日銀会合注目、基本ドル高だが調整にも注意
〇先週のドル円、週末に昨年11/28以来となる高値148.80示現。週末NYは148円台キープし高値引け
〇1/17発表の12月米小売売上高、鉱工業生産が予想上回り、早期の米利下げ観測後退。ドル上昇の一因に
〇アトランタ連銀総裁の「7-9月のどこかで最初の利下げを行う見通し」との発言もドル高を支援
〇今週最大の注目材料は1/22-23に行われる日銀金融政策決定会合と1/23の結果公表
〇ドル高・円安方向、目先は先週高値148.80の攻防に注目。抜ければ150円も薄っすらと視界内
〇ドル安・円高方向、連日下値を切り上げる展開で、先週末安値147.84が最初のサポートか
〇今週のドル円予想レンジ、146.00-150.50
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場でドルは堅調裡。昨年11月末以来の高値まで値を上げ、週末も高値圏で大引けている。
前週末は、台湾で総統選が実施され、中国の統一圧力に屈しない姿勢を示す与党、民主進歩党の頼清徳副総統が勝利を収めた。一方、14日午後には北朝鮮が再び日本海へ弾道ミサイルを発射しており、そこここで物議を醸していたようだ。
そうした状況下、ドル/円は寄り付いた144.90円レベルを週間安値にドルが堅調裡。前週高値146.41円を超えてもドルの上昇は止まらず、ついには148円台へ。途中、久しぶりに鈴木財務相から「口先介入」と思しき発言も聞かれたが効果は乏しく、週末には昨年11月28日以来となる高値148.80円を示現した。週末NYにかけては、利益確定売りなどに若干緩んだものの、それでも148円台をキープしての高値引けとなっている。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「米金融政策」と「台湾情勢」について。
前者は、16日にウォラーFRB理事が「年内の利下げは可能」としつつも、「急いで利下げを行う理由はない」「利下げは秩序立った慎重なペースで進めるべき」などと述べたことを市場は材料視。米国の早期利下げが遠のいたとの見方が強まるなか、翌17日に発表された12月の米小売売上高、そして同鉱工業生産という2つの指標が予想を上回り、早期の米利下げ観測はさらに後退した。為替市場においては、前述したような対円で148円台までドルが上昇した一因になっていたことは間違いない。さらに、その後も今年のFOMCにおける投票権を保有しているアトランタ連銀総裁から3月の利下げはないことを示唆した発言あり。「わたしの見通しは7-9月のどこかで最初の利下げを行うというもの」−−が聞かれ、こちらもドル高を支援していた感を否めない。
それに対して後者は、前述したように前週末13日に実施された台湾総統選で、与党・民主進歩党の頼清徳副総統が勝利を収めた。現在の蔡総統路線の継続が確実となり、日本や米国、英国など西側諸国を中心とした祝意が相次ぐ反面、中国はそれらにことごとく反発。中国外務省からは「台湾が中国の一部という事実は変わらない」「島内の主流の民意を代表できないことを示した」といった声明まで発表されている。また、18日には「中国軍が台湾周辺で大規模な軍事活動を再開させた」と報じられるなど、実効支配に向けた圧力強化の動きを強めているようで、今週以降も予断を許さない。
<< 今週の見通し >>
先週のドル/円は、高値151.92円を起点とした下げ幅のフィボナッチ61.8%戻し(147円半ば)を超えるなど、ドル高方向のテクニカルポイントを次々に上抜け。基本的なリスクがドル高方向に高いことは間違いなさそうだ。前記フィボナッチの76.4%戻しは149.15-20円で、これを超えるといよいよ150円台乗せが現実味を帯びてくる。しかし、一連の上昇の起点を昨年末安値140.26円だとすれば、上昇幅はすでに8円を大きく超えており、調整への警戒を抱く向きも決して少なくはない。
今週も発表される米経済指標や発言に要注意ながら、先で取り上げたように、米早期利下げシナリオが大きく後退していることは明らか。ドルを積極的には売りにくい環境だ。そうしたなか、日銀は今週22-23日に金融政策決定会合を行い、23日にその結果を公表する予定となっており、こちらが今週最大の注目材料に。とは言え、これまでの「大規模な緩和スタンス」を変化させると予想する向きはほとんどなく、日米金利差が縮小する可能性は極めて低いと見られている。また、つなぎ予算案の可決・成立で懸念されていた米政府機関閉鎖が解消したこと、中東における地政学リスクの高まりなども週間を通して引き続きドル買いに寄与しそうだ。
テクニカルに見た場合、ドル/円の基本的な方向性はドル高にバイアス。昨年11月以来、およそ2ヵ月ぶりの150円台乗せも否定できない。
しかし、気になるのはドル高の進行スピード。昨年末安値140.26円を起点に、大きな下押しもなく上昇幅はすでに8円を大きく超えていることは、いささかやり過ぎといった声も聞かれていた。先週も軽いジャブ的なものとして鈴木財務相から「口先介入」が発せられていたが、150円に接近あるいは突破となれば実弾介入を含めた警戒感はさらに強まりそう。たとえ一時的にせよ、調整的なドル安進行を警戒しておいて損はない気がしている。
そうしたなか今週は、10-12月期のGDP統計速報値や12月のPCEデフレーターといった米経済指標が発表されるうえ、米企業決算の公表も少なくない。しかし、やはり週間を通して注視されるのは日銀を中心とした各国中銀の金融政策発表か。ECBやカナダの発表についても一応注意しておきたい。
そんな今週のドル/円予想レンジは、146.00-150.50円。ドル高・円安については、目先は先週高値148.80円の攻防に注目。抜ければ150円も薄っすらとだが視界内に。
対してドル安・円高方向は、ここ1週間以上ドルは下値を連日切り上げる展開。それからすると、まずは先週末安値147.84円が最初のサポートか。前述した連鎖が途切れるようだと、ドル買いにも慎重さが必要になりそうだ。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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