今週は注目材料相次ぐ、ただドル伸び悩みも(週報10月第5週)

先週のドル/円相場は結果的にドルが小安い。週のザラ場ベースでは150円台を回復、150.77円まで上昇したものの続かなかった。

今週は注目材料相次ぐ、ただドル伸び悩みも(週報10月第5週)

今週は注目材料相次ぐ、ただドル伸び悩みも

〇先週のドル円、週間高値150.77示現後冴えず、149円半ばまで続落
〇米GDP速報値、好調だったが今週FOMCでの金利据え置き予想は変わらず
〇ECB金利据え置き発表だが、利下げは時期尚早とラガルド総裁が発言
〇今週は日米英の政策金利発表に注目
〇米10月消費者信頼感指数や同雇用統計など重要な指標発表にも注目
〇テクニカルには、ドル円週足が3週間ぶりの陰線引け、トレンド転換の可能性に要注意
〇ドル円予想レンジは148.00-151.00、ドル高・円安は、150円が抵抗としてまず意識されそう
〇ドル安・円高方向は、週明け149円半ばまでレベルを切り上げてきた21日移動平均線がサポートか

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は結果的にドルが小安い。週のザラ場ベースでは150円台を回復、150.77円まで上昇したものの続かなかった。

前週末は、米下院議長を選出する本会議の投票において共和党のジョーダン下院議員に3回目の否決が出され、様相がさらに混沌とした感がある。一方、エジプト主導で、ガザ情勢をめぐり「カイロ平和サミット」が開催されたものの打開策なく閉幕した。
そうした状況下、ドル/円は149.80円前後で寄り付いたのち、週間安値149.32円まで軟化するも下値は堅い。反面、上値も重い状況がしばらく続いたが、商いの薄い時間帯を狙い150円を突破すると、そのまま一気に週間高値の150.77円へ。しかし、高値を示現後ドルは冴えず、週末には再び150円割れ。さながら「行って来い」の様相になると、さらに149円半ばまで続落し、週末NYは149.65円レベルと週明けの寄り付きにはとどかなかった。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「中国情勢」と「欧米金融政策」について。
前者は、中国メディアを通じ「李尚福国防相を更迭、秦剛前外相を国務委員から除名」、さらに「李前首相が心臓発作に見舞われ、上海の病院で死亡が確認された」とするショッキングな報道が相次ぎ観測されている。その一方、軍事面では中国国防省が、南シナ海で米駆逐艦が中国の艦船に異常接近したとする動画を公開したうえで、「危険行為を繰り返している」と非難。それに対し、米国側も南シナ海の国際空域を飛行していた米空軍のB52爆撃機に、中国軍の殲11戦闘機が異常接近した映像を公開。同様に強い非難を行うなど、相変わらず双方による不穏なやりとりが見られ、思惑を呼んでいたようだ。なお、それとは別に訪米中の王外相がバイデン米大統領などとこの週末に会談。11月の米中首脳会談開催へ協力合意が確認されたと伝えられている。

対して後者は、26日にECBが政策金利の「据え置き」を発表し、過去最長となっていた連続利上げがついに途切れた。ただ一部で聞かれた「利下げ討議」思惑については、声明で「現在の政策金利を十分に長い期間維持すれば、インフレはしっかり抑制される可能性がある」、さらにラガルド総裁からも「利下げは議論せず、まったくもって時期尚早」と完全否定されている。とは言え、市場では予想よりハト派といった見方がやや優勢だったようだ。それに対し、米国は発表された米4-6月期GDP速報値が驚くほどの好数字になったことを好感する局面も見られたが、今週実施される米FOMCは「金利据え置き」が発表されるとの優位性を崩すまでには至らなかった。

<< 今週の見通し >>

ドル/円相場は、先週一時150.77円まで上昇し年初来高値を更新。ドル高基調そのものは依然として継続しており、まだ少し遠いが昨年高値151.94円も視界内に捉えられてきた感がある。しかし、そんなドル/円だが週足はというと、実は陰線引けとなったことがやや気掛かり。先週末には辛うじてサポートとして寄与した移動平均の21日線(週明け149円半ば)をクリアに割り込んでくるようだと、トレンド転換の可能性も否定できず、注意する必要がありそうだ。
市場は、今週予定されている日米そして英国の政策金利発表にまずは注目。ちなみに、うち米国については「年内あと1回の利上げ」が実施される見込みだが、肝心の今回は「利上げ見送り」といった見方が取り敢えずは有力だ。それに対して、日本は金融政策そのものの変更は予想しにくいものの、インフレ見通しの上方修正などを実施すると予想する声も多くなっている。実際、日経新聞は「次回会合で物価見通し引き上げを議論」と報じており、こうした動きが、緩和修正に向けた措置と受け止められた場合、為替市場における円売りの流れが後退することになるかもしれない。

テクニカルに見た場合、先週のドル/円は一時150.77円まで上昇し年初来高値を更新するも結局続かず。週足は3週間ぶりの陰線引けとなっている。まだ完全にトレンド転換したとは言えないが、前述高値から早くも1円を超える下押しが観測されるなど、わずかながら風向きの変化も感じられるところは気掛かりだ。
ちなみに、今年年初来の動きを参考にすると、ドル/円に本格的な調整、あるいはトレンド転換が入った際には最低でも8円程度の下押しが見込まれる。とするなら、142-143円さらにオーバーシュートすれば140円程度までの下押しが今後入っても不思議はないだろう。

材料的に見た場合、中長期的にはバイデン氏から「米中対話維持の必要性を強調」する発言が聞かれていた「中国情勢」。北朝鮮外相がロシアとの関係拡大に「揺るぎない決意」を示していた「北朝鮮情勢」、「ロシア・ウクライナ情勢」−−などに注目。
そうしたなか今週も、10月の消費者信頼感指数や同雇用統計などの重要な米経済指標が発表される予定となっている。また、31日に発表される日本の「為替介入実績(為替平衡操作の実施状況)」を注視している向きも少なくない。ブルームバーグでは、「3日の介入見送りが確認された場合、円安が加速する可能性もある」などと指摘していた。

そんな今週のドル/円予想レンジは、148.00-151.00円。ドル高・円安については、先週割り込んできた150円が再び抵抗としてまず意識されそう。超えれば先週示現した150.77円がターゲットに。
対してドル安・円高方向は、週明け段階で149円半ばまでレベルを切り上げてきた移動平均の21日線がサポートとして意識される展開か。もちろんザラ場ベースの動きにも注目だが、NYクローズで「しっかり」下回れるかどうかの関心も高い。

今週は注目材料相次ぐ、ただドル伸び悩みも

ドル円日足


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