ドル円 152円台乗せ後に介入か(週報11月第2週)

先週のドル円は週を通して一貫したドル買い・円売りの動きとなりました。

ドル円 152円台乗せ後に介入か(週報11月第2週)

152円台乗せ後に介入か

〇FRB関係者らのタカ派的発言、また介入警戒感が薄れたことで改めてドル買いが強まる
〇ゆっくりした動きでも昨年高値をトライする流れになれば、介入の可能性一気に高まるか
〇一度は152円台に乗せ、そこから介入で下げるという展開を想定
〇今週は12月FOMCに向けて米国CPI、PPI、FRB関係者の講演等の予定
〇149.00レベルをサポートに152.50レベルをレジスタンスとする流れを見る

今週の週間見通し

先週のドル円は月末(前週火曜)に発表された介入金額ゼロの後は150円は介入水準では無かったという見方が広がったこと、またFRB関係者の発言が軒並みタカ派となり、必要であれば追加利上げも視野に入れているというパウエル議長発言もあり、週を通して一貫したドル買い・円売りの動きとなりました。

これまでもイベントが終わり落ち着いてくると日米金利差に着目したドル買いが湧いてくるという印象でしたが、今回も介入警戒感が薄れたことで改めてドル買いが強まった週になったと言えます。

これまでも財務相は水準よりも変動を注視しているとの発言をしていましたが、直近でややトーンが強かったのは1日の神田財務官によるスタンバイ発言です。昨年はこの単語が出て直後に実弾介入が入りましたが、今回はその後も静かなまま、市場参加者を油断させておいて引き付けて介入実施ということを考えているかもしれません。

しかし先週の動きを見てもじりじりとした動きで急激な変動ということは一度もありませんでしたから、変動ということを考えると介入が出ないのではと考えられます。いっぽうで1日の発言につながった10月31日の年初来高値が151.74レベルでしたから、年初来高値更新は必至、昨年高値151.94レベルをトライするのも時間の問題です。ゆっくりした動きであっても昨年高値をトライする流れになれば介入が出てくる可能性は一気に高まりそうです。

個人的な見方ですが昨年高値を更新し152円台に乗せても介入が出ないぞと思わせておいて、152円台前半なのか半ばなのか介入が出て2、3円振り落とされるという動きが今週にも見られるのではないかと考えています。材料としては米国CPI、PPI、FRB関係者の講演と今週は12月のFOMCに向けて重要な材料と発言が出てきますので、仮に予想よりも弱く米金利低下とドル売りという動きとなると、上述した展開は来週以降に持ち越しというところでしょう。

テクニカルには日足チャートをご覧ください。

先週引き直した青の平行チャンネル内での動きを先週は続け、一度だけサポートラインをトライしたものの抜けませんでした。今週も引き続きこのチャンネル内で緩やかな上昇トレンドを継続すると見てよいでしょう。米国CPI次第でいったん上げ止まる流れもあり得ることはあるでしょうが、それでもFRB関係者の発言はタカ派というほうがありそうなシナリオですから、一度は152円台に乗せ、そこから介入で下げるという展開を想定し、今週は149.00レベルをサポートに152.50レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

152円台乗せ後に介入か

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2023年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、フィラデルフィア、ダラス、ミネアポリス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

11月13日(月)
**:** シンガポール市場休場
17:15 デギンドスECB副総裁講演 ☆

11月14日(火)
08:30 豪州11月消費者信頼感
09:30 豪州10月企業景況感
16:00 英国10月失業率
17:00 レーンECB理事講演 ☆
18:30 南ア7〜9月期失業率
19:00 ユーロ圏7〜9月期GDP改定値 ☆
19:00 ドイツ11月ZEW景況感
19:00 ユーロ圏11月ZEW景況感
22:30 米国10月CPI ☆
26:45 シカゴ連銀総裁講演 ☆

11月15日(水)
08:50 本邦7〜9月期GDP速報値 ☆
11:00 中国10月鉱工業生産、小売売上高
16:00 英国10月CPI ☆
16:45 フランス10月CPI
19:00 ユーロ圏9月鉱工業生産、貿易収支
20:00 南ア9月小売売上高
22:30 米国10月PPI ☆、小売売上高
22:30 米国11月NY連銀製造業景況指数 ☆
24:00 米国9月企業在庫
24:30 週間原油在庫統計
**:** APECサミット(〜17日)

11月16日(木)
08:50 本邦10月貿易収支(通関)
09:30 豪州10月失業率
20:30 ラガルドECB総裁講演 ☆
20:45 オランダ中銀総裁講演
21:10 スペイン中銀総裁講演
22:30 米国11月フィラデルフィア連銀製造業景況指数 ☆
22:30 米国新規失業保険申請数
22:30 米国10月輸入物価
22:30 (クリーブランド連銀総裁講演)
23:15 米国10月鉱工業生産、設備稼働率
23:25 NY連銀総裁講演 ☆
24:00 米国11月NAHB住宅指数 ☆
24:35 バーFRB副議長講演 ☆
30:45 NZ7〜9月期PPI

11月17日(金)
16:00 英国10月小売売上高
17:00 フランス中銀総裁講演 ☆
17:30 ラガルドECB総裁講演 ☆
18:00 オーストリア中銀総裁講演
19:00 ユーロ圏10月CPI
22:00 ドイツ連銀総裁講演 ☆
22:15 ベルギー中銀総裁講演
22:30 米国10月住宅着工・建設許可
22:45 (ボストン連銀総裁講演)
23:45 シカゴ連銀総裁講演 ☆
24:00 (サンフランシスコ連銀総裁講演)
24:00 チポローネECB理事講演 ☆

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時−NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

11月6日(月)
週明けのドル円は金曜雇用統計後に149円台前半で底固めした動きを受け、ドル買い戻しが先行しました。その後もドル買いが続く中、NY市場では米金利も上昇したことで引けにかけて150.08レベルを付け高値引けとなりました。

11月7日(火)
ドル円は前日の流れを継続しNY市場までドル買いの動きとなり、NY朝方にはFRB関係者のタカ派発言も重なって一時150.69レベルの高値をつけました。いっぽうで米金利はそれまでも下げていましたが、発言後も下げ続けていたことから利食いのドル売りも出て150.31レベルへとやや押して引けました。

11月8日(水)
ドル円は着実に円安が進み、一日を通して押しらしい押しも入らず、NY後場には151円台に乗せ、高値圏での引けとなりました。

11月9日(木)
ドル円は前日に続いて多少の上下を挟みつつもドル高の動きが続きました。クロス円も底固いことから円独歩安という動きでした。介入警戒感も薄れていく中で日米金利差を考えるとドル買いでしか動けないといういつもの流れに戻ってきました。FRB関係者のタカ派発言が続き、パウエル議長も必要ならば追加利上げといった発言をしたことで、米金利が上昇、引けにかけて151.39レベルまで上昇し高値引けとなりました。

11月10日(金)
金曜のドル円は久しぶりに静かな値動きで一日のレンジは38銭に留まりました。しかし底堅さは変わらずNY後場には151.60レベルと週間高値を更新し、そのまま高値圏での引けとなりました。

注:ポイント要約は編集部

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