを広くとれば149-151円という2円レンジの取引がすでに3週間を超えており、さらに小さなレンジも現在形成中だ。いずれにしても、明確な方向性はいまだ欠いたままの状況にあると言わざるを得ず、まずは足もとの小レンジ、そして先に記した149-151円の2円レンジを如何に放れていくのかが注視されている。ただし、日柄に加え、材料面を加味するとそろそろ注意すべきところへと達しつつあるようだ。
そうしたなか今週は、2月のISM非製造業総合指数や同雇用統計といった注目度の高い米経済指標が発表されるうえ、日本や中国などに経済指標発表も注視されているようだ。また、パウエルFRB議長が上下院で議会証言を行う予定であり、こちらを警戒する声も少なくなかった。
そんな今週のドル/円予想レンジは、148.50-151.50円。ドル高・円安については、先週も接近したが抜けられなかった150.88円の攻防に引き続き注目。抜ければ151.92円が現実的なメドとして意識されそうだが、それでも上値は重そうだ。
対してドル安・円高方向は、先週安値149.21円が最初のサポート。また、移動平均の21日線が週内に150円台へと達するだけに、サポートとして寄与し続けるか否かにも注意を要したい。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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