ドル高基調は継続、年初来高値更新も!?(週報11月第2週)

先週のドル/円相場はドルが逆行高。週足は2週続いた陰線から一転、実体部だけで2円を超える陽線で基調の強さをうかがわせる足形になった。

ドル高基調は継続、年初来高値更新も!?(週報11月第2週)

ドル高基調は継続、年初来高値更新も!?

〇先週のドル円、週末にかけて緩やかな右肩上がり、週間高値は151.60
〇日銀低金利政策の維持表明で週間を通し円売り安心感強い、ユーロ円は160円超え
〇FRB議長の利上げ強気スタンス維持がドル買いに繋がる
〇リスクは再びドル高方向、今週内に年初来高値151.72更新の可能性ある一方、円買い実弾介入にも注意
〇今週は米インフレ指標等の内容次第でさらなるドル買いも、その他要人発言や首脳会談に要注意
〇ドル円予想レンジは149.50-152.50、ドル高・円安は先週高値151.60ならびに151.72が最初の抵抗
〇ドル安・円高方向は150.70レベルがなかなか強いサポートか、基本的にドルは底堅い雰囲気

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが逆行高。週足は2週続いた陰線から一転、実体部だけで2円を超える陽線で基調の強さをうかがわせる足形になった。

前週末は、ロシア国防省が最新原潜から極東カムチャツカ半島に向けた潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験を実施し成功させたと発表し話題に。一方、中国首相は開催した「輸入博」で対外開放をアピールしていたようだ。
そうした状況下、ドル/円は149.30円レベルで寄り付いたのち、週間安値の149.28円を示現。以降、週末にかけて緩やかな右肩上がりで、さながら「週初安・週末高」の様相だった。途中、日本当局からの円買い介入警戒感も根強い151円を超え、週間高値の151.60円へ。週末NYは、10月末に示現した年初来高値151.72円を視界内に捉えた151円半ばの週間高値圏で取引を終え、越週している。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「日米金融政策」と「中国情勢」について。
前者は、市場筋が早くも12月に実施される日米の金融政策会合に関心を移行させるなか、植田日銀総裁が「賃金上昇をともなう物価高はまだ弱い」などとしたうえで、低金利政策の維持を改めて表明。それもあり、週間を通して円売り安心感が強く、ドル/円もさることながらクロス円、とくにユーロ/円が160円を超え、2008年8月以来の高値圏へと達する原動力になっていた感もある。それに対して米国は、パウエルFRB議長が参加した討論会で「インフレ率は低下したが、依然として目標の2%を大きく上回っている」、「さらなる政策引き締めが適切となった場合は躊躇しない」−−などと述べ、強気スタンス維持を示したことがドル買いに繋がっていた。

対して後者は、週間を通して様々な関連材料があったなか、とくに関心を集めていたのは積極的な外交姿勢。たとえば習国家主席が、訪中している豪州のアルバニージー首相と北京で会談し、緊張状態から脱却に取り組む用意を明らかにしたと伝えられている。また、それに続きイエレン米財務長官が中国の何副首相と会談を実施したほか、日中も16日を軸に開催が検討されている岸田首相と習主席による日中首脳会談の事前協議が、秋葉国家安全保障局長と王外相のあいだで実施されたことが正式発表されていた。なお、その前日にあたる15日には米中首脳会談が開催されることで合意した、と週末にホワイトハウスなどから別途発表されていたようだ。

<< 今週の見通し >>

ドル/円相場は前週、151円超えを記録する動きのなか、神田財務官から「為替介入スタンバイ」発言が聞かれたこともあり、当初は上げ渋るも最終的に151.60円まで値を上げるなど、下げ幅のほぼ全戻しを達成している。週足も実体部だけで2円を超える長さの陽線で、しかも形状は基調の強さを示す「丸坊主」に近い形状だ。リスクは再びドル高方向に高いと考えられ、週内に151.72円の年初来高値を更新する局面があっても不思議はない。ただ、そうしたなか、日本の通貨当局が1年ぶりとなる円買い実弾介入に動く可能性もあり、そちらにも注意を要したい。

12月の日米欧の金融政策会合をにらみつつ、市場ではすでに様々な思惑が交錯している。米国については利上げ打ち止め見通しも取り沙汰されるが、先でも取り上げたように逆にパウエルFRB議長は非常に強気だ。今週発表が予定されている米消費者物価指数などのインフレ指標の内容如何ではドルがさらに買い進まれることもありそう。思惑が交錯するなか、発表される米経済指標や発言などに一喜一憂する展開か。なお、それとは別に週末に再び米つなぎ予算案の期限を迎えることから、米政府機関の閉鎖などと合わせ、米議会の動きにも目を配っておきたいところだ。

テクニカルに見た場合、ドル/円は今週も基本的なドル高は継続か。年初来高値を更新し、152円台に乗せてくる展開を見込む向きも少なくない。
そうした様相に変化が生じるとすれば、移動平均の21日線をしっかりと下回ったとき。先週なども一時的に下回ってNYが大引けたこともあったが、続かず結局ダマシに終わった。少なくともNYクローズで2日続けて下回る、といった展開をたどれば要注意で思いのほか深い押しが入る可能性もある。

材料的に見た場合、中長期的には中国副首相が米財務長官に「輸出規制見直しを要求した」と報じられている「中国情勢」。北朝鮮外務省が米国務長官からのロシアを関係めぐる発言を非難し、今後も関係を強化すると表明していた「ロシア・ウクライナ情勢」、「北朝鮮情勢」−−などに注目。
そうしたなか今週も、10月の消費者物価指数や同小売売上高などの米経済指標が発表されるほか、欧米要人の発言機会も数多く予定されている。またAPEC首脳会議を始め、重要な国際会議も幾つか実施される見込みで、そちらも一応要注意。

そんな今週のドル/円予想レンジは、149.50-152.50円。ドル高・円安については、先週高値ならびに151.72円が最初の抵抗。超えれば、円買い介入警戒感強いなかだが152円台乗せが見えてくる。
対してドル安・円高方向は、150.70円レベルがなかなか強いサポートか。割り込むと週間を通して150.30円前後で推移しそうな移動平均の21日線がターゲットとなる。基本的にドルは底堅い雰囲気だ。

ドル高基調は継続、年初来高値更新も!?

ドル円日足


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