ドル高基調に変化の兆しも、動静要注意(週報11月第1週)

先週のドル/円相場は、最終的にドルが小安い。週のザラ場ベースでは一時151.72円まで上昇したものの、勢いは続かなかった。

ドル高基調に変化の兆しも、動静要注意(週報11月第1週)

ドル高基調に変化の兆しも、動静要注意

〇先週のドル円、一時151.72まで上昇するも勢い続かず
〇週末の米雇用統計が予想比悪化で急落、再び150円を割り込み149.40レベルで越週
〇FOMC「金利据え置き」予想通りながら、12月会合の利上げ見通しややトーンダウン
〇週足チャート2週続けての陰線引け、目先高値からも3円程度下落しておりドル安進行に要注意
〇今週のドル円予想レンジは、148.00-151.00。ドル安・円高方向、先週安値148.80めぐる攻防に注目か
〇ドル高・円安方向は、先週下回ってきた21日線が最初の抵抗。超えれば150.50や151円ターゲット

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、最終的にドルが小安い。週のザラ場ベースでは一時151.72円まで上昇したものの、勢いは続かなかった。

前週末は、訪米した中国の王外相がバイデン米大統領らと会談。11月の米中首脳会談実現へ協力で合意したと伝えられている。一方、イスラエル軍はパレスチナ自治区ガザへの地上作戦を展開、それを受け「戦争は第2段階に入った」と同国首相が表明していた。
そうした状況下、ドル/円は149.60円レベルで寄り付いたのち、週間安値の148.81円を示現。しかし、以降はドルの逆行高で先月高値150.77円を超えると、151.72円まで一時値を上げている。ドルは昨年高値151.94円も視界内に捉えられるなか、神田財務官など本邦要人から口先介入が相次いだうえ、週末に発表された米雇用統計が予想よりも悪化したことに失望。ドルは急落をたどると、さながら「行って来い」で再び150円を割り込むと、週末NYは149.40円レベルで取引を終えている。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「日本の通貨政策」と「日米金融政策」について。
前者は、ある意味先週もっとも注視されていたと言ってもよい日本の「為替介入実績(外国為替平衡操作の実施状況)」が10月31日に発表されたが、そのなかで同月3日に観測された怪しい動きが円買い介入でなかったことが明らかになった。それが材料視されると、前述したドル/円が高値151.72円までドル高の進行する原動力になっていたことは間違いない。しかし、そののち本邦要人から口先介入が相次ぎ、なかでも神田財務官が発した「為替介入をスタンバイ」発言がとくに思惑を呼んでいたようだ。ちなみに、神田氏は昨年9月の介入前にも「スタンバイの状態と考えていい。いつでもやる用意がある」と述べており、今回も一時後退していた円買い介入警戒が再燃したようだ。

対して後者は、日銀が10月31日に注目の金融政策会合の結果として、金融緩和策の再修正を決定。長期金利が上限の1%を一定程度超えることを容認するという。修正は長期金利の上限引き上げを決めた7月以来のことになる。しかし、一部で期待されていた「大規模修正」というほどではなく、またその後の植田総裁会見で「粘り強く金融緩和を継続する方針」、「現時点で物価目標実現、十分な確度では見通せない」などといった従来のハト派スタンス維持が改めて示されたとの見方が徐々に優勢に。一方、米国は1日にFOMCから「金利据え置き」が正式発表されている。大方が予想していた結論ながら、先行きである12月会合について利上げ見通しがややトーンダウン。そうした意味では、若干ハト派に傾斜した内容ながら、一部で取り沙汰されていた「利下げ」観測については、「利下げについて考えたり話したりしていない」と明確に否定している。

<< 今週の見通し >>

ドル/円相場は、先週一時151.72円まで上昇し年初来高値を更新するなど、基本的なドル高基調そのものは継続中か。しかしながら、強気になり切れないシグナルが幾つも観測されていることは気掛かりだ。そのひとつを指摘すれば、先週の週足チャートが、2週続けての陰線引けになったうえ、上ヒゲの長さは2円を超えるというなかなか長大なモノとなり、これは高値151.94円を示現した昨年10月17-21日週以来になる。したがって、ドル高よりもむしろドル安進行にこそ要注意か。
市場で注目されていた日米欧、そして英国の金融政策も先週までに発表され、すべてが「金利据え置き」となった。ある意味では予想通りの内容だが、先でも指摘したように米国についてはFOMCでややトーンダウンした可能性が取り沙汰されるなか、週末に発表された米雇用統計が悪化したことが追い打ちを掛けたとの指摘も聞かれている。つまり、米利上げはいよいよ終了した可能性も否定できず、そうした見方を背景としてドルは上値の重い展開をたどっても不思議はなさそうだ。

テクニカルに見た場合、ドル/円の基本的なドル高リスクは継続中か。チャートもトレンド転換を示すほどは悪化していないが、先で指摘した週足要因のほか、移動平均の21日線を先週末のNYクローズで下回ってくるなど、気になるモノも少なくない。
ちなみに、今年7月14日に示現した安値137.25円以降を見てみると、ドル下落がおおよそ2-3円で底入れすることが多く、最大でも4円程度。しかし、今回は目先高値からすでに3円程度の下落しており、下値は正念場だ。さらに下げ幅を拡大させるようだと、いよいよ要注意かもしれない。

そうしたなか今週も、11月のミシガン大消費者信頼感指数などの米経済指標が発表されるほか、欧米要人の発言機会も数多く予定されている。また、それ以外では中国の経済指標発表や、G7外相会合をはじめとする国際ファクターにも一応要注意。

そんな今週のドル/円予想レンジは、148.00-151.00円。ドル高・円安については、先週下回ってきた21日線が最初の抵抗。超えれば150.50円や151円がターゲットに。
対してドル安・円高方向は、まずは先週安値148.80円をめぐる攻防に注目か。割り込むと少し遠いが週内に148円台へと乗せてくる一目均衡表の先行帯の雲の上限も視界内に。

ドル高基調に変化の兆しも、動静要注意

ドル円日足


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