ドル高調整警戒の声もジワリ高まる
〇ドル円、非常に緩やかな右肩下がりで148円を割り込み、そのまま安値圏で推移して欧米市場迎える
〇1/17米経済指標等の好調を受け、早期の日米金利差縮小観測がさらに後退、ドル高・円安要因に
〇リスクはドル高方向にバイアスだが、ドル高進行スピード早く、一時的な調整を懸念する声も
〇151.92を起点としたフィボナッチが76.4%戻し達成の場合、150円台乗せ、100%戻しの可能性も
〇本日は米12月住宅着工件数、1月フィラデルフィア連銀景況指数発表等に要注意
〇予想レンジは147.20-148.50、ドル高・円安方向は本日東京で下回ってきた148円レベルが最初の抵抗
〇ドル安・円高方向は、147円前後が非常に強いサポート
<< 東京市場の動き >>
東京市場はドルが小安い。下値は堅そうだが、それでも夕方に掛けてドルはじり安推移をたどっていた。
ドル/円は148.15円レベルで寄り付いたものの、概ね「寄り付き高・大引け安」の様相。非常に緩やかな右肩下がりで、148円を割り込み、日中安値である147.75円レベルまで一時値を下げていた。16時現在でも、ドルはそのまま安値圏で推移、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「米金融政策など」と「中東情勢」について。
前者は、前日発せられたウォラーFRB理事のコメント「急いで利下げを行う理由はない」の余韻が残るなか、17日に発表された12月の米小売売上高、そして同鉱工業生産が予想を上回り、早期の米利下げ観測はさらに後退。為替市場においては、ドルの続伸に寄与していた模様。対円では148円乗せ。なお、ブルームバーグも報じていたが、債券トレーダーのあいだでも3月の米利下げ期待が後退し、「3月までの米利下げ確率は50%に低下」していたという。
対して後者は、バイデン政権が「フーシ派をテロ組織に再指定」するとともに、厳しい制裁措置を加え圧力を強めることを明らかにした。しかし、当のフーシ派はそれに反発。同派報道官が、紅海でイスラエル関連と見なす船舶への攻撃を続ける方針を重ねて示すなど、徹底抗戦の構えを示したうえ、実際にアデン湾において「米国のばら積み運搬船をミサイルで攻撃し、ミサイルは同船を直撃した」との発表も別途聞かれていた。情勢はなかなか厳しく、和平への道のりも見いだせない。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は、あっという間に148円台へ。今週だけでもすでに3円超、直近安値である昨年末の140.26円を起点とすれば半月あまりで上げ幅は8円を超えてきた。上方向のテクニカルポイントを次々に上抜けており、リスクはドル高方向にバイアスがかかるものの、ドル高の進行スピードの速さもあり、一時的な調整を懸念する声もある。146円から146円半ばをメドにした下押しを予想する向きもある。
「早期の日米金利差縮小観測」はさらに後退し、為替市場におけるドル高・円安要因として寄与。このあとも来週の日銀会合やその後の米FOMCなどをにらみつつ、ドルの支援要因となりそうだ。また、懸念されていた今週末からの米政府機関閉鎖観測の後退や発表される米金融機関決算内容、中東における地政学リスクの高まりなどもドル買いに寄与しているようだ。ただ上昇が急ピッチであるため、反動が入れば下げも意外に早いといった指摘が聞かれていた。
テクニカルに見た場合、ドル/円相場は高値151.92円を起点としたフィボナッチでいうとすでに下げ幅の61.8%戻しも上抜けており、次のターゲットは76.4%戻しの149.15-20円。仮に同レベルを抜けると150円台乗せ、そして100%戻しも否定できなくなる。リスクは引き続きドル高方向に高いものの、一時的という意味では下押しの動きにも要注意。底堅いイメージだが、それでも147円を下回ると下げが加速しかねない。
本日は米経済指標として、12月の住宅着工件数や1月のフィラデルフィア連銀景況指数などが発表される。先で指摘したように、昨日そして一昨日と連日で発表された米経済指標が相場の波乱要因となっただけに、本日も予断を許さない。また開催中のダボス会議出席者など、各国要人による発言にも引き続き要注意だ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは147.20-148.50円。ドル高・円安方向は本日東京で下回ってきた148円レベルが最初の抵抗。抜ければ昨日高値148.53円を目指す。
対するドル安・円高方向は、147円前後が非常に強いサポート。その手前147円半ばもサポートとして育ちつつあるが、果たして攻防は如何に。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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