23年の最終営業日、リスクは依然ドル安か
〇ドル円、141円台半ばでの往来相場
〇昨日140.26まで下落するも140円割れは回避、サポートの140.70を一時下回り、地合い悪化
〇日米欧の金融政策をめぐり思惑が交錯、リスクはドル安方向だが、戻り始めれば反発の速度も速そう
〇本日140円割れを免れても、新年早々思わぬレベルまで円高が進行する可能性あり要注意
〇欧米時間のドル円予想レンジは140.50-141.70
<< 東京市場の動き >>
29日の東京市場はレンジ取引。141円半ば挟みの一進一退で方向性も乏しかった。
ドル/円は、141.40円レベルで寄り付いたものの、動意乏しく往来相場。141円半ば挟み、40ポイント強の値動きにとどまっている。週末、月末、年末ということで需給要因を警戒する声も当初は聞かれていたが、結局不発だった。16時現在、ドル/円は141.20-25円で推移し、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「ウクライナ情勢」と「北朝鮮情勢」について。
前者は、ロシアによるウクライナ侵攻が長期化の様相を呈するなか、ここ最近はウクライナ不利ともいえる報道などが目に付くようになってきた。たとえば昨日は、ウクライナ財政は2024年早々に「極めて高い不確実性」に直面するとして、シュミハリ首相が国際社会に警鐘を鳴らしたと伝えられているうえ、ポリティコは「米欧の当局者が、ロシアに侵攻されるウクライナの全領土奪還を支援する方針の見直しを検討している」と報じていた。西側諸国に支援疲れが広がりつつある感もあるが、一方でロシアによる影響力工作を疑う声も少なくない。
対して後者は、韓国情報機関が「北朝鮮、来年の早い時期に軍事的挑発に出る可能性が高い」との分析を示したとして一部で話題に。確かに、27日には党中央委員会拡大総会で金総書記が「戦争準備の完成」に向けた課題を示しており、来年4月の韓国総選挙などをにらみ挑発的な行動も否定できないようだ。一方、前述した党中央委員会拡大総会はまだ開催が続いており、3日目の会議では金総書記が軽工業分野の課題を報告したほか、人事問題が議題となったと伝えられている。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は、じりじりとしたドル安が進行している。昨日ドルは140.26円まで下落したものの、140円割れはなんとか回避。2023年最終営業日の本日、ドルは底堅く推移すると予想していたのだが、わからなくなってきた。昨日もレポートしたように、7月安値137.25円を起点とした上げ幅のフィボナッチでは140.70円が76.4%戻しにあたり、それを一時的とはいえ下回ってきたことで140円割れもすでに視界内に。
市場は来年の日米欧による金融政策をめぐり、様々な思惑が交錯。昨日欧米時間には発表された冴えない経済指標を受け、早期の米利下げ観測が再燃していたようだ。いずれにしても、足もとは典型的な年末年始相場をたどるなか、基本的なリスクはドル安方向か。仮に本日140円割れを免れても、新年早々思わぬレベルまで円高が進行する展開などは否定できない。2019年1月3日のフラッシュクラッシュはいまでも記憶に新しいところで、油断は禁物か。
テクニカルに見た場合、昨日のドル/円相場はテクニカルポイントである140.70円を下回り、一時140.26円まで下落。いよいよ140円割れが現実味を帯びてきた。昨日下値を割り込めば140円割れも否定できないだろう。
それに対するドルの抵抗は、取り敢えず昨日高値の141.69円。年末らしく商いも薄いだけに一旦動き始めると戻りも早そう。
本日は米経済指標として、12月のシカゴ購買部協会景気指数が発表される予定となっている。昨日も発表された冴えない経済指標を受け、早期の米利下げ観測が再燃。一時ドル売りに繋がっていただけに本日も予断を許さない。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは140.50-141.70円。ドル高・円安方向は本日高値近い昨日高値の141.69円が最初の抵抗。ただ戻り始めれば反発の速度も早そうで、それ以上の戻りも否定できない。
対するドル安・円高方向は、心理的な意味も含めて141円レベルが目先のサポート。それらを下回ると少し遠いが昨日安値140.26円も視界内に。
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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