トルコリラ円見通し 円安で持ち直すが対ドルでの最安値更新続く(23/11/13)

トルコリラ円の11月10日は概ね5.32円から5.25円の取引レンジ、11日早朝の終値は5.30円で前日終値と変わらなかった。

トルコリラ円見通し 円安で持ち直すが対ドルでの最安値更新続く(23/11/13)

円安で持ち直すが対ドルでの最安値更新続く

〇トルコ円、11/10は概ね5.32から5.25の取引レンジ、週間では11/3終値5.26から0.04の円安リラ高
〇対ドル、8月最終週から11週連続のドル高リラ安。11/11早朝終値は28.53リラで最安値更新
〇9月鉱工業生産、ハイテク部門が大幅に伸び全体を支えたが高成長期に入る兆しはまだ見えず
〇本日9月経常収支発表予定。観光収入増や貿易赤字縮小でプラス見込まれるも10月以降は赤字に向かうか
〇5.32超えからは上昇継続とみて5.34から5.35にかけての水準を試す上昇を想定
〇5.28割れを弱気転換注意とし、5.27割れからは下落期入りとして5.25、5.23を順次試す下落を想定

【概況】

トルコリラ円の11月10日は概ね5.32円から5.25円の取引レンジ、11日早朝の終値は5.30円で前日終値と変わらなかった。週間では11月3日終値5.26円から0.04円の円安リラ高だった。
対ドルでトルコリラは11月10日も史上最安値を更新してドル高リラ安基調は継続しているものの、ドル円の変動率が勝っているためにトルコリラ円は短期的にはドル円の騰落を概ね追いかけている。

ドル円は11月11日未明に151.60円へ上昇して11月1日未明に付けた年初来高値151.71円に迫っている。日銀会合や米FOMC等を通過して乱高下となり、10月30日深夜安値148.80円から11月1日未明高値151.71円へ急伸してから11月3日夜安値149.20円まで下げたが、10月30日安値割れを回避して持ち直した。先週は米FRB高官らが追加利上げ余地への言及を繰り返したことで米長期債利回りの低下に歯止めがかかってドル円も上昇した。

151円台後半に対する市場介入への警戒感からいったん仕切り直しの下落に転じる可能性があるものの、市場介入がないようなら152円台へ到達する可能性もあるところと思われる。

トルコリラ円は日銀会合やFOMC等を挟んだドル円の乱高下により、10月31日午前安値5.23円から11月1日未明高値5.36円へ急伸してから11月6日朝安値5.21円へ下落したが、先週はドル円の連騰に合わせて上昇し、10日早朝に5.36円へ高値を伸ばしたところでドル/トルコリラの一時的急落を反映して5.25円まで反落したが、早々に買い戻されて11日早朝に5.30円まで切り返した。
ドル/トルコリラが一時的に急落して史上最安値を更新する際に、トルコリラ円も飛び値で安値を付けるものの早々に切り返すパターンが繰り返されており、基調転換には連続的な下落や上昇による確認が必要だ。

【対ドルでは11週連続のリラ安】

ドル/トルコリラの11月10日は概ね28.73リラから28.33リラの取引レンジ、11日早朝の終値は28.53リラで前日終値の28.41リラからは0.12リラのドル高リラ安だった。
先週末の11月3日終値28.38リラからは0.15リラのドル高リラ安、週間ベースでは8月最終週から11週連続のドル高リラ安だった。
8月24日のトルコ中銀による7.5%利上げをサプライズとして一時的にリラが急伸したものの8月25日からドル高リラ安がぶり返し、9月22日への下落で8月24日の急伸幅を解消して史上最安値を更新してからも連日のように最安値更新を繰り返してきた。
先週は11月7日に28.64リラへ取引時間中の最安値を更新してから8日と9日は最安値更新に至らなかったものの、11月10日午前には28.73リラを付けて最安値を更新した。終値ベースでは10月23日から11月3日まで10営業日連続で史上最安値を更新してから下げ渋ったものの、11月10日は11月7日終値28.45リラを超えて最安値を更新した。

