ドルは高原推移するも上値重く上げ渋りか
〇アジア市場のドル円、東京や中国市場の休場が影響してか動意乏しく、横這い推移
〇ドルは高原推移で、日本通貨当局の円高けん制も懸念されるが150円超えれば151.92がターゲットに
〇ドル安方向に振れても、147円後半に位置する21日MA前後では下げ止まり大崩れの可能性は低そう
〇本日発表の米経済指標は1月財政収支。欧米通貨当局者の講演予定も多く波乱要因として警戒
〇欧米時間ドル円予想レンジは148.70-149.60。ドル高円安方向、先週高値149.57が最初の抵抗
〇ドル安円高方向、底堅さのある149円レベル巡る攻防に注目。下回っても148円台では下げ止まるか
<< アジア市場の動き >>
週明けのアジア市場は横這い推移。東京や中国市場が休場となったことが影響してか動意は乏しく、売買は終日手控えられた。
先週末は、ロシア選管が大統領選の候補者登録が終了し、「プーチン氏など4氏の争いになる」と表明していた。一方、それとは別にトランプ米大統領候補が発した幾つかの発言が思惑を呼ぶ。そのひとつはNATO防衛義務不履行に言及したもので、波紋を広げていたようだ。
そうした状況下、ドル/円は149.25-30円で寄り付いたものの、東京や中国市場が休場になったうえ、新規材料も乏しく動意に欠ける展開。実際の値動きも149.10-30円といったほぼ横這い推移にとどまっていた。16時現在、ドル/円は149.20円前後で推移し、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「米政治情勢」と「ウクライナ情勢」について。
前者は、今秋に実施される大統領選を視野に入れつつ、米与野党の駆け引きが活発化してきた。ウクライナへの軍事支援を盛り込んだ緊急予算案が野党・共和党の反対で暗礁に乗り上げることについて、バイデン氏は「犯罪行為に近い」と共和党を激しく糾弾。その一方、米特別検察官がバイデン氏の記憶力に疑問を呈する報告書を発表したことについて、ハリス米副大統領からは「明らかに政治的動機によるもの」とした非難コメントが発せられていた。また、先のトランプ発言もそうした一連の動きのなかのものであり、さらには「大統領に返り咲けばバイデン政権が導入した銃規制をすべて撤廃する」とも表明していた。
対して後者は、ロシア大統領府が、インタビューに応じたプーチン大統領が、ウクライナ侵略に関し、ロシア系住民を迫害してきたウクライナの「ネオナチ思想」を根絶するための戦いだとして改めて正当化したことを明らかにするなか、米国による支援停止もありウクライナ情勢などに危機感を抱く向きが増えている。たとえば、ラトビア外相は「武器を捨てればウクライナという国が消滅する」と強い危機感を示したうえで、ウクライナが敗北すれば、ロシアの脅威は周辺国にも及ぶと警告していた。またデンマーク国防相からも「ロシアは5年以内にNATO加盟国を攻撃する」としたコメントが発せられていたようだ。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は、先週8日に149円台に乗せて以降、ほぼ149円台での値動き。日本の通貨当局による円高けん制なども懸念され、150円は近くて遠い存在という気もしないではないが、リスクは引き続きドル高方向にバイアスか。ドルは高原推移を続けている。一本調子に到達することは予想しにくいが、それでも150円を超えれば昨年高値151.92円などが名実ともにターゲットとなりそうだ。
1月末の日米中銀による金融政策発表などを経て、改めて「日米金利差の縮小は先送りされた」感があるものの、そののちも発表される米経済指標や要人発言に一喜一憂する傾向に変化はみられない。そうした意味では、本日も米当局者の発言機会が多いうえ、明13日に発表される1月の米消費者物価指数を警戒する向きも多いようだ。また、中東地域を中心とした地政学リスクの行方、米大統領選に関する動きなどへの関心も高く、関連ニュースには一応要注意。
テクニカルに見た場合、ドル/円相場は「149円の壁」を超えたのち、149円台での高原推移。強気派からは価格的な調整で足もとは底堅めの展開といった見方も聞かれており、次に放れるとすればドル高方向へ、150円トライといった声が多いが果たして如何に。
逆にドル安方向に振れても、現状147円後半に位置する移動平均の21日線前後では下げ止まるといった指摘が多く、大崩れを見込む向きは少ないようだ。
本日は米経済指標として、1月の財政収支が発表されるほか、米国だけでなく欧州の通貨当局者による講演予定なども多い。それら要人の発言内容を、波乱要因として警戒している向きも多いようだ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは148.70-149.60円。ドル高・円安方向は先週高値の149.57円が最初の抵抗。抜ければ名実ともに150円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、底堅さを醸しつつある149円レベルをめぐる攻防にまずは注目。ただ下回っても底堅く、148円台では下げ止まりそうだ。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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