ドル円 介入(?)の影響で短期的には150円が天井か(週報10月第2週)

先週のドル円の最大のイベントは火曜NY市場の朝方に起きた3円近い急落です。

ドル円 介入(?)の影響で短期的には150円が天井か(週報10月第2週)

介入(?)の影響で短期的には150円が天井か

〇先週のドル円、10/3(火)NY市場朝方の3円近い急落が介入だったか否か意見分かれる
〇短期的には150円の大台はレジスタンスとして意識され、半月〜1か月程は上値が重たい展開を予想
〇日米金利差により150円以下で押さえ続けるのは困難、147円水準でのドル買いを考える向き多いか
〇今週は148.00レベルをサポートに、150.00レベルをレジスタンスとする流れを見る

今週の週間見通し

先週のドル円の最大のイベントは火曜NY市場の朝方に起きた3円近い急落です。その時点でもそれ以降も当局は介入に関してはノーコメントを貫いていますし、その後当日の日銀残がほぼ予想通りであったことから介入では無かったのではないかという意見も出ていました。

たしかに昨年秋のような史上最大規模の介入が実施されれば日銀の当座円残高は大きく変動することとなりますが、仮に数千万ドル規模といったごく小規模の介入が実施されたのだとしたら残高への影響も大きくはなく想定内の残高に留まるでしょう。介入があったのか無かったのかは10月末の財務省による介入金額の発表を待たなければなりませんが、今回のような急落が起きる場合には2つの可能性しかありません。

ひとつは実際に介入が入った場合で、仮にどこかのメガバンクに数千万ドル程度の介入が入ったとしたら、その銀行は介入だとその金額に乗せて大きめのドル売りに動くでしょうし、そんな時間にどうしたんだと勘ぐる向きも多く、他言無用ですよと上客にのみその事実を伝えたとしたら今回のような動きになるはずです。

もうひとつはやはりどこかのメガバンクが介入を装って大口のドル売りを仕掛けるようなケースです。これはほぼ1回しか使えない手ではありますが、その銀行がそれらしくどこから入ったドル売りなのかは言えない、ノーコメントですといった誤解を与える情報を流せばやはり今回のような動きになると思います。

個人的には実弾介入がごく小規模で入ったというのが正解ではないかと思いますが、そうであるとすれば短期的には150円の大台はレジスタンスとして意識されますし、次に150円の大台に乗せた時に金額にかかわらず介入をすれば、多くの参加者が150円の大台は超えてはいけない水準だというコンセンサスが形成され、おそらく半月から1か月くらいは上値が重たい展開になっていくでしょう。

しかし、それでも絶対的に日米金利差を筆頭に内外金利差がある以上、落ち着いてくれば外貨買い円売りに動いて来ることも間違いありません。来年と思われる日銀の大規模緩和縮小の動きまで150円以下の水準で押さえ続けることは無理としか思えません。現状では既に147円水準でのドル買いを考える向きが多いと見ておいた方が良さそうです。

テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。

介入(?)でも上昇トレンドには変化は無いと言えるチャートです。平行上昇チャンネルを9月安値を起点としたラインに引き直しましたが、現在はこのチャンネルの中での動き、かつ先週火曜のレンジ内の動きにあるという見方でよさそうです。

そうなるとサポート水準が148円レベル、レジスタンスが大台150円となりますので、今週は148.00レベルをサポートに150.00レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

介入(?)の影響で短期的には150円が天井か

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2023年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、フィラデルフィア、ダラス、ミネアポリス)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

10月9日(月)
**:** 東京、NY市場休場
15:00 ドイツ8月鉱工業生産
17:00 デギンドスECB副総裁講演 ☆
17:15 ポルトガル中銀総裁講演
21:00 スペイン中銀総裁講演
22:00 ダラス連銀総裁講演 ☆
22:15 バーFRB副議長講演 ☆
26:30 ジェファーソンFRB理事講演 ☆

10月10日(火)
08:01 英国9月小売売上高
08:30 豪州10月消費者信頼感
08:50 本邦8月貿易収支
09:30 豪州9月企業景況感
16:00 トルコ8月失業率、鉱工業生産
22:30 (アトランタ連銀総裁講演)

23:00 米国8月卸売売上高
26:00 ウォラーFRB理事講演 ☆
28:00 ミネアポリス連銀総裁講演 ☆

10月11日(水)
07:00 (サンフランシスコ連銀総裁講演)
15:00 ドイツ9月CPI
16:00 トルコ8月経常収支
17:15 ボウマンFRB理事講演 ☆
21:30 米国9月PPI ☆
25:15 (アトランタ連銀総裁講演)
27:00 FOMC議事録公表 ☆
27:30 週間原油在庫統計

10月12日(木)
08:01 英国9月住宅価格
15:00 英国8月鉱工業生産、貿易収支
20:30 ECB理事会議事要旨公表 ☆
21:30 米国新規失業保険申請数、米国9月CPI

10月13日(金)
10:30 中国9月CPI ☆・PPI
**:** 中国9月貿易収支
15:45 フランス9月CPI
17:00 英中銀総裁講演 ☆
18:00 ユーロ圏8月鉱工業生産
21:30 米国9月輸入物価
22:00 フィラデルフィア連銀総裁講演 ☆
23:00 米国10月ミシガン大消費者信頼感速報値 ☆

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

10月2日(月)
週明けのドル円は週末に米国議会でつなぎ予算が可決されたことで政府機関閉鎖が回避され、早朝に若干ギャップアップしてのスタートを切りました。底固い動きとなってはいたものの、150円の大台を前にして介入警戒感もあり、高値は149.87レベルまでで高値圏でもみあいのまま引けました。

10月3日(火)
ドル円は前日も底堅くごく緩やかな速度で円安が進んでいましたが、NY朝方まで150円の大台を前に一進一退、オプション絡みのオーダーでもあるのか、逆に150円をつけたら急速に円安になるかもしれないと多くの参加者が考えていました。NY10時台に150円をつけると150.16レベルの高値をつけましたが、その後おそらくは介入と思われるドル売りに、一時147.27レベルと3円近い急落を演じ、その後すぐに買い戻され149円水準での引けとなりました。

10月4日(水)
ドル円は急落を見た翌日ということもあって終日動きにくそうな展開が続きました。149円を挟んでドル円にしては狭いレンジで様子見もみあいの一日でした。

10月5日(木)
東京市場のドル円は前場には実需のドル売りと米金利低下が重なって売りが先行、148.26レベルまで水準を切り下げました。しかし下がったところでの押し目買い、米金利上昇の動きから欧州市場序盤には149円台を回復、海外市場ではじり安の動きとなり東京安値圏に近づいての引けとなりました。

10月6日(金)
ドル円は東京朝方から米金利がじり高の動きとともにドル買いの展開をたどりました。米国雇用統計前には149円台を回復していましたが、非農業部門雇用者数が予想を大きく上回る強い数字となったことから米金利が4.887%と2007年来の水準をわずかに更新し、ドル円は149.54レベルまで上昇しました。引けにかけては米金利低下と東京3連休前ということもあり、149円台前半でもみあいのまま引けました。

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