円全面安、ドル/円は昨年高値も視界内に
〇東京時間のドル円、10月末高値151.72を超え151.80レベルまで上伸
〇日本当局の円買い警戒感は根強いが、金利差による円売り安心感強く、リスクは引き続き上向き
〇クロス円への介入警戒感は少なく、ドル円ではなくクロス円主導で円安が進む可能性も
〇ドル高・円安方向は東京高値151.80レベルや151.94などが最初の抵抗
〇ドル安・円高方向は、東京安値151.45レベルと先週末安値151.22にまずは注目
〇欧米時間のドル円予想レンジは151.10-152.00
<< 東京市場の動き >>
週明け13日の東京市場はドルが続伸。10月末に記録した年初来高値を更新する局面も観測されていた。また、ユーロ/円は一時162円台に。
先週末は、ジョンソン米下院議長が新たなつなぎ予算案を提示したとして話題に。ただ反対論も根強く、成立するか否かは微妙なところとされていた。一方、15日に実施される米中首脳会談などに関する報道も複数観測され、思惑を呼んでいたもよう。
そうした状況下、ドル/円は151円半ばで寄り付いたのち、日中安値の151.45円レベルを示現。しかし、以降は非常に緩やかな右肩上がり。夕方にかけて10月末高値151.72円を超えると、151.80円レベルまで上伸する局面も観測されていた。16時現在、ドル/円はそのまま高値圏をキープし、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「米中関係」と「ウクライナ情勢」について。
前者は、米財務省はイエレン財務長官が9-10日に、サンフランシスコで中国の何副首相と会談し、経済・金融安定・規制などをめぐる問題について「意思疎通を強化」し、協力していくことで合意したと発表した。しかし、中国側からの発表では、「何副首相が半導体の対中輸出規制などに対する懸念を表明し、見直しの具体的行動を求めた」とされている。
一方、15日に予定されている米中首脳会談について香港紙が「ドローンなどAI判断の自律型兵器禁止で合意か」と報じるなか、米国のサリバン補佐官からは「国防当局間の対話を再構築したいと考えている。これは最重要課題だ」とのコメントが聞かれていた。
対して後者は、ウクライナメディアが「同国軍がロシア占領下のハルキウ州の村を奪還」と報じたものの、反面で「EUはウクライナへの弾薬100万発供給は困難との認識」、ゼレンスキー氏「ロシアによる新たなインフラ攻撃を警戒」、キーウ高官から「ロシアが2ヵ月ぶりにミサイル攻撃を仕掛けた」などとする発言が相次ぐ。ウクライナ有利などとあまり楽観視できない状況かもしれない。
<< 欧米市場の見通し >>
10月末に高値151.72円を示現後、149.18円まで下押しが入ったドル/円だが、前述したように本日東京で151.80円レベルを記録した。チャートを見ると綺麗なVの字型の回復、いわゆる「行って来い」の相場展開だ。日本当局の円買い警戒感が根強いことは改めて指摘するまでもないが、リスクは引き続き上向きか。昨年高値151.94円、あるいは152円台乗せも現実的なターゲットとして意識されていることは間違いない。
12月の日米欧の金融政策会合をにらみつつ、市場では日米などの金利差を背景にした円売り安心感が非常に強い。それも、ドル/円は依然として日本当局の円買い介入警戒が強く意識されるが、ユーロ/円をはじめとするクロス円はそれほどでもない。よって、それからするとドル/円ではなくクロス主導でさらなる円安が進むといった声も聞かれている。さすがに一朝一夕に到達するとは思わないが、ユーロ/円は2008年高値の169.97円も中長期ターゲットとして少しずつ意識され始めているようだ。
テクニカルに見た場合、ドル/円相場はついに年初来高値を更新。そしてさらなる上値トライが予想される足形だ。円買い介入警戒感も強いなか、昨年高値151.94円を超え152円台に乗せられるか否かがまずは注目されよう。
一方、ドルがあまり大きく崩れる展開は予想しにくいのだが、先週からの値動きを見ると連日下値を少しずつ切り上げてきているだけに、それが崩れるようだと少し注意する必要があるかもしれない。そうした意味からは先週末のドル安値151.22円の攻防にまず注目だ。
本日はとくに目立った米経済指標の発表は予定されていない。しかし、APEC財務相会議が前日に続き実施されることで、参加した要人による発言などには注意が必要かもしれない。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは151.10-152.00円。ドル高・円安方向は東京高値の151.80円レベルや151.94円などが最初の抵抗。152円は近くて遠いイメージもあるが果たして。
対するドル安・円高方向は、東京安値である151.45円レベルそして先週末安値151.22円にまずは注目だ。ただし、下回っても取り敢えずは底堅そう。円買いの実弾介入出動などがなければ、大崩れは予想しにくい。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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