【トルコ鉱工業生産と失業率は改善傾向】

11月10日に発表されたトルコの9月鉱工業生産は前月比0.1%減と低調だったが8月の0.8%減からは改善し、前年同月比は8月の3.1%から4.0%へ上昇した。ハイテク部門が前月比20.1%増、前年同月比50.1%増と大幅に伸びたことが全体を支えたが、ローテク部門やエネルギー関連、電気ガス等は低調だった。
前月比は2021年以降、ゼロ%を中心に概ね上下6%のブレを持ちながらプラス圏とマイナス圏を行き来しており、ここ3か月はマイナスが続き、年初からの9か月間で5か月がマイナスとなっている。前年同月比はここ5か月プラスを維持しているが、前年同期が弱かったことに対するベース効果と思われる。いずれにしても高成長期に入る兆しがまだ見えない状況だ。

9月のトルコ失業率は9.1%で8月の9.2%から改善した。2022年12月の10.3%をピークとして改善傾向にあり、6月の9.6%からは3か月連続で低下しているが、依然として9%を上回っている。男性は7.5%だが女性は12.3%。15歳から24歳までの若年層失業率は16.7%(8月は16.9%)。

不定期雇用や潜在労働力との対比から算出される複合失業率は21.8%とされている。

今週は11月13日の9月経常収支が注目される。観光収入増や貿易赤字の縮小でプラスが見込まれており、今年1月に1050.9億ドルの赤字で過去最悪となってからはやや改善の兆しもみられるが、観光収入がピークアウトすれば貿易赤字がそのまま反映されるために10月以降は赤字状態に向かうのではないかと思われる。
11月15日には10月の財政収支発表がある。7月の増税ラッシュで7月と8月はプラスだったが9月は再び大幅赤字となっており、10月は9月を下回るものの赤字の継続となる見込みだ。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円はドル円の上昇に支えられて戻すものの、中勢としては8月24日高値以降を右肩下がりの展開で推移しており、ドル円による支えが効かない場合や円高とリラ安が重なる局面で安値を切り下げて徐々に史上最安値へ迫ってきている印象だ。短期的にはドル円が152円突破から一段高へ進めば上昇規模も大きくなると思われるが、ドル円が152円手前で反落すれば11月6日からの戻り幅を吐き出して一段安しかねないところだ。

概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、11月9日早朝高値をサイクルトップとして高値更新からは新たな強気サイクル入りとし、11月10日早朝へ一段高して新たな強気サイクル入りしたものの10日午前に5.27円まで反落したためにすでにサイクルトップを付けて新たな弱気サイクル入りしている可能性があるとした。
11月10日午後に5.25円まで一段安したもののその後の反騰で5.32円へ迫ったため、11月6日午前安値から4日半となる11月10日午後安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りと改める。トップ形成期は15日早朝から17日早朝にかけての間と想定するが、5.27円割れからは弱気サイクル入りとして15日午後から17日午後にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では11月10日午後安値からの反騰で遅行スパンが好転して先行スパンを上抜いているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、連続的な下落で先行スパンから転落する場合は下落再開を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は11月11日早朝への上昇で50ポイント台を回復しているが、11月9日早朝から10日早朝にかけての一段高に際しては指数のピークが切りさがっており、11月10日早朝高値を超える場合にも指数のピークが切り下がる場合は11月6日からの上昇が途切れる可能性があると注意する。45ポイントを上回るうちは上昇余地ありとし、60ポイント超えからは60ポイント台後半を目指す上昇を想定するが、45ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント前後を試す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.28円を下値支持線、5.32円を上値抵抗線とする。
(2)5.32円超えからは上昇継続とみて5.34円から5.35円にかけての水準を試す上昇を想定する。5.35円以上は反落警戒とするが、5.29円を上回っての推移なら14日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)5.28円割れを弱気転換注意とし、5.27円割れからは下落期入りとして5.25円、5.23円を順次試す下落を想定する。5.24円以下は反騰注意とするが、5.27円を割り込んだ後も5.28円以下での推移なら14日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

11月13日
 16:00 9月 経常収支 (8月 ‐6.19億ドル、予想 13.7億ドル)
 16:00 9月 小売売上高 前月比 (8月 -4.7%)
 16:00 9月 小売売上高 前年同月比 (8月 17.2%)
11月15日
 17:00 10月 財政収支 (9月 -1292億リラ)
11月16日
 20:30 週次 外貨準備高 11月10日時点 グロス (11月3日時点 839.4億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 11月10日時点 ネット (11月3日時点 247.4億ドル)
11月17日
 16:00 11月 トルコ中銀ビジネスサーベイ(年末CPI等の予想)
11月20日
 23:30 10月 中央政府債務 (9月 6兆700億リラ)
11月22日
 16:00 11月 消費者信頼感指数 (10月 74.6)
11月23日
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 35.0%)


注:ポイント要約は編集部

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