ドルに続落リスク、月末需給要因にも要注意
〇本日ドル円、上値重く下値も堅い展開、146.85-147.25の狭いレンジ取引に終始
〇市場の関心は日米欧の金融政策会合に高いが、ここ数日は米金融政策をめぐり一喜一憂する展開
〇テクニカルには、90日移動平均線をしっかり下回ってきており、基本的なリスクはドル安方向
〇本日は米10月PCEデフレーター、新規失業保険申請件数等発表予定、データが良好な場合ドル買いに注意
〇予想レンジは146.40-147.70、ドル高・円安方向は一目の雲の下限をめぐる攻防に注目
〇ドル安・円高方向は、146.67が最初の下値メド、割り込むとフィボナッチポイントの146.30-35目指す
<< 東京市場の動き >>
30日の東京市場はレンジ取引。147円挟みの一進一退で、明確な方向性も乏しかった。
ドル/円は寄り付いた147.25円レベルが日中高値となり、上値は重い展開。しかし、下値も堅く146.85円前後までと限られた。つまり、146.85-147.25円といった40ポイントほどのレンジ取引に終始している。そうしたなか、中村日銀審議委員から「大規模な金融緩和策の修正にはもう少し時間がかかる」と発言が聞かれていたものの、具体的な影響は限られた。16時現在では146.90-95円で推移し、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「米金融政策など」と「ロシア情勢」について。
前者は、発表された7-9月期の実質米GDPは予想を上回る結果となり、ドルの支援要因に。それを受けてか、リッチモンド連銀総裁やアトランタ連銀総裁から根強いインフレについての懸念発言が聞かれ、前日のウォラーFRB理事発言を受けて急台頭していた「米利下げ観測」が幾分後退したようだ。しかし、そののち10年や30年といった長期を中心に米金利が低下したことが嫌気され、ドルは結果的に対円などで売りが先行している。
対して後者は、タス通信が報じた「ロシア内務省が入国する外国人にロシアへの忠誠を求める法案をまとめた」との内容が物議を醸す。そうしたなかペスコフ報道官から、フィンランドがロシアとの国境に軍隊を「集中」させる決定をすれば、ロシアはそれを脅威とみなすだろうとの発言が聞かれていた。一方、化学兵器禁止機関(OPCW)が、来年の執行理事会を構成する21ヵ国を選出し、ロシアが1997年の設立以来、初めて落選したと発表。それについて、ゼレンスキー大統領は「結果を高く評価」とした考えをSNSで発表している。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は依然として下げ止まった感がなく、昨日NY時間には一時146.67円まで下落している。リスクはドル安方向に高く、続落にも要注意だ。昨日レポートしたようにフィボナッチで見た場合、7月安値137.25円を起点とした上昇に対する38.2%押しは146.30-35円となり、まずはその攻防が注視されている。割り込めば145円台突入も否定できない。
市場の関心は依然として日米欧の金融政策会合に高いなか、ここ数日は米金融政策をめぐり一喜一憂する展開。発表される米経済指標や通貨当局発言などについて、連日のように思惑が交錯するというなかなか悩ましい値動きと言えよう。なお、本日は上記材料ももちろん要注意だが、月末ゴトー日ということでロンドン・フィキシングをはじめとする需給要因への警戒感も強い。思わぬ価格変動に対するリスクヘッジなど、ポジション管理はいつも以上にしっかりしておきたいところだ。
テクニカルに見た場合、ドル/円相場は続落したことにより、前日には下回ったか否か微妙だった移動平均の90日線を「しっかり」と下回ってきた。もちろん本稿執筆時、30日の東京夕方段階でも下回ったままだ。一方、一目均衡表では先行帯の雲の下限(147.30-40円)も現段階ではわずかに割り込んでいるものの、こちらはまだ完全に割り込んだとは言えそうにない。
とは言え、基本的なリスクはドル安方向で、少なくともドルの上値がかなり重いことは間違いないだろう。
本日は米経済指標として、10月のPCEデフレーターや週間ベースの新規失業保険申請件数などが発表される予定となっている。昨日は良好な米指標がドル買いに寄与していただけに、本日も同様の展開などには要注意だ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは146.40-147.70円。ドル高・円安方向は現在割り込んでいる一目の雲の下限をめぐる攻防に注目。上抜けると90日線がターゲットとなりそうだ。
対するドル安・円高方向は、昨日安値に当たる146.67円が最初の下値メドか。割り込むとフィボナッチポイントの146.30-35円を目指す。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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