近くて遠い150円、ドル上げ渋りは継続か
〇本日のドル円、149円半ばで寄り付いたものの積極的な動意に欠け30ポイントに満たないレンジ取引
〇市場は月末の日米政策金利発表を注視、目先は米経済指標や要人発言に一喜一憂する展開か
〇中東地域の地政学リスクの高まりや原油価格に与える影響、中国不動産セクター問題が波乱要因に
〇ドル高・円安方向は先週末高値149.84が最初の抵抗。超えれば150円、そして150.16を目指す
〇ドル安円高方向、本日東京安値149.35レベル巡る攻防に注目。下回ると21日MAのある148.80台視界内
〇欧米時間のドル円予想レンジは149.10-150.00
<< 東京市場の動き >>
週明け16日の東京市場は揉み合い。149円半ば挟み、30ポイントにも満たないレンジ取引だった。
先週末は、パレスチナ問題について引き続き様々な動きがあり思惑を呼ぶ格好に。そうしたなか、米NSC戦略広報調整官が、北朝鮮はロシアにウクライナで使用する兵器を搬入したと指摘したことが物議を醸していたようだ。
そうした状況下、ドル/円は149円半ばで寄り付いたものの、積極的な動意に欠ける。149.35-65円といった非常に狭い値動きに終始した。日経平均株価は終値ベースで600円以上下落、また東証マザーズ指数は一時年初来安値を更新したものの、為替市場への波及的影響は限定的。16時現在では寄り付きに近い149.55-60円で推移し、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは「パレスチナ情勢」と「中国情勢」について。
前者は、米国のバイデン氏が、イスラエルのネタニヤフ首相やパレスチナ自治政府のアッバス議長とそれぞれ電話会談したと発表したほか、16日に米国務長官が再びイスラエルを訪問することを明らかにした。米国など西側諸国はイスラエル寄りの行動や発言が多く聞かれるなか、中国の王共産党政治局員兼外相はサウジアラビアのファイサル外相と電話会談。そのなかで、「イスラエルの軍事行動は自衛の範囲を超えている」と述べ、欧米とは逆にイスラエルを名指しで批判したと伝えられている。なお、国連安保理はロシアが提案したパレスチナ問題に関する決議案を16日に採決する見込みだと報じられており、動静に注目だ。
対して後者は、米中の接触などが幾つか観測され思惑を呼ぶ。たとえば、イエレン米財務長官と中国人民銀行の潘総裁がモロッコで会談したと伝えられたほか、ブリンケン米国務長官は中国の外交トップ王共産党政治局員兼外相と電話会談したという。また共同通信によると、「米国防総省当局者、月末に中国の安保会議に参加」する見通しと報じられていた。それら一連の動きが両国関係の改善、さらに米中首脳会談開催へと繋がるのか注視している向きもあるようだ。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は、先週末に149.84円へと上昇し150円まであと一歩。早ければ本日東京時間にも到達する、と目されていたがやはり上値は重くとどかなかった。近くて遠いという状況がいましばらく続く可能性も否定できないし、仮に超えても3日の二の舞。定着せずに再び振り落とされるといった見方も少なくない。ただし、上値は重いが下値も堅いとの見通しではほぼ一致しており、ドルの下値も限られそうだ。
市場はすでに月末に予定されている日米の政策金利発表を注視している。目先は米FOMCなどをにらみつつ、発表される米経済指標や要人発言に一喜一憂する展開か。そうした意味ではややドル高有利という気もするが、中東地域への地政学リスクの高まりそして原油価格に与える影響や、不動産セクターを中心とした中国情勢などが波乱要因として警戒されている。
テクニカルに見た場合、ドル/円は先週末に150円に迫るも抜け切れず。リスクはドル高方向にバイアスがかかるが、149円台後半を中心とした強保ち合いで、ごく目先的には149.30-90円といった小さなレンジを再び形成しつつあるのかもしれない。上抜けた場合には当然、3日高値150.16円がターゲットになる反面、底割れするようだと148.80円台までレベルを切り上げてきた移動平均の21日線が意識されそうだ。
本日は米経済指標として、10月のNY連銀製造業景況指数が発表されるうえ、欧米通貨当局者の発言機会も引き続き多い。なかでも、イエレン米財務長官が出席し、演説を行うとされるユーロ圏財務相会合には注意を払いたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは149.10-150.00円。ドル高・円安方向は先週末高値の149.84円が最初の抵抗。超えれば150円、そして150.16円を目指す。
対するドル安・円高方向は、本日東京安値の149.35円レベルをめぐる攻防にまずは注目。下回ると移動平均の21日線が位置する148.80円台が視界内に。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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