金融政策ウィークで高値圏でのもみあい
〇先週のドル円、年初からの円安の動き強まり一時148.80レベルの高値を示現
〇12月安値140.25レベルから先週高値148.79まで8円54銭もの円安進行
〇日米金利差縮小の思惑後退がそのままドル円でのドル買い・円売りにつながる
〇今週後半、今後の米国経済への影響を考えるべき数字となる米GDP速報値と個人消費の発表に注目集まる
〇今週、若干上値は重たいが146.75レベルをサポートに148.75レベルをレジスタンスとする週を見る
今週の週間見通し
1月年初からの円安の動きが強まった一週間でした。前週1月第2週こそドル高でも上下の動きは見られましたが、先週は一気にドル高の動きを強め一時148.80レベルの高値と年初安値から考えると7円50銭もの円安進行を見たこととなります。12月安値からだと更にプラス1円です。さすがに8円前後という値幅はドル円の一波の動きとしては十分な大きさであり、週後半は横方向のもみあいと円安小休止での週末となっていました。
ここまでの動きを振り返ると、日銀は出口戦略後退、いっぽうで米国も強い経済指標が続いたことから緩和思惑がやや後退と、日米金利差縮小の思惑後退がそのままドル円でのドル買い・円売りにつながってきました。そして、いよいよ今週は日銀会合の結果発表と総裁会見が火曜に行われます。これまでのパターンだと本日月曜の海外市場で日経新聞によるリーク記事が出てくることが多いのですが、さすがに今回に関しては現状維持で決まりでしょうから、政策変更といったサプライズは無いものと思われます。
それでもイベント前ということで、金曜の海外市場以降はやや上値も重くなってきましたが、明日の日銀会合でやはり現状維持ということになると、改めて買いが出てくるのか、あるいは事実で売りというパターンになるのか、ポジション的にはやや円売りが残っていることを考えると、買われても金曜の高値圏ではドル売りも出てくるというところでしょうか。クロス円でも円売りが多かったため、事実で売りの流れの方にやや分があると思われます。
他にはECB理事会もありますが、こちらはドル円への直接的な影響よりはユーロドル、ユーロ円に与える影響が間接的にドル円の動きになるというところで、それよりも週後半では米国のGDP速報値と個人消費の発表に注目が集まります。年明け以降、比較的強い米国経済指標が目立っていましたが、重要度ではGDP、PCEと今後の米国経済への影響を考えるべき数字が出てきますので、週後半に一波乱ある可能性がありそうです。
テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。
冒頭に書いた通りですが、12月安値140.25レベルから先週高値148.79レベルまで値幅にして8円54銭もの値幅です。テクニカルには11月高値と12月安値との78.6%(61.8%の平方根)戻しが限界点ではあるものの、一波で同水準まで戻す動きはあまりにも強く、そこまでの材料があるとも正直思えません。
いったん短期的調整を見てからであれば、余力も出てきますが、現時点でそこまで上がるのはスピードが速く、イベント前の高値は先週高値で見たという考え方をしています。すると、12月安値と先週高値との押しとして、23.6%押しの146.78がターゲットとなってきます。同水準をサポートに、先週高値をレジスタンスとする流れは仮に買われたとしても妥当に思えます。
今週は若干上値は重たいものの押し目買いも出てくるという流れの中で146.75レベルをサポートに148.75レベルをレジスタンスとする週を考えておきます。
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2024年FOMCメンバー(ニューヨーク、クリーブランド、リッチモンド、アトランタ、サンフランシスコ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
1月22日(月)
24:00 米国12月景気先行指数
1月23日(火)
09:30 豪州12月企業景況感
12:00頃 日銀会合結果発表 ☆
15:30 植田日銀総裁会見 ☆
24:00 ユーロ圏1月消費者信頼感速報値 ☆
24:00 米国1月リッチモンド連銀製造業景況指数 ☆
30:45 NZ10〜12月期CPI
1月24日(水)
08:50 本邦12月貿易収支(通関)
17:15 フランス1月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:30 ドイツ1月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
18:00 ユーロ圏1月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
18:30 英国1月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
23:45 米国1月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
23:45 カナダ中銀政策金利発表
24:30 週間原油在庫統計
1月25日(木)
16:45 フランス1月企業景況感
18:00 ドイツ1月ifo企業景況感
22:15 ECB理事会 ☆
22:30 米国10〜12月期GDP速報値 ☆
22:30 米国新規失業保険申請数
22:30 米国12月卸売在庫、耐久財受注
22:45 ラガルドECB総裁会見 ☆
24:00 米国12月新築受託販売
1月26日(金)
**:** 豪州市場休場
08:30 本邦1月東京区部CPI ☆
08:50 日銀12月会合議事要旨公表 ☆
09:01 英国1月消費者信頼感
16:30 イタリア中銀総裁講演 ☆
16:45 フランス1月消費者信頼感
22:30 米国12月個人所得・個人消費支出 ☆
24:00 米国12月住宅販売保留件数
前週の主要レート(週間レンジ)
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
1月15日(月)
週明けは米国が祝日ということもありましたが、東京市場では株高を材料にしたドル円、ユーロ円での円売りが目立ちじりじりと上昇、NY前場には145.94レベルの高値をつけました。NY市場は祝日ということもあり、145円台後半の小動きで終わりました。
1月16・17日(火・水)
火曜水曜と円独歩安の状況が続きました。火曜前場には145円台半ばでしたが、前週CPI後の高値を上抜けたことで上昇に弾みがつきました。火曜のNY昼頃には147円台乗せ、水曜もじり高となり水曜NY昼前には148円台半ばと2日間で3円もの円安が進みました。背景にあるのは米金利上昇によるドル買いが主要因でした。
1月18日(木)
これまでの円安進行に対して小休止の一日となりました。東京から欧州市場朝方まではドル安、その後は買い戻されて行って来いとなりましたが、148円を挟んで終日のレンジも65銭にとどまりました。
ユーロドルは欧州市場序盤までやや水準を上げた後はユーロ売りの動きとなりましたが、前日安値を試しきれず引けにかけては東京朝方の水準へと戻しました。
1月19日(金)
週末のドル円は東京朝方からドル買いが先行、東京後場には一時148.80レベルと週間高値を更新しました。しかし、財務相の牽制発言が出たこと、週末前のポジション調整から急速に値を下げ欧州前場には147.83レベルの日中安値をつけました。NY市場では米金利上昇の動きとともに再びドル買いが強まったものの148円台半ばまで、引けにかけてはやや押して東京朝方の水準で引けました。
ディスクレーマー
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